表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/15

マグロの可能性

 な、なにこれ!?

 食べた魔力宝石(ルーン・ジェム)とはちょっと違う。食べたやつは赤かったけど、頭に生えたこれは青いもん。


(というか、さっきの変な声ってなに!? ウィルベルも聞こえた? 正体とかわかる?)


(うん。聞こえた。でも、何がなんだかぜんっぜんわからん!)


 こういうときにありがちなのは、マグロ・グランドフィーバーのシステムボイスって線だけど、そういう感じでもなかったしね。

 

 って、そんなこと考えている場合じゃない!

 エーリカが包丁持って戻ってくる前に早く解決せねば!


「さ、触っても噛みついてこーへんよね?」


「た、たぶん」


 ウィルベルが恐る恐る額の宝石を触るけど、感触的には皮を触られているような感じ。

 痛くもないし、何も感じないってわけでもない。


「は ず れ ろー!」


 ウィルベルが()まんで取り外そうとしてもうんともすんともしない。

 やめて! それ以上ひっぱるとつのトロ※が出ちゃう!

 ※つのトロ:マグロの頭のまんなかあたりからとれる希少部位


「ぐ、ぐぬぬ! とれん!」


 ウィルベルさんってばホント筋肉ゴリラ。指2本でぎりぎり摘まめる程度にしか出っ張ってないのに、頭骨からミシィって音が聞こえるんだもん。

 早く解決策を考えないと、ぼくの頭骨が砕けちゃう!


 えーと。そもそも魔力宝石(ルーン・ジェム)はアクセサリとして身につけてりゃいいわけで……


「ハッ!? めっちゃいいこと思いついた!

 このままサケの干物みたいに、ぼくの頭に紐を通せばいいんじゃね!? そんでネックレスみたいな感じにすれば!」


 ちょっと想像してほしい。

 荒縄でくくったマグロを首にかけて、ずるずると引きずりながら颯爽と街を歩く可愛い女の子の姿。

 うんうん。セレブなモード系ファッションって感じ。


 ・魔力宝石(ルーン・ジェム)を加工しておく。

 ・身に着ける。

 パンフレットに指示されている2つの要素が合わさって最強に見える。


「そんなん絶対イヤなんよ!?」


「くそっ! なんてワガママな娘なんだ!?」


「ぜんっぜんワガママじゃないんよ!?」


 っていうか、よく考えたら、これってパワーアップイベントじゃね!?


 そうだそうだ。そうに違いない!

 そうとわかれば話は早い。

 ふはは! 見よ、異世界転生にありがちなチートになったステータスを!


「ステータス、出ろぉぉぉぉっ!!」


種別:精霊

レベル:1

攻撃:E

守備:B

魔力:E

攻撃補正:E

守備補正:E

魔力補正:E

スキル:なし

スキルポイント:1

総合ランク:E

所有者:ウィルベル・フュンフ


 あばばばば! 何一つとして変わってねええええ!?

 こんなの絶対おかしいよ!

 ぼくの身にいったい何が起きてるのさ!?


 でっかい包丁をもって戻ってきていたエーリカとマーク君が空中に投影されたぼくのステータスを見て、呆れたように溜息をつく。


「……にしても、ほんとひどいステータス補正よね。これ」


「ああ、ぜんぶEとか初めて見たぜ」


「うっさい、バーカバーカ! マグロはDHAとかEPAとかセレンとかがたっぷりなんだい! ステータスに出てこない部分を評価していただきたい!」


 だいたい、全部Eじゃないし! 防御力だけはBだし!


 ぜーぜーはーはー。

 ここまで無呼吸で騒いだので、いったん深呼吸。

 まったくもう! EとかBとか大雑把なのじゃなくて数値でもっと細かく見れたりしないのかな?


 スキルポイントは数字で表示されてるっていうのにね。


 ……ってスキル?


「あああああああ!!!」


「ど、どうしたの!?」


「スキル! スキルだよ! スキルがあればレヴェンチカまで行けるかもしれない!」

【マグロ豆知識】

化学物質が、生態系での食物連鎖を経て生物の体内に濃縮されてゆく現象を生態濃縮(生体濃縮)といいます。

水に溶けにくく、代謝を受けにくい化学物質が残留しやすいとされています。


そのため、マグロの中には「メチル水銀」という物質がごく少量ですが含まれています。

一日に何キロもマグロを食べ続けない限り大丈夫ですが、妊婦さんには摂取量に注意が促されています


ちなみに本編のように食物網と関係しないときは、生体蓄積といいます。(蓄積というよりはダイレクトに反映されてますが)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