Chapter16「最強のカード」
「マスター……」
まるで感情のこもっていない、無機質な声が呼びかける。
周りでは親子が楽しげに笑いあっているのに、無粋な程に低く冷たい声。
声色こそとても透き通り可愛らしさを感じさせる少女のもの。外見も体躯が分かりにくい黒のロングコートを着てはいるが、あまりにも小さな身長から少女だということは一瞬で判別がつく。
さすがにこの地区で銀髪の子を連れてくるのは目立ってしまうかもしれないとも思ったが、思いのほか皆自分達以外の事には無関心のようでたまに見られる程度で話しかけてきたりする者はいない。
とはいえ、こうして手を繋いでいるだけで親子を気取るにはあまりにも彼女は素っ気なさ過ぎる。寒気がするほど冷徹な眼光は、一般人は騙せてもその立ち振る舞いから確実にその手の者達には気付かれてしまうだろう。
しかし、それを咎める事もせずマスターと呼ばれた長身の男は視線を動かさず正面に向けたまま、少女の呼びかけに答える。
「分かっている。気付かれたようだな」
「撃ちますか?」
コートの上部ボタンをはずし、懐に手を入れて何かを取り出そうとしていた少女を男は首を横に振りそれを制する。
「いいや、彼らは今回のターゲットではない。何より、あのエンブレム……」
先ほどすれ違った数名の集団。
恐らくはあの能天気そうな少女を護衛しているといったところだろうか。それを囲む者達の雰囲気が明らかに常人のそれとは違っているのは、すぐに分かった。
特に、白い制服を着た少女。一見すると学生服のようにも見えるあの服装は、管理局内のある組織のものだ。
それを示すように、胸には校章ではなくあの組織の一員である証、羽ばたく鷹の紋章がある。
中央管理局本局、中央情報室。
表と裏、二つの顔を持つ中央管理局の裏側に存在するそれは、恐らくこのエデンに住まう人間の中でも知る者は一割にも満たないだろう。
彼らこそがエデンを支配しているとも、それよりももっと上の存在がいるであろうとも言われている。
真実は定かではないが、少なくとも情報室がエデンにおいて上位の存在であることだけは確かなようだ。
そんな者達の一人にこちらから喧嘩を売るようなことをすれば、表側に立つ者達全員の立場が危うくなる。
所詮、表側の連中はエデンを一つの国として運営していくための、丸ごと取り替え可能な装置の一つに過ぎないのだから。
いくらでも替えがきく。故に不要なら切り捨てる。それが必要なら裏の連中は本当にそれを実行してしまうはずだ。
裏側の部隊に勝てるほどの戦力は表にはない。近頃はこちらも色々と仕込んではいるようだが、それでも敵う相手とは到底思えない。
「情報室だ、迂闊に手を出せばこちらの立場が危うい。とはいえ作戦を中止するわけにもいかん、このまま続行する」
「……了解」
少女は短く返すと、取り出しかけていた何かを懐にしまいボタンを掛け直す。
あちらも何かの作戦行動中なのだろうか。とはいえ、こちらの作戦もそれを気にしてやめるわけにはいかない段階まで来ている。
偶然巻き込まれたのだ、仕方ない。
と、その時男の携帯から着信音が鳴った。
男は少女と繋いだ手を離し、ポケットから携帯を取り出して通話ボタンを押す。
『獲物が食いついた。そちらの準備はどうか』
「イレギュラーだ。中央情報室のメンバーが作戦区域にいる」
通話の相手は、数秒間沈黙。
が、
『それはこちらで何とかする。まあ詫びの一つでも入れれば何とかなるだろう。彼らなら万に一つでも死ぬことはあり得んし、それ以上に気を使う必要は無かろう。任務に集中したまえ』
「了解した」
『奴らが上がってきた、あと一分後に接触。全員生かして帰すな』
それだけ言って、通話は切れる。
