表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
焦燥と月下のマギア(下) 奴隷王朝の乙女  作者: Sy
槍の王 第4部
13/26

第12章 ステップシスター

 茶会から時は飛ぶ様に過ぎ、それから1週間が経とうとしていたある日。


 七袖はオングとバルキエルと合流する為、一旦禁楼(きんろう)の外へ。


 セレステは禁楼を散策すると言ってシャーロットのお付きの者に連れられ楊美宮を後にし、ハヅキはシャーロットと2人きりで取り残された。


 シャーロットは七袖ナナソデとセレステがいない分、いつもよりも勢い良くかぶっている猫を脱ぎ去る。


「ちょっとそこの使用人、午後のお茶はまだ?」とシャーロットが冷たくハヅキに命令する。


「えー、シャーちゃん。本当に私の煎れたお茶でいいの?」と自信なさげにハヅキは答えた。


 すると明からさまにチッと舌打ちをすると「それもそうですわね。不味マヅいお茶は結構ですわ。」と言いながら楊美宮の調理場キッチンへ向かった。


 特にやる事のないハヅキも後に続く。


「それでお友達は出来ましたの?もうマギアの中等部なのでしょう?」と、突然シャーロットが珍しく普通の会話を始めた。


(シャーちゃんとのガールズトーク……違和感が半端ない……)だがハヅキは気を取り直して答える。


「うふふ、そうよ。初めてのお友達だって出来たんだから!ソフィアって言うのよ。」とハヅキは自信満々だ。


 予想通り大袈裟に驚いた様子を一頻ひとしきり見せた後、シャーロットが続ける。


「背も胸も成長は見られませんのに、人間としては少しはマシになった様ね。」


 その恐ろしく遠回りな褒め言葉にハヅキは少しだけホッコリとした。


「もー、胸は無いのはシャーちゃんだって一緒…」とまで口にした所でシャーロットの平手打ちが飛んだ。


 だがハヅキはそれを軽やかにかわす。


「あーら、すばしっこい所も変わっていませんのね。」とシャーロットが畳み掛ける。


「あーら、そのインチキ巻き毛も変わっていませんのね。」とハヅキも引かない。それどころかシャーロットの口真似をして立ち向かってみる。


 少女達のじゃれ合う姿は、調理場キッチン給仕メイド達から見えれば姉妹の様であったに違いない。


 事実ハヅキも、シャーロットとの時間を楽しく感じていた。


 グロシャークにいた時はただのいじめっ子だったシャーロットは、禁楼に来て立派な淑女レディへと成長していた。


 ハヅキが気丈に振る舞うシャーロットを見ると、皇帝シヴァの妃の1人としての誇り(プライド)と、故郷を恋しく想う少女の姿が重なって映った。


 そうか私にはもう1人姉がいたのか……と、ハヅキは思った。


 恥ずかしいので絶対口にはしないが、このツンデレ巻き毛の分かりにくい優しさをハヅキが感じないではいられなかったのだ。


 午後のお茶を飲み干すと、妃達の集会におもむくシャーロットをハヅキは楊美宮の門から見送った。


 すると馬車に乗り込もうとしたシャーロットがふと後ろを振り返って、ハヅキに小声でつぶやいた。


「全く心外ですわ。あなたの最初のお友達はアタクシのハズでしょう。」


そう言うとプイっとそっぽを向き、馬車のドアをパタンと閉め行ってしまった。


「なんか今日はデレモード全開。」とハヅキは走り去って行く馬車を見つめながら言った。


(お友達じゃなくて、お義理姉ねえさんだもん。)

僕も義理の姉妹が2人います。シスコンです。と非常にいらない情報を入れて見たり。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