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3話 太らせることにした

 アインは考えた。


 リアラとリリナの泣き顔が気にいらない。

 だから、いじめることにした。

 もう二度と、泣き顔なんて浮かべられないように、徹底的にいじめてやることにした。

 そう決めた。


 まずは水責めだ。

 裸にして羞恥を煽り、その体を自分で痛めつけてもらおう。

 ゴシゴシと徹底的に体を洗ってもらおう。


 本当は自分の手でしてもいいのだけど、アインには、年頃の女の子の裸を見る勇気はなかった。

 なので、当人たちに任せることにした。


「あの……」


 振り返ると、リアラとリリナがいた。

 二人共、大きなシャツを着ている。

 アインのものだ。

 完全な男物だけど、そこは諦めてほしい。

 ボロボロの服よりはマシだろう。


「お風呂、いただきました」

「お兄ちゃん、ありがとう♪」

「ふんっ。礼なんていらないぞ。俺は、お前たちをいじめているだけだからな」


 アインは早口にそう言う。

 実は、ちょっとドキドキしていた。


 思えば、風呂あがりの女の子を見たことなんてない。

 どことなく甘い匂いがする。

 顔が赤くなってしまいそうだ。


「あの……この後は?」


 リアラが頬を染めた。

 夜の行為をどうするか? と聞いているのだろう。


 裸のリアラを想像して、アインはドキドキした。

 しかし、すぐに煩悩を振り払うように頭を振る。


 まずは、この姉妹をいじめてやらないと気がすまない。

 リアラを抱くにしても、それはいじめた後だ。


「できれば、リリナは違う部屋に……」

「いや。その話はまだ早い」

「え?」

「俺は、まだまだ、お前たちをいじめるからな。水責めが終わったからといって、安心するんじゃないぞ?」

「それは、どういう……?」

「次は、お前たちを太らせてやる!」


 そう言って、アインはテーブルの上に食べものを並べた。

 串焼き、ホットドッグ、サンドイッチ、スープ……などなど。

 二人が風呂に入っている間に、飲食店で買ってきたものだ。


 アインは一人暮らしをしているので、料理を作ることはできる。

 ただ、一気に三人分の食事を用意することになるなんて考えていなかったので、材料がない。

 なので、店で買うことにしたのだ。


「さあ、これを全部食え。そして太るがいい!」


 アインは邪悪な笑みを浮かべた。


 リアラは年頃の女の子だ。

 太るという行為に、強い抵抗感を覚えるだろう。


 それなのに、無理矢理に食べさせて太らせてしまう。

 とんでもない、いじめだ。

 アインは本気でそんなことを考えていた。


「え? え? こ、これを食べていいんですか……?」

「ああ、そうだ。一つも残すなよ?」

「で、でも、なんで……」

「わぁあああああ♪」


 リアラが困惑する一方で、リリナが目をキラキラとさせた。


「お兄ちゃん、お兄ちゃん! このごちそう、全部食べていいの!?」

「ああ、いいぞ。っていうか、こんなものごちそうでもなんでもないが……」

「ひゃあああああ♪ こんなごちそうが食べられるなんて、リリナ、天国に迷いこんじゃったのかな?」


 どの料理も適当に買った安物だ。

 それなのに、リリナはごちそうと言う。

 普段はどんなものを食べてきたのか?


 二人の日常が気になり……

 アインは、またまた胸がモヤモヤした。


「いただきます!」

「あっ、リリナ!? 本当に食べるなんて……」

「ふにゃあああ、おいしい! おいしいよぉおおお♪」


 串焼きをぱくりと食べて、リリナはとろけるような顔をした。

 誇張でもなんでもなくて、そのままとろけてスライムになってしまいそうな雰囲気だった。


「お姉ちゃん、おいしいよ! すごくおいしいよ! お姉ちゃんも一緒に食べよう?」

「で、でも……」

「はぐはぐっ、あむ! ぱくぱくぱく……はぁあああ♪ こんなにおいしいものがあるなんて、リリナ、知らなかったよ」

「……ごくり」


 とてもおいしそうに食べる妹を見て、姉は喉を鳴らした。


「どうした、お前は食べないのか?」

「そ、それは……本当にいいんですか? こんな……」

「良いとか悪いとか、そういう問題じゃない。これは命令だ。俺が食べろと言っているのだから食べろ。さっきも言ったが、残すことは許さないぞ」

「……わかりました。その……いただきます」


 リリナの隣に座り、リアラも料理に手を伸ばした。

 串焼きをぱくりと食べて……


「あっ……」


 ぽろりと涙がこぼれた。


「お姉ちゃん、どうしたの? お腹痛いの?」

「う、ううん……そんなことないよ。ただ、あまりに料理がおいしくて……お肉って、こんな味がするんだ、って思ったら急に……」


 リアラは妹のために、自分の食べるものを減らしていたのだろう。

 その分をリリナに回して、ロクなものを食べていなかったに違いない。


 そんな姉妹の日常が透けて見えて、アインは複雑な気分になった。

 リアラが今食べた串焼きは、一本80ミラの安物だ。

 そんなものを食べたくらいで、涙を流すくらいに喜ぶなんて……いったい、どんな生活をしてきたのか?


「おいしい……おいしいね、リリナ……」

「お姉ちゃん、泣くか食べるかどっちかにしないと」

「ふふ、ごめんね……自分でもどうしようもなくて」

「仕方ないお姉ちゃん。はい、あーん。リリナが食べさせてあげる」

「ありがとう、リリナ。あむっ」

「お姉ちゃん、おいしい?」

「うん、すごくおいしい」

「えへへ、よかった」


 姉妹は笑顔を浮かべながら、次々と料理を食べていく。

 一緒に料理を分け合う姿は、姉妹の絆を表しているかのようだ。


 そんな二人を見たアインは……


(いいぞ、その調子でどんどん食べて、肥えるがいい!)


 ちょっとズレたことを考えていた。

早くもネタが切れてきました……

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