表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Destiny of Bond  作者: ロミディ
3/3

- 泉 -

<いつかの為に>

<力になれば>

<願おう> <待っている>

<我が末裔に> <…頼んだ>


夢は時としてその世界に実際に居るように感じるものである。

巨大な力と拮抗しているようだ

黒い髪を肩まで揺らし、黒い服を靡かせた男エルフの背中が見える


此方を振り返り、ニコッと笑う

まるで心配ないと言うように


<泉に…> <…頼んだ> <俺は居なくても>


目を覚ます。


何かが己を引っ張っているように、背中を押すように、

無意識に、それが義務であるかのように


泉に向かわなければならない


寝間着を着替え、髪を結い直す。

小さなランタン明かりを頼りに外へ歩き出す


持ち物はランタン1つ

神聖な泉へ武器など要らなかった


そもそも儀式に関係の無い者は立ち入り禁止で

村長の家の奥


家にはまだ明かりが付き、妹【エリア】と村長の娘【アリス】の笑い声がしている


楽しそうな笑い声も今は耳に入らず、目もくれず家を迂回し進む


<…神聖な><泉に…><封の月><待っていよう>


<きっと>


悪が潜むか、神が棲むか


縄をくぐり抜けた先はただの泉。

しんとした小さな泉だった

男エルフには関係の無い場所で初めて見る


四方見渡せる程度しかなく、見たところ深さは人が入って腰か膝くらいだろうか?

魚も居ない泉、傍で小さな虫が淡く光り存在を示している。


…何をしに来たのか?

何が神聖なのか?


ただただ、手を泉へ伸ばす

まるで水面の月を掴むように


<今、解き放たれる時>


泉の月が大きく光り、波が立ち、より光が散乱して目が眩む


<待っていた>


その声に懐かしさを覚える


<制し、封ずる事の出来る英雄>


夢で聞いた声とは違う、女性の声


目の前には黒い長い髪を揺らす女性のエルフ


幻のようでキッと強くも優しい瞳だが、光を持たない変わった瞳をしている


女エルフが手を伸ばし、幻影の手が重なる


<苦難もみな、封じてくれ>


<名も分からぬ末裔>


カッ!と光が手から放たれ、一瞬にして光りと幻が散り消える


火花のように揺らめきながら光がゆっくりと舞い落ち


意識も共に落ち、途切れた



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