その内容を少女にも伝えてやろうと男が視線を下に向けると、
「聞いていました、問題ありません。全員殺します」
凄まじい聴力。この喧噪の中で微かな通話の音を聞き分けられるのはさすがだと言うしかない。
強化されているとはいえ、こういう事には個人差がある。つまりそれは、彼女が優秀だということに他ならない。
「よし……民間人も多い、誤射はするなよリフィル」
「了解」
偶然とはいえ、最悪な展開になってしまったことにユーは舌打ちする。
どうやら、何かの作戦がこの区域内で実行中だったようだ。
とはいえ、普通なら巻き込まれないように事前にフィナンシェがこういった事を伝えてくれる手筈になっている。
それが無かったという事は、正規の手続きを踏んで行われている作戦ではないという事だ。
いくら情報室でも、出来る事には限りがある。報告に上がってないものを知るには、こちら側からも何かしらの手段を講じなければならない。
だが今はそれを考えるのは後だ。正規の手筈を踏まないという事はつまり、こちらに申請すれば確実に却下されるような内容だという事。
ユーはポケットから携帯端末を取り出すと、急いで起動しフィナンシェに連絡を取る。
数回呼び出し音を鳴らした後、抑揚のないフィナンシェの声が端末越しに聞こえた。
『何だね? 直接連絡を寄越すという事は緊急事態かね?』
「表の連中が何かしらここでやろうとしてる。そっちに情報は?」
『んー……そんな連絡は受けていないな。という事はヤツら、こっちには言いたくない事でもやろうとしてるのか。ちょっと待っていてくれ、あいつらのコンピューターをハッキングしてみよう。いくら隠そうとしても、我々には筒抜けだ』
フィナンシェがそう言うと、端末の向こうからキーボードを叩く音が聞こえた。
しかしそれも数秒の間だけで、すぐに彼女の声が返ってくる。
『ふぅ……面倒なことになったな。件の話、どうやら表の連中も食いついたようだ。その一環として、邪魔なELFの一部を偽の情報で誘い込んで潰そうという事らしい。完全に私達は無関係だが、どうするね?』
「ならさっさとこの場所から逃げるとするよ。下手に巻き込まれて――」
そこまで言った瞬間、先ほどの二人組が去って行った方角から銃声が響く。
ユーが目を向けると、銀髪の少女が拳銃で数人の男達を撃っているのが見えた。
どうやら、手遅れらしい。
『銃声……始まったか。ノワールを送るかね?』
「いや、何とかするさ。こっちにはまだ手札もある。……じゃあ、切るよ」
『……死ぬなよ。君がいなくなればすべて終わりだ』
それだけ言い残し、通話を切られる。
あちらはあちらでサポートはしてくれるだろうし、最悪な状況になることはないだろう。
「ユー君?」
不安げに悠奈がユーを見る。
なるべく心配はかけないように、ユーはできる限り余裕のある顔を作りながら悠奈の手を握った。
「大丈夫。心配はいらないよ」
言って、もう一度ユーは視線を二人組の方へ向ける。
逃げ惑うELFの男達は、みるみるその数を減らしている。
淡々とトリガーを引く銀髪の少女は、まるで人を殺す機械のようだ。もっとも、そういう風に作られているのだから当たり前だともいえるが。
問題なのは、散り散りになって逃げているELFのメンバーがこちらに向かってきているという事だろう。
呼び込んだという事を考えると、下の階層にもいるはずだ。
「アリス、俺と一緒に来て。退路を確保しよう。ボブは悠奈ちゃんを護衛。下手に動かないでここにいて。大丈夫、あれがクラス3なら銃口を向けるのは敵だけだよ」
とはいえ、ELF側からの流れ弾が飛んでこないという確証もないので、保険も兼ねて半分その意味を無くしたカードの一枚を切っておくことにする。
