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03 ―娘への想い― side mother

同時更新1話目ある意味説明回

お母様・キャンディ視点。



side mother



 笑顔で朝食を頬張る我が子。……子リスみたいって思ってますね、旦那様(リシー)

 賛成ですわ、本当に愛らしい。

 

 でも先程の意識が戻らない間は、生きた心地がしませんでした。まるであの時の様で。




―――(わたくし)達の娘、ルゥちゃん。

 ルフナ・メルローズは今でこそ元気ですが、何度も意識を失っては(うな)され起きないと言うことがありました。

 その度に私達夫婦も使用人達もあの子を失う恐怖を味わいました。

 その他にも―――――

 


 そう、生まれた時から娘には不思議な出来事が多かったのです。


 私も(アルブス・ウィットゥ)の精霊に祝福していただいており、癒しの魔術が使えます。


 この子は生まれた瞬間に光と闇の精霊に祝福されました。記録上無かったことです。


 ふわふわと浮かぶ白磁と漆黒の粒子。

 あの時見た――今はもう漆黒は見ることは叶いませんが――忘れられない情景でした。


 

―――魔術とは世界に満ちている魔力を精霊言語によって、干渉・発動します。


 基本魔術の種類は(ルフス)(アズゥ)(ウィリ)(ニヴィ)


 その上位魔術、(エリュトロン)(カエルレウム)(ジョールトゥイ)(アウランティウム)


 そして特殊魔術の空間(フルウム)付加(フェセク)


 最後に限定魔術、(アルブス・ウィットゥ)(メラン・アーテル)



 基本魔術については得手不得手ございますが、大体の人が使用可能です。

 一種または二種のみ得意という場合は『精霊の加護』を持っている方で、最初から上位魔術が使えます。

 勿論、基本を極めれば上位変換で扱えます。複合魔術といった方法で上位に近い術もございます。



 特殊魔術については使える人が限定されます。主に血統や先祖返りですね。


 『空間』は保存魔術(状態停止)や移動魔術があり、人間やエルフの使い手が多いです。


 『付加』は無属性とも言われており、あまり魔術の使用が得意ではないと言われております獣人やドワーフの方に使い手が多いです。身体能力の状態変化が主なものです。



 それ以上に特殊な位置づけなのが光と闇。


 これは精霊の中でも希少なそれを司る精霊が加護を与えるかによります。


 (アルブス・ウィットゥ)は回復や守り、破邪の力。


 (メラン・アーテル)は属性を相殺するものや時間を操るものもあると云われています。

 

 

 その所為なのでしょうか生まれてから魔力の暴走が多く、二人がかりで抑える毎日でした。

 光の精霊と―私には見えませんでしたが―闇の精霊もルフナに対して力を抑えてくれていたようです。


 段々と暴走も収まり3歳ごろになるとすっかりと落ち着きましたが、今度は急に気を失って寝込んだ後には不思議な話をする様になりました。


 「あのこ、だいじょうぶ?」

 「さえちゃんは?」

 「あまい、おかし、つくるの」


 など、一時はルフナ自身も混乱していましたがある日突然お菓子以外のことは忘れたと言いました。


 それはきっと忘れた訳ではなく、言わないのでしょう。優しい子ですから。



 それからは平穏な日々が――ルゥちゃんのお菓子の発想は止まりませんでしたが――過ぎていきました。



―――昨年のある事件以外は。



 あの日、領地の中のある町での祭りの最中に他の令嬢と間違われ攫われました。あの時ほど自身の無力を感じたことはありませんでした。


 犯人たちはそれほど時間はかからず捕まえることが出来ましたがルフナは町外れの森の中に置き去りにされたと言うこと。



 慌ててリシーと森に向かう途中に感じる巨大な魔力の奔流―――


 まさかルフナの身に何かが起こったのか、それとも他の原因か。

 

 

 魔力が乱れていたために、時間はかかりましたが急いでありったけの魔力を集めてリシーと共になんとかその魔力の奔流の下へと飛ぶとそこには一人の少年に抱きかかえられた、すやすやと眠る愛しい娘。



 その彼が言うには、ルフナが怪我を治してくれたと言うこと。

 大きな魔力については白磁と漆黒の粒子が現れて消えたと。

 コントロールの土台を形成する前の4歳児が、下手をすれば自身の魔力に飲み込まれてしまうのに――

 この子に加護を与えた精霊はそのような………


 近くに来た少年がルフナを渡そうとしたときに私は一瞬、手が出ませんでした。

 なぜこの子にこの様な力が……と悲観しそうになった時――


「ルゥは俺たちの誇りだな」


 ヒョイとルゥを抱き上げ、笑う(リシーハット)


 そうです。この子は私の娘です。

 こんな事で母は負けません。



 「えぇ、そうですわね。この子は私たちの誇り」


 私には夫が、光の精霊が、そしてルフナ(愛しい娘)がいるのです。


 一緒に乗り越え行けばきっと―――


 

 その時の少年がキームンです。

 エディアールの一族。

―――自身で主を選ぶ事はどんな権力でも縛ることは出来ないと言われており、精霊に愛された一族。

 その彼がルフナを主に選び、今日に到ります。


 あの時に何があったのかは、ルフナは攫われたことの記憶も無く――これは良かったと安堵しましたが――詳細は分かりません。

 しかしそれからは魔力の揺らぎは一度もないため、この事はある意味良い出来事だったのでしょう。



 あぁ、このまま穏やかな日々が続いて欲しい。

 ルフナが笑顔で過ごせるように願います。




―――あ、ルゥちゃん。それリモンで酸っぱいんじゃ……食べた!?


「んきゅ~~~! すっぱいです~~~」

「あらあら、大変」

「おかあさまー」

「はいはい、いらっしゃい」

 

 こちらに来たルゥちゃんを抱き上げて〈癒しの光(アルブス・アージェ)〉をかけます。


 これからも笑顔でいてね、色々お話ししましょうね。

 大人の話もしたいけれど勿体ないからゆっくりと成長してね。



 私の、私達のルフナ(誇り)―――








 


設定を追加した余波。

次はルフナ視点に戻ります。


※リモン=レモン 色はピンク見た目は甘そうだがかなり酸味が強い。


20150422修正5歳→7歳

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