第十二回 作家さんは聖書読まないけど聖書ネタ好きですよね
旧約聖書「創世記」を、読まなくてもなんとなくわかる話。
ご無沙汰しております。
何か月ぶりの更新ですか、こちらのエッセイ。ふむふむ、そんなに経ってますか。すごいわぁ。まぁでも、そもそもこのエッセイは「気が向いたときに書いて更新」スタンスですので、今後もこんな感じで参ります。次回更新は3年後ですよろしくお願いします(冗談を冗談と見抜ける人でないとry)
えーさて。で、今回のテーマなのですが。
久々でなんなんですが、今回創作とはちょっと離れたテーマ。ツイッターの方でちょろっとアンケートなどさせて頂きまして、その結果についての分析を、こちらでさせて頂こうかと思いました。ツイッターで展開するのが本来だとは思うのですが、何せ140字ではいかにも狭い。こちらのエッセイの方でのびのびと、それはもう無駄な文章も含めてのびのびと検証させて頂こうと、ええそう思いました次第でございます。モモォ(無駄要素)
まずはそのアンケート、最終結果の画像をご覧ください。
とまぁこんな感じです。
アンケート期間は令和元年6月10日、午後12時過ぎから22時過ぎまででした。
きっかけはさておき、調査をしたかったのは、アダムの相方の女性の呼び名について、「イブ」に対し「エバ」はどれほど知名度が低いのか、ということでした。それにしちゃふざけた質問文とふざけた選択肢なのは、まぁ仕様です。ええ乾さんの仕様。
ちなみに「イヴ」「エヴァ」表記についても一議論できることとは思いますが、今回はそこは無視し、ブ・バに限らせて頂きました。それについては雑談程度のリプライを一つ頂いただけで、皆様に誤解なく受け取って頂けた様子だなとは思います。
話を戻します。「イブ」に対して「エバ」がどれだけ知名度が低いのか。ええ実は乾は、幼少のみぎりミッションスクールに通っておりまして、聖書なるものにはある程度の親近感を抱いてごめん嘘。親近感はない。でも教科書並みにカバンの中に普通に入ってるもの、ではあったんですわ。で、その聖書に於いて……、少なくともプロテスタントの聖書に於いては、口語訳でも新共同訳でも、確か文語訳でも変わらず「エバ」表記が使われているんですよね。小学校で「アダムとエバ」と習っていたわけです。
最初に他所で「アダムとイブ」と聞いたときには、「え? 何? イブって。エバでしょ?」と、疑問を抱いたわけです。幼少の頃。今でこそ世間では「イブ」呼びの方が主流なんだな、とわかるのですが、いやもう最初の頃はなかなかの違和感でした。
あ、突然の注釈ですが、今回のお話はあくまで「神話学」的な展開がメインです。決して「キリスト教会はエバ表記です。オフィシャルがそう言っています。みんなもっと原典を読もう!」的宗教勧誘には至りませんことを前述しておきます。乾さんは無宗教ですが、一番好きな宗教はバラモン教です。
で、アンケート結果に戻るんですが。
まぁイブ派が主流なのは織り込み済みでした。ただそれでもね。2対1くらいの比率でエバ善戦してくれるんじゃないかなーっていう期待もあったわけですが、いやぁ予想を覆す大差がつきました。
まずイブ対エバ。60対11。圧倒的じゃないか! 連邦のモビルスーツは化け物か⁉
総票数149のうちの11%ですので、エバ派は16、7人。割合的にあネタ票を抱え込んでさえ6:4とイブ派に及びません。ああそうなのかーと。世界で一番売れてる本、読んでる人の割合はこんなものかと。もっと頑張れよ聖書!と。いやまぁそんな感想でした。
そこで終わればまぁそれだけ。わざわざ半年もほったらかしてたエッセイをいまさら掘り起こして長文書くほどの話はなかったのですが。
今回のアンケート、半ばネタとして第三の選択肢「リリス」を。完全にネタとして第四の選択肢「蛇」を入れておいたわけですよ。エバ票、どっちのネタにも負けてるんですよね……。いやぁホント認知されてないんだなぁアダムと「エバ」。むしろ聖書の不人気さがはっきりと示されてしまったのではなかろうか……。今度改めて「聖書読んだことある人―?」でアンケート取るか……、怪しいカルトさん呼び寄せちゃいそうだからやめよう。
