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 結論から言ってしまえば、この夢の世界の美醜観念は、わたしのようなデブスが美人であったということ。そして、いかにわたしが絶世の美女であることをこの国のお偉いさんの一人である超絶エキゾチックイケメン(35歳独身)に小一時間力説されました。む、胸焼け…。


 途中、賛美されすぎて神の領域まで行ったわたしの美貌(笑)に、あーやべー聞くんじゃなかった、てとても後悔したけれど、慣れない賞賛の言葉に妙に興奮いたしました。そして、三十分(体感時間)くらい経過したあたりでランさんの言葉は、右から左に大脳を通過することなく流して、熱弁する色っぽい年上イケメンを只管に干渉する御時間にしました。褐色の肌ってとってもおエロでありました。


「…ですから、マイコ様はこの国の至宝であり、唯一の存在と言ってよいのです。」


 ずぞぞぞぞ…


 お茶がなくなるタイミングをどこかで見ているのかと思うほど、ちょうどよいタイミングでおかわりを接ぎに来てくれるイケメン君。最初は赤髪くんで始まり金髪君、銀髪君と続ぎ、全員がびっくりするぐらいのきらきらイケメンで、みんなランさんのお弟子さんなんだそうだ。目が合うと、お美しいお顔をうっとりとした表情にされて、もう余は満足じゃ状態、ああ気分いいね!

 地球人にとってみんなイケメンだけど、ここでは不細工なんだって。でも魔力を持っていてそれを扱える才能があるから、顔なんて関係ないんだって。ちなみに、魔力という力があって、持ってる人が大半なんだけど、持ってない人も少ないけどいるらしい。詳しい説明をされたけど、原子や分子がどうたらこうたら、構成式云々と専門用語などは省いて説明してくれたけど、なんだか難しくてよく分からなかった。微妙な顔をしたわたしに気が付いたランさんは、今度分かりやすく説明しますね。とにこやかにほほ笑まれて、ぼう…てしてしまった。やっぱりイケメン!


 詳しい仕組みについては、後日説明してもらう約束をして、バカでもわかるようにこの世界について説明をしてもらう。


 この世界は<デッツァデクァティア>という名前で、3つの大陸からなる。そして、異世界とのやりとりは、文献に残っている限り千年くらい前からあって、ある一定の国に何十年か何百年かに一度くらいの頻度で異世界人がやってくるみたい。その周期は誰もわからなくて、前回、この国<ツツァアーレン帝国>に異世界人がやってきたのは、百年前らしい。でも他の国には十年前くらいに一人来てるとのこと。異世界人がやってきたことは、強い魔力の動きでわかったようで、ランさんは言い伝え通りに大きな魔力を感じたこの部屋へ大急ぎでやってきた、ということだったのだ。


 ちなみに、この世界では<魔力>という自然の超能力?のようなものを大半の人が持っていて、その力で電気つけたりお湯沸かしたりなど生活してるそうな。つまり、地球でいう電気を自分で発生させているってことに近いんだと思う。でも、自分の中の魔力は感じられるけど、なかなかそれを自分の意思で出したりするのは難しいらしくて、それを<魔石>という魔力をためることができる石に入れて、生活をしているんだって。すごい、自家発電!


 でも、人によって魔力を持っている量が異なるようで、自分の魔力を注いだ魔石だけでは生活できないことも多くあるようで、そういう時は魔石を買って暮らしている。魔石がないと生活できないなんて、地球でいう電気みたいなもんなんだな~てランさんの説明を聞きながら思う。というか、我ながらすごい設定を考えるもんだな、と感心した。ファンタジーの話ってそんなに読まないのだけれど、願望あったんだなあ。


 そして、こんなに異世界人が丁重にもてなされるかというと、異世界人は全員が全員、魔力保有量が半端じゃなくあるらしく、いわばチート的存在ということ。それじゃあ、わたしも魔導士になって魔力で攻撃とかできるのでは、と一抹の期待がよぎったのだが、ランさんはそんな期待に気付いて、申し訳なさそうに口を開き、わたしに向かって長い指の大きな手の平を差し出した。


「マイコ様は、これが何に見えますでしょうか?」

「え?ランさんの(御綺麗な)手です」

「今、わたしの手の上には魔力で作った球が浮いております。魔導士となる者は、まず魔力がその目に感知できなければならないのです」

「はへーそうなんですね…」

「申し訳ありません…しかし、マイコ様は、魔導士というちっぽけな者とは比べ物にならないほどの魔力を保有していらっしゃる貴い存在なのです。マイコ様から溢れ出す濃厚で濃密で、熟成されたカンビルーツのワインの如く甘美であり、しかし、まだ何も知らない無垢なクァインツァアインの清流のごとく純然たる魔力は、この世で無二の物なのです」

「は、はあ…」


 えっと、なんか魔導士にはなれないけど、魔力の量があって、質がいいってことかな。

 ランさんのわたしへの賛美がこれ以上始まる前に、説明の続きを要求する。


 

説明が続くので分割しました。

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