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そしてマグロは空を飛ぶ

活動報告で報告させていただきました通り、改稿した結果、4話目くらいから展開が変わりすぎたため、新規扱いとして9月6日(木)から5話ずつくらい18話まで一気に投稿いたします。

そこからは毎日投稿で35話くらいまでを予定しております。


既存の改稿ではなく、新作扱いで投稿となること、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

(マグロ豆知識を書くのに熱中しすぎたとか言えない)


 ――次の日。


「おおおぉ……。ほんとに空を飛んでる!」


 ぼくらは空の上の人になっていた。

 乗っているのは大型の浮遊有船(ふゆゆせん)


 行き先は学園があるっていうレヴェンチカではなくて、ミーミルとかいう島だ。



 ぼくとウィルベルが乗船している浮遊有船の見た目は、地球で言うなら中世のガレー船の軍船に近い。


 あの街の大桟橋に停泊していた浮遊有船の中でも最大のもので、舷側(げんそく)に備えられたオールのような複数の羽が、トンボみたく上下に動き、揚力を生み出している。

 とは言っても羽ばたきで飛んでいるわけではなくて、魔法による作用らしいんだけど。


 前甲板の両舷には大きな大砲が1門ずつ据えられており、これで空の海賊こと空賊(くうぞく)や出没する魔物と戦うらしい。


 島の港から出港して約1時間。

 元いた島は豆粒のように小さくなって、ぼくらのいる甲板の上は外洋の波よろしくビュービューと荒々しく吹いている。


「ウィルベル、ほんとにそれ(・・)で行く気なの?」


 ばたばたと風に髪を弄ばれながら、不安そうに問うたのは縦巻きドリルロールお嬢様ことルセルちゃん。

 同じ浮遊有船に乗り合わせたのは、精霊の儀を無事に終えて、たまたま(・・・・)家族旅行に出かけるところだったかららしい。


「わたくしがお父様にお願いして、援助してもらってもいいのですよ?」


「ありがとう。ルセルちゃん。でも――」


 ウィルベルが言葉を切ってルセルちゃんを抱きしめる。

 ルセルちゃんの申し出はありがたい。

 でも、色々調べたけど、乗り換えてレヴェンチカを目指す時間もなかったんだ。


「……死ぬかもしれないのに、あなたたちは恐ろしくないの?」


 言われて、ぼくは甲板の縁から下を見た。


 現在、浮遊有船はお空を航行中。

 眼下には少々の白い雲と、どこまでも落ちていきそうな空虚な空が広がっている。

 落ちて這い上がってこれる者などいないっていう、おっかない空。


 ウィルベルはルセルちゃんの体を離すと、軽く笑った。


「正直に言うと、めっちゃ怖いんよ」


「だったら――」


「でも、もう決めたことだから」


 ウィルベルは背中に背負った大きなリュックサックを担ぎ直してぼくにバイクのようにまたがった。

 頭に防風用の帽子とその上にゴーグル。

 手には命綱代わりの荒縄。その縄がつながっているのは、お馬さんのようにぼくの口にかけられた(くつわ)


「ウィルベル! そろそろ出発しないと!」


 浮遊有船の上にいるのに、どこに行くんだって?

 遥か遠くに見えるは、ぼくらが乗ってるのとはまた違う別の浮遊有船。

 どこに行くのかはよくわからない。ただ、レヴェンチカの方角に向かっているだけの船だ。

 あんまりゆっくりしてると、船と船の距離が離れ過ぎちゃう!


「ほんとのほんとに本気なの? 外空(がいくう)を単独飛行しようだなんて……。正気の沙汰ではないわ」


 ぼくらがやろうとしていることを知っているルセルちゃんは呆れと驚き、そして諦観の入り混じったため息をついた。


 そう!

 ぼくらが計画したのは空中適正レベル1で取得できるスキル『滑空』を使った強引な空のヒッチハイク!


 すれ違う浮遊有船を探しては滑空で飛び移っていくという、一歩間違えば転落死間違い無しの無謀な挑戦。

 空中適正のレベルをもっと上げることができれば、もうちょっとなんとかなったんだけどね。


 ちなみに外空(がいくう)っていうのは、島の近くの安定した風力圏の外を指し示す言葉。台風のような風が吹く暴風圏だ。

 

 ぼくらがやろうとしていることは、地球風に言うと粗末な(いかだ)で太平洋を航行しようってくらいに命知らずな行為らしい。


「うちは、うちの相棒を信じとるから」


 言ってウィルベルがぼくの背中を撫でる。

 嬉しいこと言ってくれるじゃん。


「ふはは。ならば、マグロ漁船に乗ったつもりで安心してぼくの背に乗ってくれるがいい!」


「そういう不安になるようなこと言わんで!?」


 ウィルベルはそう言うけど、だが待ってほしい。

 マグロ漁船は外洋での活動を前提で作られている船なので、そんじょそこらの船よりも安心できるはずである。

 っていうか、この世界にもマグロ漁船ってあるんだね。


「よしっ!」


 ウィルベルが顔を叩いて気合を入れ、甲板の縁に足をかけて出発する準備を整える。


 はい!

 ちょっとここで魔女の(ほうき)よろしくマグロにまたがったその姿を想像イマジネーションしていただきたい!


 まぬけそのものである。


(こら! いい話にしようとしてるんだから、そういうこと言わんのよ!)


 でもでもだって、実際問題まぬけなんだから仕方ないじゃん!


 姿はまぬけ。計画性も、お金も何もありゃしない。

 でも、いまのぼくらにはそれくらいでちょうどいい。


 すーっと息を吸って吐いて。


「ウィルベル行くよ!」


 スキル、滑空発動!

 ふわっと風に流れるようにぼくの体が、浮かび上がる。

 さすが外空。滑空スキルでも充分な揚力を得られるだけの風が吹いている。


 ぼくらに向かってルセルちゃんが手を振る。


「いってらっしゃい、ウィルベル。そして精霊さん」


「うん! いってきます!」


 ぼくらは揃ってルセルちゃんに手を振り、別れを告げて。

 台風のような風の吹く大空へと飛び出した。

【マグロ豆知識】

(ねぎ)(まぐろ)と書いてねぎま。鳥の串焼きとして有名なあの「ねぎま」です。

江戸時代では安価なマグロ使用されていましたが、時代がくだり、マグロが高価な食材となり、代わりに鶏肉が使われるようになりました。

が、名称だけはそのまま残り、いまでもねぎまといいます。

(もともとは葱鮪鍋という鍋料理だそうです)


葱鮪=鳥料理。

マグロだって空も飛べるはず。


【ご報告】

ここまで一週間程度でノリに任せてぶわーっと書いたので、文章にアラが……。(アラ汁的な意味で)


少々改稿作業に入ります。

(詳しくは活動報告をご覧ください)

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