表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

1話 プロローグ

受験生が思い付きで書いたラブコメです。

処女作ですので、言葉が間違っていたり、足りていなかったりすることがありますが、それでも見てやるぞ、という器の大きい方大歓迎です。

受験生ですので、亀より遅い更新になると思いますが、すいません。

では、どうぞ。


あと、少し長いかもです。

 花は踊り、桜は咲き乱れ、お天道様(てんとうさま)が、(わず)かに浮いている雲の間から顔を覗かせている4月の頭。

 

俺こと末永道幸(すえながみちゆき)は、高校卒業を経て、夢にまでみた東京の大学に進学することができたのだ!

 と、いうのも、都内の大学に進むとなれば、家は自分で探さなければいけないし、いくら仕送りを送ってもらったって、流石にそれだけで家賃、生活費、学費を(まかな)えるわけではない。

 半ば夢を諦めていた俺だったが、奇跡的に親戚のおじさんが「海外に住むことになったから、よかったら私の家を使いなさい」と言うので、2秒で即答し、夢を諦めずに済んだわけだ。

 

 そういうことで、現在俺は右も左も分からない東京都の足立区の中を、スマホのグーグルマップと住所をメモった紙を頼りに、多分北に進んでる。多分というのは、俺が方向音痴だと自覚しているからだ。


「…っと、この辺りだと思うんだけどな~…」


 事前に聞いた話によると、おじさんはお金持ちらしい。だから、周りの家と比べて少し大きい、とのことだ。


(高校生の間に方向音痴直しとくべきだった…ん?)


 自分の治ることはないであろう短所に内心愚痴をこぼしつつ、意識を正面に戻すと、周りの家に比べ、一際(ひときわ)大きな家が目に入った。

 いや、家というより()というべきか。

 館には当たり前?にあるであろう、およそ3,4メートルはある門と、そのそばに黒の乗用車が止めてある。

 車にはあまり詳しくない俺だが、あの黒色の車は、トヨタ・センチュリーだろう。 

 しかも最新のモデルで、確かUWG60型だったと思う。要するに高級車だ。あれは去年の10月27日に初公開されたもので、まだ発売はされていないはずだが…。

 まあ、これだけの館に住んでいる人だ。高級車の1台や2台、持っていても不思議じゃない。流石にまだ発売されていないセンチュリ-を持っていたことには驚いたけど。


「やあ、こんにちは。君が末永道幸(すえながみちゆき)くんだね?」

「うわぉ!」


 門をまじまじと見つめていると、後ろから声をかけられた。危うく情けない声が出るところだった。


「ごめんごめん。驚かせるつもりはなかったんだよ」


 後ろから声をかけてきたのは、年齢に反して若そうな顔をした40代くらいの男性。謝罪しつつも、その顔は悪戯(いたずら)に成功した子供のような無邪気(むじゃき)な笑顔を浮かべているものだから、俺も怒る気持ちがどこかに飛んで行ってしまった。


「いえ、大丈夫ですけど…どうして俺の名前を?」

「今日から、私の代わりに館に住む客人のことを知っているのは、当たり前だと思うよ」

「…え?」


 俺が借りることになった家は、周りに比べて大きいから見つかりやすいとは言っていたが…。


「ってことは、あなたが矢代(やしろ)さんですか…?」

「ええ」


 一応、手元のメモとグーグルマップを確認してみると、どうやら本当らしい。


「…どこが『少し大きい』ですか…。アリと人間くらいの差ですよ」

「はははっ、絶妙な例えだね。」


 矢代さんは楽しそうに笑っているが、俺はそれどころではない。


「それにしても、この家を見ても、あまり驚かないんだね」

「驚いてますよ。少なくとも目玉と心臓が同時に飛び出そうなくらいには」

「それはいささか大げさじゃないかい?」

「マジでそれくらい驚いてます」


 まあ、俺が一番驚いたのは、今日から住む家がこの立派な館に住むことと、その館の持ち主がうちの親戚だったことだ。

 しかし、でかいな。掃除とかめちゃくちゃ大変そう。


「あ、そうそう。大事なことを言い忘れてたよ。掃除のことにも関わるからね」

「あれ、もしかして顔に出てました?」

「少しだけね」

「そうですか…。それで、大事な話とは?」


 恥ずかしくなったので、俺はすぐさま話を戻す。


「これだけの広さを掃除したり毎日食事を作るのは大変だろうから、メイドさんを一人、雇ってあるよ。大学に必要な学費や食費は、私のものを使ってくれて構わない」


 家(館)を貸してくれるだけでなく、学費や食費までも出してくれるのはこの上ない待遇だろう。だが俺は、それ以上に聞きのがせないことがあった。


「すいません、今なんて言いました?」

「大学に必要な学費や食費は、私のものを使ってくれて構わない」

「その前です!」

「道幸くんと同年齢のメイドさんを一人、雇ってあるよ」

「そこです!しかもさっきと言葉増えてません!?」

「気のせいだよ。気のせい」


 矢代さんはずっと楽しそうに笑っているが、俺は今軽くパニくっている。


「それとも、年上の女性のほうが好みだったかい?」

「いえ、年が近いほうがタイプですけど…ってそうじゃなくて!!」


 やばい、矢代さんのペースに飲まれてる。とにかく打開しなければ。


「も、問題でしょう!?男と女が、しかも同い年の男女が、1つ屋根の下で暮らすのは!?」

「少し落ち着こう、道幸くん。私が君と同年齢のメイドさんを雇ったのは、気を使わせなくてもいいようにするためだよ。それに、私がみたところ、君は真面目な子だ。例え年下であろうと、君は女性を襲わない。絶対に」

「うっ…」


 今までと違い、幾分(いくぶん)か真剣な面持ちで俺を見据える矢代さん。

 確かに、俺には年下の女性でも、小学生の女子も襲える勇気がない。

 しかし、ここで変に意地を張って「そんなことありません」などと言ったら、それこそ問題になるだろう、と思い、矢代さんの言葉に素直に首を振っておく。もちろん縦に。


「ありがとう。もうすぐ飛行機の時間だから、私は行くよ。何か困ったことがあれば、いつでも言ってね」

「はい、何から何までありがとうございます」

「それと、彼女のことなんだけど…」


 頭の中で、無理やり理解して受け入れた俺は、『彼女』が『メイドさん』であることはすぐに分かった。


「あの子は、メイド養成学校を首席で卒業して、メイドとしては完璧なんだけど、ちょっと無愛想なところがあるから…よろしくね。それじゃあ。バイバイ!」

「あっ!ちょ…」


 矢代さんは、それだけ言うと、すぐに車に乗って行ってしまった。


「『よろしく』って…何がよろしくなんだ?」


 軽く頭痛のする頭を押さえ。俺はこれから自分の家となる館に向かって足を進める。

 ああは言ったが、正直、メイドは助かる。実際これだけ広い家を一人で掃除して、毎日三食(大学のある日は二食)を作るのは大変だからな。

 家を貸してもらい、(不本意ではあるが)メイドさんも雇ってもらい、しかも、学費や食費まで出してくれている。できればもうこれ以上矢代さんの世話にならないようにと、俺は門に手をかけた。


「…あ、門のパスワード聞くの忘れてた」


…決意から三秒で、再び矢代さんに世話になった。

誤字・脱字報告、感想お待ちしております。

皆様の感想が、私の励みになります。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


次回も、どうぞご期待ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