ユーは腰の無線機を操作し、チャンネルを切り替える。と、
「ユーリ、いきなりで悪いんだけど――」
『状況は分かっている。悠奈君には私がつこう。そう言うと思って、もう向かっているところだしね』
「ごめん、助かる」
説明する手間が省けた。これも、彼女とのそれなりに長い付き合いがあるからこそだろう。
こちらの意図を察してくれる彼女に感謝しつつ、ユーは腰のホルスターからP226拳銃を抜くとスライドを引いて弾丸を装填する。
「西側の出口から出るよ。ボブは応援がくるからそれまでここで悠奈ちゃんを固守。そして合流後に君は車を確保、いいね?」
アリスとボブは何も言わずに頷くと、二人とも銃を抜き戦闘に備える。
装備は拳銃のみと貧弱ではあるが、二人は武器の差をカバーできるだけの能力と技術をそれぞれ持ち合わせているので、何とかなるだろう。
ユーはこちらに向かってくるELFの男達に、右手に持ったP226の銃口を向ける。
そのまま大して狙いもつけず、まともに構えないまま数発発砲。
弾は男達の足元に着弾。しかし確実に、男達の足を止めることには成功した。
予想外の方向から撃たれたことに男達も驚愕し反撃もままならぬまま硬直する。
「怯んでくれた。アリス、今のうちに」
「うん!」
ユーがもう一度男達の方を見ると、彼らは別の方向へ走り去っていった。
これで反撃の為に向かってくるようなら射殺しようかとも思っていたが、どうやらこれ以上弾を減らさずに済みそうだ。
どの道どこに逃げようが彼らは殺されるのだろうし、こっちが労力を割く必要はない。
相手が普通の人間ならボブの方がアリスよりも実戦経験も多い分、柔軟に対応してくれるだろう。
周りに休憩所などもあるし、遮蔽物に関しても困ることは無さそうなのでこのままアリスと共に退路の確保を急いだ方がよさそうだ。
「ん? 待てユー。応援ってなんだ?」
「こっちが切れる、最高の手札さ」
それだけ言い残し、さらに首を傾げるボブと悠奈を残したままユーはアリスを連れ退路の確保に向かった。
「大丈夫かい? アリス」
ふと、背後で一緒についてきているであろうアリスの方へ顔を向けた。
彼女が警備部隊に入ってからの経歴はデータ上でしか確認していないためいささか不安がよぎる。なにせ、三年前まではろくに訓練も受けずまともな銃を握ったことすら無かったような子だ。
いくらボブが教えているとはいえ、訓練での実力を実戦で発揮できるかどうかはやはり経験がものを言う。
昨日の事件も無事に切り抜けているのだしそこまで心配する必要はないと思うが、ユーもユーで誰かを守りながら戦えるほど戦闘技術は高くないため少し心配になってしまった。
「ん、大丈夫。それよりもユーは平気? 私が前に行こうか?」
アリスは緊張した様子もなく、むしろユーを心配して傍に寄って来てくれた。
ユーの身体能力の一部は確かにクラス3の水準には達しているが、防御面は通常の人間と変わらない。
クラス3レベルの力を持っているものとしては情けない話だが、硬さだけならアリスの方が断然上だ。
とはいえ、アリスを前に出したところで身長差もあって彼女が撃たれれば飛んできた弾はユーにも当たる。それにアリスを楯にするのはさすがに気が引けるので、このままの陣形を保つことにした。
「いや、このままで行こう。アリスは後ろを警戒しててね」
空中庭園の下の階層はショッピングモールとなっており、様々な店舗が連なっている。のはいいのだが、このせいでどこからでも人が湧いてくるので警戒するとなると全周囲に注意を払うことになる。
二人で前方だけ見張るわけにもいかないので、前後にそれぞれ分かれて警戒出来る範囲を広げる。
が、逃げ惑う人の数も尋常ではないため、誰が敵なのかを見極めるだけでも一苦労だ。
