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第六回 にほんごだいすき


 はーい、というわけで、言葉の話の続きの話、張り切ってまいりましょー。


 え? 前回更新から一カ月近く経ってる? やだなぁ、気のせい気のせい。あるいは確定申告とか税務署のせい。


 はい、納税は国民の三大義務です。みなさん、ちゃんと払いましょう。



 

 のっけからかなりのテンションでやってしまいました。


 うん、でも最近、こっちのエッセイがどんどん真面目なテンションになってきてよくないなーって思っていたところです。なので原点回帰……、原点映画感想だったっけ。まぁとりあえず方向転換、ってことで、軽ーいテンションでいきましょう。なお、文章のテンションはその時その時の日常生活のテンション(主に仕事)に大きく左右されます。



 

 えーと、言葉。日本語。


 前回のまとめとしては、新しい言葉について、「まずその言葉がどうやって現れたのか、どういう意味なのか、本当に乱れているのかそれともその言葉の登場によって逆に日本語が整うのか。新しい言葉を聞いたときに一回そういう検証をしてから意見を言ってもいいんじゃないかな」っていうようなことを言った気がします。


 コピペなのに「言ったような気がする」とはこれいかに。


 で、さて。


 本当に言いたいことは次回で~と言って続いておいて、間が空いたために本当に言いたいことがどこかに行ってしまったとかうん、そんなことはないよ。きっとないよ。


 とりあえずだらだら書くとまた長くなるので、前回から引っ張ってしまった「本当に言いたいこと」を、今日は逆に先んじて発表してしまいましょう。結論として、私は「日本人はもっと日本語を大事にしてあげてほしいな」って、思っているのです。ま、お前に言われたくないよってー話なんですけど。


 ちょっと前に、『日本人の知らない日本語』っていうエッセイコミックが出ました。海野凪子さんという日本語教師さんと、蛇蔵さんという漫画家さんの作品ですね。全四巻です。タイトルの通り日本人があまり知らないような日本語の雑学、知識や、外国人が日本語のどういったことに興味、疑問を持つかなどを軽妙に描いています。作品はとても面白いので、まだ読まれてない方はぜひ一度読まれることをお勧め致します。


 と、真面目におススメしたところで。この作品への批判では全くないのですが、昨今、テレビ番組や漫画、エッセイなどでも、「外国人」を挟んで見た日本文化紹介モノが多いなぁ、と思います。そういうのが受ける時世と言うのはなんとなく感じていますし、実際自分が見て面白いと思うものもあります。ただ、額面通りに「外国人がすごいって言ってる! 自分たちも知らなかったけど、日本文化ってこんなにすごいんだ!」って受け取れるかっていうとそれはちょっと違うかな、とも思います。


 日本文化あれこれまで風呂敷広げるともう大長編になってしまうので、日本語に限った話に戻しますが、日本語を学ぼうと思っている、あるいは実際に学んでいる外国人が、日本人の知らない日本語に興味を持つのって、ある意味で当然だと思うんです。でもそれって、あくまで単語や物の名前、あるいは由来とかいわゆる「雑学」レベルだと思う。


「猫は一匹と数えます。象は一頭と数えます」と言われたら、じゃあ犬はどうなんだ。クジラは? イルカは? と書いていないことに疑念を広げるのは当然。ですが日本語を母語として使っている日本人は、必要に応じて目の前にあるものを数えられればそれでいいのです。猫も象も一匹二匹と数えることもありますし、ウサギだって肉を食べたいと思えば「一羽二羽」と数えて鳥扱いもします。生物学者は虫だろうが鳥だろうが、頭のあるものは全部一頭二頭と数えるそうです。ドードーやドードリオをなんて数えるかは知りません。


 で、です。まぁ別に真に受けてる人がそんなに大多数いるだろう、なんて話でもないのですが。まず外国人の方が日本語のことをよく知っている、なんてことはまず絶対にありません。日本語を母語として習得した人は、日本語を脳内でしっかりと理解しています。たとえ語彙力や知識量が低くても、文法や、言い間違いに関する正誤判断は、誰しもがある程度できているものです。「あなたを犯人です」は、誰もが一読で誤った言い回しだと判断することができ、ただ、前後の文脈から意味を推し量ることができるので(あるいはできる場合)、黙殺して空気を読むか、ツッコんで洗脳探偵を生み出すか、まぁその辺の対応はその時の流れ次第だと思いますけど。なんなんだ。


