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01 はじまり ―7歳の朝―

短編より小さい頃からはじまります。


――――ゆらゆらと白い粒子の帯が流れている上を色を変えながらシャボン玉のようなものが舞う



  紅から黄色へ緑へと 青から紫、桃色そして朱へと



    くるくる くるくる



 いろんな色に変化しながら私の周りを漂っている 



  それはわたしの〔大切〕なもの 



    いかないで――――――――――



 だからわたしは手を伸ばして――――――



―――――――――――――――――――――――――――


     光

         車


      朱    黒  


  

  あぁ、サエちゃんごめん、ありがと―――


       


―――――――――――――――――――――――――――






 「まって!」

 ハッと()は飛び起きました。

 思わず何かを引き留めようとする様に上げた手をゆるゆると下ろします。

 直前まで夢を見ていたような気がするのですが……以前と同じように全く覚えていません。

 7歳児だというのに、もう記憶力がないのでしょうか……。 これが『転生』と言うものの結果なのでしょうか? そうだとしたら悲しいです。

 

 そもそも、その『転生前の記憶』もハッキリとはしていません。

 

 ハッキリと頭に刻まれているのは〔事故死・日本人女性・享年30歳〕〔従姉妹のサエちゃん〕〔お菓子の作り方〕の3つに関すること。


 〔事故死・日本人女性・享年30歳〕は文字を見ている感覚ですね。どんな容姿なのかも仕事していたかも分かりません。それに付随する〔日本〕のこともおぼろげで曖昧です。

……さんじゅうですか。今日が7歳の誕生日ですから合計……さんじゅうななさい?

 ……………前の私さん、ごめんなさい。貴女の記憶にある『子供の中の知識は大人』と言うものにはなれそうになりません。ってこれってどういうものですか??


 〔従姉妹のサエちゃん〕については感謝という言葉も浮かびますので、きっと仲が良かったのでしょう。


 一番役に立っているのは〔お菓子の作り方〕でしょう! 料理長さんと家族に感謝されました。これだけは色々と早く思い出したいですね!! しうくりぃむってなんだろう? 早く思い出すといいな~わくわく♪


 美味しいは何よりなのです♪



ちょっと自分のことも確認しておきましょう。


 私はルフナ・メルローズ 今日で7歳。

 瞳はリシーハットお父様と同じ紫苑(しおん)色。髪は背中くらいまでにやっと伸びた、キャンディお母様譲りの緩やかなウェーブ珊瑚色。最近色々な髪形が出来て嬉しいです!


 あ、メルローズ家は侯爵位を賜っております。


 使用人の皆様も優しくて大好きです。

 え~とそれから………



―――コンコン

「お嬢様? 起きていらっしゃいますか」

 ボーっと考えていたら部屋の扉がノックされました。 ああ、もうそんな時間なのですね。

 良かった~今日は彼女達が入ってくる前に目覚められました!


「はい、起きていますので。どうぞ」

「「失礼いたします、お嬢様。おはようございます」」

「おはようございます。セラ、エネ」

 

 そう言って入ってきたのは私の侍女のセラとエネ。

 セラはセピア色の髪とモスグリーンの瞳で15歳。子爵令嬢なのですが行儀見習いとしてうちで勉強しているんです。とても優しくて、髪を結うのが上手なのです。

 いつも綺麗な所作だから見習わないと!


 エネは短めの黒髪でヘーゼルブラウンの瞳の12歳。ちょっと失敗もするけど元気いっぱいで私まで元気になるんです。

 


「本日のお召し物はいかがいたしましょうか」

「う~ん、お任せしてもいい?」

「はい!今日は私に決めさせ下さい!!」

「お、おねがいします」


 すちゃっと手を上げるエネに苦笑いのセラ。朝から元気ですね、エネさん。

 

 エネが選んでくれた遠く東の国にしかない樹で染めた『サクラ色』の軽めのドレスを着て、セラに髪を整えてもらいます。朝なので髪留めで留めるだけにしてもらいました。

 この髪留めもそのサクラという樹の花の意匠だそうで、なにか懐かしい気がしてお気に入りなのです。

 

---コンコン 

   シャラン


 鏡の前でもう一度姿の確認をしているとノックの音と時計が音を鳴らすのが同時に響きました。

 ふと時計を見ると7時。時間通りですからきっと彼でしょう。


「お嬢様、お支度はいかがでしょうか」

「終わりました、どうぞ」

「失礼いたします、お嬢様」

 おはようございますと入ってきたのはキィ。


 キームン・エディアール

 深緋(こきひ)色の瞳と艶やか黒髪を後ろで一つに束ねた、一年前から仕えてくれている私の侍従。11歳だそうです。

 昨年事件に巻き込まれた時に会い、それから何故か私専属になったのです。私は全然覚えていなのです。

 エディアール一族は自身で主を選ぶと言うことらしいですが、どうして私を気に入ってくれたのか教えてくれません。むぅ。

 

「お嬢様、おたん…」

「「わあああー! ダメですよ!キームンさん!!」」

「わっ!!」

「旦那様方の楽しみを奪ったらダメです!」

「そうです! さっき見たら旦那様、ウキウキしてましたもん!」

 ……お父様。


 慌てた様子でセラとエネが二人が仮でキィに手を振り止めます。

 ビックリして思わず固まった私を見て3人は罰の悪そうな顔。


「すみません、お嬢様。驚かせてしまいました」

「「申し訳御座いません」」

「だ、だいじょうぶです」

「それでは、今日のスケジュールですが…」

 切り替え早いですね、キィ。


 先にセラとエネは他の仕事があるので退出していきました。なので今はキィだけが部屋に居ます。

 スケジュールの確認が終わり、時間までまったりです。

「ルゥ様、今日のお召し物はいつも以上によくお似合いですね」

「ありがとうございます、好きな色なんです」

 キィは私だけになると呼び方が変わります。いつでもルゥで良いと言っているのですが、けじめなんだそうです。

 ふんわりと笑うキィはとても綺麗で見惚れてしまいます。世間のお姉様方はきっとメロメロでしょうね~。私の侍従は罪作りですね! 11歳なのに!!


「ルゥ様……。なにか変なことを考えていませんか?」

「……イエナニモ?」

「そうですか」

「そうです」

 にっこりとほほ笑んでおきます。キィの目が笑っていない気がします!あぶないあぶない。

 心の中があわあわしているのを見透かしたのか、今度はいつものふんわり笑顔です。良かった~

 しかし、機嫌が治ったのは良いですがなにか腑に落ちませんね! もぅ!



「そろそろお時間ですので参りましょう、ルゥ様」

「はい、お父さまとお母さまのもとへまいりましょう♪」

 意気込んで進む私をエスコートしているキィが微笑んで頷いてくれます。

 

 さあ、これから7歳が始まります。


 〔サエちゃん〕さん、私頑張りますね!



読んでくださりありがとうございます!


20150422修正5歳→7歳

20150608修正さんじゅうにさい。→さんじゅうですか。

申し訳ありません! ご指摘ありがとうございました!

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