第4章 皇帝シヴァ
そして一同は皇帝シヴァとの謁見の日を迎えた。
皇帝を前に、七袖とセレステが跪いている。
ハヅキはこの謁見に参加していない。皇帝はハヅキの双子の姉ミツキの顔を知っている可能性が高く、瓜二つの顔をしているハヅキの正体が早々に露見するのを防ぐためだ。幸いカナン王の手紙は、シヴァ皇帝を誤解させるに十分な内容との判断だ。
「面を上げよ。」とシヴァは2人に言った。
その声色は全身に響く程低く、そして顔をあげるとそこには灰汁色の毛並みを持つ巨大な獣人属の皇帝が坐していた。
(アスラさんと同じ色…)とセレステは思った。
「良く来た、マギアの乙女よ。カナン王は息災であられるか。」とシヴァは尋ねた。
その威厳に満ちた声は2人を緊張させる。
「はい、陛下。カナン王より書状がございます。」
そう言って七袖は書簡をシヴァに差し出した。
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カナン王から皇帝シヴァへ宛てた手紙
『シヴァ君、元気にしているかい?
僕は相変わらず美女に囲まれて幸せな毎日さ。
今回は僕の娘達が君の国に遊びに行くことになってね。
どうか、宜しく頼むよ。
PS. 年頃の生娘なんだから手は出さないでおくれよ。傷物にしたらサクッと戦争になっちゃうかもね!(๑・̑◡・̑๑)
君の友、
カナンより』
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シヴァはしばらくその書簡を見つめると堰を切ったように笑い出した。
「カーハッハ!相変わらずだなあのスケコマシは!」
と上機嫌になったシヴァを眺めながら、ホッと胸を撫で下ろす七袖とセレステ。
すると先程よりも大分砕けた表情でシヴァが続けた。
「うむ、カナンの言う通り美しい娘達よ。このシヴァ、お前達を歓迎しよう。我が国を存分に楽しんでいくと良い。」
どうやらシヴァは思惑通り、七袖とセレステをカナン王の娘だと勘違いしたようだ。だが、その結論は浅薄であったと2人は直ぐに思い知る。
そして皇帝シヴァは思ったよりも話の分かる人の様だった。
その器の大きさは、この大王朝の帝に相応しい。
「もうすぐ我が倅、アスラも其方の国へ赴く。ぜひ仲良くしてやってくれ。」
「ハッ。」
そう言うと2人は再び皇帝の前に跪いた。そしてシヴァは最後に七袖とセレステに言った。
「今日姿を見せなかったカナンの娘にも、宜しく伝えてくれ。」
シヴァは不敵な笑みを浮かべながら、額に冷や汗を滲ませる七袖とセレステを見送った。