 個人的に非常に興味深い話を大学の先生に聞かされたのですが、どこかの母親のブログで、小さい子供が勘違いで大人の話について指摘してきて、その内容が面白かった、と言うような話があったと。で、その子供のセリフの描写に、「ちがいよー(まだ子供だからちがう、をちがい、と言ってしまう)。お父さんは○○で~」みたいな書き方をされていた。けれど、そのブログの他の記事を見ていると、母親自身が「違かった」「違くない?」のような表現をよく使っていた、というんですね。「違う」は動詞なので違わない、違った、という五段活用が本当なのですが、意味の上で動作というよりもものの性質を表す部分が大きく、最近では「ちがくない」「ちがかった」のような形容詞的な活用形を用いる例が現れてきた。その子供は、お母さんが普段から使っている「ちがくない」「ちがかった」の活用形から逆算して、「違う」=形容詞活用、終止形は「~い」だと考えた、と。


 あくまで「そうではないか」という推測の話にすぎませんが、私は説得力のある話だと感じました。学校で活用形なんか習わなくても、普段周りの人の日本語を聞いているだけで、子供はみんな、「食べる」の否定形は「食べない」で、過去形は「食べた」になるのを覚えるんです。「かわいい」の過去形は「かわいた」ではなく「かわいかった」であることを理解するし、「きれい」は形容詞ではないので「きれくない」「きれかった」とは活用しないことを判断できるんです。学校で鯱鉾ばって「これが文法です。未然形がこうです。連体形がこうです」って習ううちにだんだん自信がなくなってしまうだけで、「半端ない」の音便系は「半端ねぇ」になるのであって、「半端なぁ」とか「半端にぃ」ではないことをちゃんと知ってるんです。


 なにをムキになって力説してるんだって感じですね、はい。


 とりあえず、私が思うのは、まぁ何語の母語話者でも同じだと思うんですけど、「日本人って、日本人が思ってるよりずっと、日本語のことよく知ってる」ってことなんです。自分は文法とかよくわからないから、みたいに言う人が多いなってなんだか残念に思うんですけど、それは学校で習った国語文法がわかってないだけで、日本語の文法については普段日本語を話している以上絶対にわかってるんです。



 

 意識してないだけでみんな知ってる。それをもうちょっと意識するだけで、楽しくなるんじゃないかな。そんなことが言いたい。特に物書きとして、なろうで書いている方々は、多分みんな大なり小なり「ことば」ってものが好きだろう、って思っています。だからこそ、ちょっとの意識を向けて、大事にしてあげたいねっていう、そんな話。



 

 前回「ら抜き言葉」や「超」の話を挙げました。賛成、反対の流れがあったよね、なんて話をしましたが、個人的に今一番もやっとするのが、「空気感」と「ボリューミー」という言葉です。


 空気感、は元々芸術用語らしいですが、今は「雰囲気」のような意味合いで日常会話で使われていますよね。ボリューミー、は個人的には今のところ昼や夜の情報番組でしか聞いたことがありませんが、個人的には違和感バリッバリの新方言です。賛成か反対かって言われたら私は反対派なんですけど、こういう言葉が好きで使ってるんです、って言う人のことを否定はしません。もやっとするのは、「ら抜き言葉」の頃に比べて、「こんな言葉はなかった!」って言われることが全然ないような気がすること。そして、こういう言葉を好きで使っている人って言うのも実はそんなにいなくて、テレビで毎日のようにしつこく聞くから結構当たり前に「普通の日本語」として受け入れちゃってるんじゃないかなぁ、ってことなんです。


 テレビってほんと怖い。言葉の感染力ってとっても高くて、一緒にいる友人がよく使っていると、「この言い回し嫌いだなぁ」って思うようなものほどいつの間にか自分も使ってしまっています。テレビで毎日聞いてるといつの間にか刷り込まれてあたかも昔っからあった言葉のように感じてしまう。ものすごくよくあると思います。


 別にみんなこんな長ったらしいエッセイ書いて「これは問題だよ!」って言いましょう、なんて話じゃあないんです。テレビとか、雑誌とか、ふと立ち止まって見るとときどき抱腹絶倒モノの訳のわからない日本語使ってることがある。そういうの立ち止まって指さして笑ってやれるくらい余裕が持てるといいね、ていうお話です。そして、「変な言い回しだけど、でも私これ好きだわ。今度から使おう」なんて発見もしたりして、使う言葉と使わない言葉とを区別してみるともっと言葉が好きになるかもしれない。小説を書く上での武器になるかもしれない。


 二回もかけて長々語ってしまいましたが、日本語について私が一番言いたいことはそんな感じのお話なのでした。あー、長かった。



 

 ちなみに、私は自身の小説にときどき辞書にない造語を使ってたりします。『【かんてん】』の方には全然ないかな。『はるシア』ではちょこちょこ使ってるので、暇な人は探してみてください。指摘してくださった方には『暇人』の称号を差し上げます。



 

 次回……、は、またいつになるかわかりませんが、今度はもう少し気楽に書ける題材にしたいと思います。


 興味を持ってくださる方がいらしたら、気長にお待ちくださいませ。




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