出合い頭に撃たれたなんてのはごめんだし、ユーは一発でも当たれば致命傷にもなり得るので集中しないといけない。
「これは……従業員用通路を通った方が早そうだ。急ごうアリス」
「うん!」
人垣を分けて進み、店内から従業員用の通路に出る。
外とは打って変わって殺風景な空間だが、予想通りこちらには人がいない。
アリスははぐれないようにぴったりとユーの後ろに付くと歩調を合わせ、素早く確実に目的地へと歩を進めた。
ユーの姿が消えてから五分ほど経っただろうか。
屋上にはもう、ELFどころか先ほどの銀髪の少女もいなくなっていた。
簡素に作られた休憩所だが、弾避けくらいにはなるとボブに言われて柱の陰に悠奈は隠れていた。
そのボブは、少し前に出て周囲の様子をうかがっている。
せっかく綺麗だった緑色の芝生は、ELFの男達の死体と血で赤黒く汚れていた。
それを一瞥して、悠奈はなるべく声を潜めながらボブに呼びかける。
「ねぇボブ、もうでてもいい?」
「おっと、まだ……いや、誰もいねぇみたいだしいいか」
ゆっくりと悠奈は柱の陰から出てくると、立ち上がりもう一度辺りを見渡す。
動く者は、誰一人としていない。皆あの銀髪の少女に殺されたようだ。
「…………」
「悠奈?」
彼らは、ここまでの事をされる程の罪を犯したのだろうか。
話すことすら許されず、捕まえるような素振りもなくただ一方的な暴力に晒され彼らは死んだ。
「こうまでして、あの人たちは殺されなくちゃならなかったのかな」
「……悠奈」
悠奈の様子に気が付いたのか、ボブは銃をしまって悠奈の方へと歩み寄る。
彼の瞳はいつになく優しげで、悠奈を見つめていた。
「一つだけ……俺が昔居た部隊にいて分かったことがある。管理局はエデンを支配できる力を持つ強大な組織だ。だが、その力は必ずしも正義を以って振るわれはしねぇ。やつらにとっての管理ってのは、正義を行使することじゃねぇのさ」
「じゃあ、悪い人達なの?」
ボブはゆっくりと首を横に振る。
「それも違う。ユーみたいなやつだっている。きっと管理局はもう、その力を自分で制御できねぇくらいに膨れ上がっちまったのさ。複数の意志が混じり合い、それぞれが好き勝手するだけの混沌としたモノにな」
それだけ言ってボブは悠奈の頭を数回ぽんぽんと叩くと、俯きながら体を反転させ背中を見せる。
「あ……ごめんねボブ、変な話して」
「構わねぇさ。ん、んん……しかし何だ、ユー達遅いな。はは」
「まったくだな。我々の指揮官とはいえ、もう少し闘いもうまくなってもらえると私も嬉しい限りなのだがね」
「まああんまり強そうって感じはしないもんねユー君……って、ふえ?」
とても落ち着いた、女性の声。
自然と会話に混ざってきたので、悠奈は一瞬反応に遅れてしまった。
周囲はボブが警戒していたはずなのに、それすら切り抜けて――その少女は背後から悠奈の肩を掴み、そのまま抱き寄せた。
「おー、ぷにぷにしてて気持ちいいなこれは」
「にゃあああああ!?」
ひんやりとした肌が悠奈の頬に触れる感触を感じ、そちらに視線を動かすと真っ白な少女が頬ずりしていた。
不純物を一切含まない真っ白な肌と髪。そこに一点だけ、やけに目立つ赤い色の瞳。
目が合ってしまったというのもあるが、少女のルビーのように綺麗な色の目にまるで魅入られてしまったかのように、悠奈はそこから視線を動かせずにいた。
「な、なんだ!? うお!? 悠奈大丈夫か! おい、離れろそこの白いの」
ボブも気付き、ズボンにしまっていた拳銃を再び抜くと、白い少女にその照準を合わせる。
と、少女はしぶしぶ悠奈から離れ、呆れたように両手を広げた。
「やれやれ、白いのとはなんだ。もう少しまともな呼び方もあるだろうに」
