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 ランさんの服の下を透視できる能力は、生憎と付加されなかった為、豊かな妄想で我慢することにしました。


 つまり、飽きました。



 とっても噛み砕いて説明してくれているけれど、説明多くてもう容量超えました。昭和製造で元々低スペックだから、入りません。それを察知したのか、ランさんは百合のような白い花が描かれたティーカップを優雅に置くと、微笑む。この人は、会ってからずっと微笑んでる。目が笑ってない顔だけの笑みじゃなくて、嬉しくて楽しくて仕方ない、って感じの笑み。人間関係の形成が不得意ではあるわたしだけど、この笑みが本当なのかくらいはわかる。


「マイコ様も突然なことで、戸惑うことが多くあるかと思います。ですが、私は、この身の血肉すべてを貴女に捧げております。些細なことでも構いません。マイコ様の御心の中のことを御一人で抱え込まず、どうか、このランカレンツァを御頼り頂きたい」


「あ、有難うございます…。本当に何から何までお世話になっちゃうかもしれませんが、ランさん、宜しくお願いします」


 プロポーズみたいだな…、とか一瞬でも思ったけど、重い、重すぎる。

 血肉すべて捧げられても困るというか、本気の顔すぎて茶化すこともできず、受け入れてしまったイエスマンな日本人の性質を許して。こんな褐色の肌のイケメンに真面目な顔で言われてたら、多くの女はうなづくしかないのです。デブスだって女なんだよ。


「下僕に頭を下げる必要はございません。私は、幼少の頃より、この地に訪れる異世界人は、この世の美しさをすべて抱いた女神だと思っておりました。この世に舞い降りた春の女神。私の代でマイコ様のお世話ができるなど、何よりもの栄誉。私は、この世で最も幸せな奴隷なのでございます…」


 おおおおおお…ついに奴隷きた。こんな高貴なイケメンが奴隷とか言い出してなんか、ぞわってするよねいろんな意味で。というか、この世界には奴隷っているのかな。

 ランさんは、このデブスの顔をじっとりねっとり見つめがら、うっとりとした顔をされていて、声かけ辛い!でもイケメン。なんかぞわってするイケメンだけど、美しい顔って得だなあ。


「ああ…この時が止まってしまえばと、永遠の時を望んでしまいそうです。しかし、磨き上げられた水銀晶の如く脆くか弱きマイコ様をいつまでも私のような醜い年増の男とお過ごしになられるのは、おつらいでしょう。夕餉まで時間が幾分ございます。マイコ様の住居を用意しましたので、しばしお休みになられますか?」


「ちょっと疲れたので、お願いします」


 イケメンのランさんのお顔をずっと拝見していたいけれど、精神的ダメージほんと大きいから、あれ、芸能人とかアイドルをブラウン管越しに見ていたい的なイケメンです。そして、夢の癖に精神的ダメージ大きすぎて疲れた…ただひたすらに疲れた…。


 ランさんはすっと立ち上がると、わたしの前まで来て、浅黒い肌に真珠のように滑らかな爪がのった骨ばった長い手のひらを差し出す。ほああああああほっんとイケメンじゃあ。

 日本に住んでいてエスコートなんて、まずされることなんてないし。男子と触れ合うのなんて、男の店員さんにお釣り貰うときにちょっと触れるくらいのデブスがこんな漫画の中でしか遭遇しないエスコートシチュエーションを体験する日がこようとは…。いくらデブスでも女は女。自分のまあるい顔に血が集まって心臓がドコドコと暴れまくる。


 ま~つりだまつりだ~!


 て脳内BGMが流れるのを必死に脳裏から追い払おうとするけども、追い払えない!

 さぶちゃんが!


 手汗でびしょびしょになった手を服で拭ってランさんのひんやりした手に乗せた。なんだか一瞬ランさんが残念そうな顔をしたのは勘違いかな?ランさんの金色と黒色が混じった瞳が黒の割合が角度によってなのか、多く見えた。



 だれか、脳内のさぶちゃんを止めて!

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