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02 ―かぞく―

20150422修正5歳→7歳

 キィにエスコートしてもらって食堂に向かいます。なにやら中が賑やかです。


 楽しそうな雰囲気で、ワクワクします!

 早く入りたいなぁと思わず気持ちが前に行ってしまったからか、絨毯に足を取られて体が傾きます。


 「わっ! わぁ~?」


 転ぶかと思ったら一瞬で、まるで魔法を使ったようにキィに抱き上げられていました。

 ビックリです。11歳なのに力持ちです! すごい!!


 キィを見上げると苦笑い。えぇ、分かっておりますとも。手がかかるとか、おっちょこちょいだなぁ~とか思ってるんでしょう!! むー


 でもまあ、そうですよね。精神年齢37歳とはいえ、『前の記憶』は殆どありませんし。(ルフナ)として生きたいと思っていますから。


 しかし、7歳の誕生日に朝から転びそうになるなんてきっと落ち着きがないと思われてしまったかも…


…ちょっと落ち込みますね。


 だんだんと俯いていく私の頭を優しく撫でる温かい手。


「キィ?」

 のろのろと頭を上げ見上げると私を見ていつものふんわり笑顔が見えました。

 しかも今日のアズハルの陽気に咲く花まで見えそうで……。



 そうそう、この世界にも四季のようなものがあります。

 〔日本〕の春にあたるアズハル、夏=ララン、秋=アイティオ、冬=セルイ

 ただ、違うのは13ヶ月あるのでアイティオとセルイの間にウルジュワーン(精霊の休み月)というひと月が入ります。


 閑話休題。



「ルゥ様。私はそんな事を考えておりませんし、落ち込む必要もありませんよ」

「でも、7才になったのに…」

「これからでも遅くはありません」

「そうですね、がんばります!」


 意気込む私に笑ったキィは祝福を、と私の額にキスを落とします。

 さっきからビックリさせられてばかりです。ムキーとむくれる私にキィはニコニコ。



 って、いつまで廊下にいるのでしょう?

 


「キィ? 中へは入らないのですか?」

「出来れば、このまま部屋にお戻り頂きたいです」

「……でも、お父さまとお母さまにごあいさつしたいですし」

「戻るという選択をお薦めいたします」



 珍しく真剣な表情のキィ。なんででしょう?

 でも私にも切実な事情があるのです!!



「あさごはん食べたいです!」

「それは困りました」

 と大げさに驚いた表情を浮かべて「『朝ごはんは大切』ですね」といつもの優しい微笑みに戻ったキィ。良かったです。



「仕方ありません。それではお嬢様、気を付けてお入りください」

「はい?」 

 

 私を下ろし、扉へと進むキィ。

 「ご武運を」とちょっと不吉な言葉と共に食堂の扉が開かれます。

 


 え? なに? と混乱していると---

 


---目の前が真っ暗になり、く、くるしい!


「お誕生日おめでとう!! 私の可愛いルゥちゃん♪」

「まて、ディー!! それは俺の役目だろうがっ!」

「あぅ!」

「良いではありませんか、早い者勝ちです」 

「!!」

「お…か……」

「お父様は心が狭いですねぇ。ねぇ、ルゥちゃん?」

「イヤ……魔術使うのナシだろ?」

「気のせいではありませんか?」

「…う……きゅぅ」


「旦那様、奥様」

「止めるな、キームン」

「あらあら?何かしら?」


「お二方とも、お嬢様の」

「ん?」

「え?」



「意識がないようですが」

「「!!!!!」」

「………」

「ルゥ!!!」「ルゥちゃん!?」


 ……。こういう事だったんですね……キームンさん。

 出来れば早く止めていただきたいです。


 おなかすきました。ぐったり。





――――ゆらゆら  ユラユラ


   白い粒子が 煌めいて


  落ちる 堕ちる おちていく


 行きつく先に あるものは 〔彼女の想い〕




―――あなたはだぁれ ないてるの?



 遠くから聞こえる泣き声に大丈夫だよと手を伸ばし―――




「ルゥ!!」

「ルゥちゃん!」

「お嬢様!」


 不思議な夢を見て目が覚めると、目の前に心配顔のお父様にお母様。

 少し離れているキィも心配顔。

 

 目をぱちぱち。え~と取り敢えず


「おはようございます、お父さま、お母さま」

「良かった、目を覚ましたな」

「ごめんなさいね、ルゥちゃん。お母様、嬉しくてつい」


 そう頬をほんのり染めながら言うのはキャンディお母様。

 珊瑚色のウエーブがかった豊かな髪とアザレア色の瞳。

 とっても優しいお母様ですが、怒ったときはお父様でも敵いません。

 珍しい光の精霊の加護を持ちのため、たまにお医者様にもなるそうです。

 私のお母様はすごいのですよー! えっへん♪



「すまんな、ルゥが7歳になったのが嬉しくてな」


 苦笑いも素敵な自慢のリシーハットお父様。

 銀朱(ぎんしゅ)色の髪と紫苑色の瞳で格好良いのです!

 魔術師団団長さんで偉いんだよって言ってました。

 今度、お仕事拝見できるのでワクワク!



「はい! わたしもうれしいです!」

「待ち望んでいたものね」

「まほー、つかえます!」

「魔法じゃなくて、魔術な」

「まじゅ(くぅ~)……!」


「「「………」」」

「朝食の準備は出来ております、皆様お席のほうへ」


 お父様とお母様と顔を見合わせ大笑い。

 すまし顔で言ったはずのキィも耐え切れず笑ってます。

 控えてくれている侍女のみなさんもニコニコ顔。


 こういう時にみんなで笑える家族が大好きです!



 ……そして、朝ごはんは大事です!


 本日の朝食は、焼き立てパンとお野菜たっぷりスープにふわとろチーズ入りオムレツ(特別♪)と絞りたてオランのジュース。


 絶品でした、ごちそうさまです。





お読みいただき、ありがとうございます!


 時間の概念も殆ど〔日本〕と同じです。日数は違います

 60分=1時間、24時間=1日

お読みいただき、ありがとうございます!


ちなみに、

 一週間は7日…ルナエ(月曜)グレナ(火曜)スマル(水曜)パロット(木曜)ミィイル(金曜)クラロ(土曜)ジンク(日曜)

()内は〔日本〕ではということです。

 4週間で一か月(28日)で一年は13ヶ月の364日

アズハル()ララン()アイティオ()ウルジュワーン(精霊の休み月)セルイ()

秋冬が長い感じですね。



※オラン=オレンジ

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