銃口を向けられているというのに、少女は平然と言葉を発する。
怯えるどころか今度はボブの方へ近づくと、
「なるほど君がボブか。聞いていた通りの男のようだね」
「お、おいこらくっつくな」
顔に息がかかりそうなくらい接近され胸を指でなぞられると、さすがのボブもたじろぎ数歩下がる。
「ははは、可愛いなぁ。いやしかし君もいい歳だろうに、私なんかで動揺していると妙な勘違いをされてしまうぞ?」
「なっ!? ちげーよ! それに、誰だってこんな美人に触れられたら――」
「美人? ふーん? ほお? なるほどなぁ?」
にやにやと挑発的な笑みを崩さずに近づく少女から逃げるように、ボブはどんどん後ずさりしていく。完全に彼女のペースに飲まれてしまったようだ。
この数秒だけでボブの扱い方が分かったのだろうか。
「ぬあー! なんなんだお前は畜生!」
「ははは、名乗るのが遅れたな。ユーリだ、ユーリ・アーヴェン。よろしく頼む。ユーから話は聞いているだろう?」
常に笑みを顔に張り付かせた白い少女の名は、ユーリというらしい。
出会いが出会いだけに少し警戒してしまうが、それを察したのかユーリは身構える悠奈の頬に手を当てる。
「ふぁ!?」
「そう身構えなくてもいいだろう。安心してくれ。私は君が想像しているような、同性とそういう感じになるような嗜好は持ち合わせていないからな」
「ちちち違うよ、そんなこと考えてないから!」
「ははっ、責められると必死になるところはユーと似てるな、可愛いぞ」
完全にユーリのペースに流されてしまった。
このまま彼女の好き勝手に弄られるのかと思った矢先、ユーリは両手を打ってその場を静める。
「さてさて、茶番はここまでだ。まだ全てが終わったわけではないからな」
笑みだけは崩さず、口調は先ほどまで悠奈をからかっていたそれとは違い、真面目な雰囲気を醸し出している。
もしかしたら、さっきまでの寸劇は気が沈んでいた悠奈達に彼女が配慮してくれたものかもしれない。
今は確かに、さっきまでの事を考える余裕が無いくらい別の事で頭が一杯になっている。
ただユーリはずっと笑っていて感情が読み取れないので、本当にただ単に彼女が悠奈達をからかいたかっただけなのかもしれないが。
「ボブ君はハンヴィーを取りに行ってくれ。その間の悠奈君の護衛は私が引き継ごう。車を確保できたら、あとは私達を回収して西口に向かいユー達と合流。いいね?」
「お、おう……」
ボブはユーリと距離を取りながらも、承諾する。
やや引き気味になっているのはこれ以上ペースを乱されないようにするためだろうか。
「急いだ方がいい。あの親付きの連中……どうにも厄介な感じがする。時間をかければ取り返しのつかないことになるやもしれん」
「……ああ、分かった。悠奈こと、頼んだぜユーリ」
言って、ボブは駐車場を降りていく。
こうして入れ替わりはしたが、また静かな屋上に二人きりとなってしまった。
「ふむ、これで二人きり……」
「お願いだからそういう事言わないで」
なんだ寒気がしたので、つい悠奈は叫んでしまう。
「なんだ、事実を言っただけだろうに。まあこっちは問題ないだろうさ。あれが追っているのはELFだろうからな。だとすれば……いや、こちらも大差なかったようだな」
数名のELFのメンバーがこっちに向かってきているのが見えた。
生き残りだろうか、或いは下から逃げてきた奴らか。どちらにせよこっちの姿は向こうにも見えているようで、彼らの歩みはこちらに向けられていた。
「八、十……十二人か。まあ何とかなるかね」
ユーリは迎え撃つ選択肢を選んだのか、彼女は腰から銃――それもリボルバーを引き抜くと、ハンマーを親指でゆっくりと起こした。