ええと、まぁそれもどうでもよくて。
意外なほどに皆様の喰い付きを頂きましたNO.3、リリスさん。アンケートに付けて頂きましたリプライでも、ダントツの1位反応でした。
1位:リリス 2票
2位:パンドラ 1票
2位:イザナミノミコト 1票
……ネタじゃん‼
はいさておき。
いや自分でも聞いたことあるな―程度だったんですが、確かにこっちネタの方が創作クラスタさん的には妄想心をくすぐられるネタなんだなぁーと、改めて感じさせられました。ぶっちゃけアダムとイブ(もうイブでいいわ)のお話の原典たる聖書では、創世記には一文字たりとも出てこない。影も形も出てこない。イザヤ書とやらにはちょろっと出てくるらしいですね。読んでないわー。
というわけで、じゃあリリスさんどこに出てくるのさ?ってのをwikipedia先生に教えて頂いたところ、中世の『ベン・シラのアルファベット』とやらいう文献に出てきたそうですね。
「神様、イブを作る前の段階で男女のモデルがいたって言ってますやん。イブが最初の女て嘘ちゃいますん」うーん、揚げ足取り。まぁでも、確かに妄想は広がりますね。
結果出てきたリリスさん。聖書にも名前の記載はありますが、ご出身はメソポタミア? ユダヤのカバラやタルムードとかいう文献にも登場し、ギリシア神話にも顔を出す。基本的には悪霊悪魔の類いかと思いきや、ギリシア神話ではゼウスの奥さん。カバラではサマエル天使さんの奥さんと、玉の輿に乗った設定も見られます。やべぇこの手の手広い妖魔、調べ出すとキリがないやつじゃん。ネタで候補に挙げちゃダメなやつだったよ。いやよく知らないで名前呼んじゃってごめんなさい。
てわけで、もうね。雑なまとめでごめんなさいなんですが、創作クラスタさん。宗教ネタみんな大好き。でも原典読まない。聖書? なにそれ美味しいの? エヴァ面白いよね。そんな感じ。
そしてどっちかっていうと出どころ不明な怪しげなネタの方が好き。なによ『ベン・シラのアルファベット』って。誰が知ってるよ。タイトル聞いても怪しげな文献。しかもwiki先生の限りでは「背景と目的不詳」って。それ絶対無暗に触っちゃいけないやつじゃん。
でもそんなネタほど大好きな創作クラスタさん。いいと思います。アダムとイブは実は英語読みで、原典に近いヘブライ語読みだとエバの方が近いんだよとか、嘘つけよ発音エウアはギリシア語だろ、ヘブライじゃハヴァに近いだろとか、そんな議論じゃろくに妄想も広がりません。
それよりも、アダムの相方はイブ(エバ込み)で70%。でも15%はリリスさんという根と歯がある楽しい妄想で遊び、さらに15%は蛇とくっつくという根も葉もない妄想で遊ぶ。日本の創作界の縮図を見たような気がしました。
雑なまとめで本当にごめんなさいですが、予想してたよりもずっと楽しい結果になって、大満足のアンケートでした。149名の回答者様、ありがとうございました。
ちなみに、創作クラスタの末席に座らせて頂いております私が、宗教学神話学で一番燃えるのが「西と東が同じ神様でつながった時」。
イラン・ペルシャはゾロアスター教の最高神アフラ・マズダー様が、隣のインドでアスラ(悪神)になって、更に仏教で帝釈天の永遠のライバル阿修羅になって、日本に辿り着いたら改心させられて奈良県で仏像になってる。ふおぉぉぉ!ってなる。ミトラ教辺りを挟むとさらに西まで行けるみたいですね。胸熱‼
なので日本ではもうイブとエバが共存していいと思うの。
『転生したアダムはリリスとイブとエバを嫁に迎え、今度こそリンゴは食べずにエデンの楽園でチーレム生活を楽しみます! あれ、気が付いたら蛇っ娘も?』
はい書きません!
蛇足ですが、新約聖書「マタイによる福音書」は、冒頭1ページで読む気力を失わせる本、世界ランキング第1位だと思っています。最初のシーンで読者を捕まえられないとお悩みのあなた。新約聖書をご覧ください。絶対に、これよりはずっとマシ!