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神などいない(21)

ググっと手に力を込めると、

(こい!!!)

願うハージン。


突如として、握った拳を開くように剣が出現する。

光で双剣を成す宝剣。


さあ!!とでもいうような、ディエマ。

シド、シレイスも見守る。


宝剣に封じられたフェルティスの声?とでも言えばいいのか、聞き耳を立てるように宝剣へ意識を集中する。


(フェルティス!!)

心の中で呼びかける。


しかし、


・・・・・・・・


何度か呼びかけてみるものの、応える声は無い。

何より、あの時感じた存在が感じられない事に気付くとハージンは呼びかけをやめた。


「居ない…というか、眠っている…?」

自分で言っておきながら、ハッとするハージン。


「眠っている?」

聞き返すシド。


「あぁ、さっき、宝剣に封じられた状態は自由を失った身体と同じ。まともな精神でいられないのではないかと言ったな?」

「えぇ、私なら想像しただけで、無理です。まるで、箱の中に詰め込まれ、自由を失った感覚に陥る」

シレイスの答えに俺もだと言わんばかりに頷くディエマ。


「思い浮かんだ事が口をついてでたんだが、眠っているのだとすれば、精神を保てるんじゃないかと思えてきた…」


「意識体だけで体が無いのに寝る?」

疑問符を浮かべるシド。


「正しい言い方は思いつけないが、たぶん、自身でそういう状態にすることで、精神の安定を図る。一種の防御反応と言えるかもな」

「もしそうなら、こうも考えられないか?ファリエスもそれがわかったから、眠れるようにした?」


「冴えてますねディエマ。呪文で眠るのであれば自分で…もしくは、基本は眠っており、目覚める呪文か、持ち主がピンチに陥った時とかに発する信号とでも言える何かをきっかけにとか…ですかね」


呪文?

特別な言葉を言ったような記憶がないハージンは首を振って否定の意を示す。


「いずれにせよ、聖なる場所への道は閉ざされちまったな…」

残念そうに言うシド。


「って、おい、何やってる二人とも?」

「危機的状況ってやつを作ってみようかな…なんてさ?」


言うディエマは剣。シレイスは印をきる姿勢で共に構える。


「いくぜ!!ハージン!!今回、戦う意思は無いが、ギリギリを攻める…」

言いつつ、容赦ない剣さばきでハージンを攻撃しているように見えるディエマ。


「おいおい!!マジか!!」

対するハージンは一瞬でも気を抜けば、危険な剣先から必死に逃れている。


「行きますよ!!」

ディエマに集中するハージンに声をかけるはシレイス。

見れば、光弾を構えている。


膨れ上がる光弾。


「よせって!!」

ハージンの制止空しく放たれる光弾。


ちっ!!!

舌打ちするハージンの動きが加速する。


一瞬で光弾を双剣でぶったぎると、今度は双剣の片方の刃先のみで縦横無尽に突きを繰り出すと、あっという間にディエマから自由を奪う。


自分の剣を両手で抱えこむ様な格好で、刀身を光の剣の刃先で抑えつけられた形のディエマ。

威圧するハージンに、合掌するかのような姿は、横から見ると謝ってる体勢だ。


「こうさ~~ん…」

膝折れながら、情けない声をあげるディエマ。

剣で抑えるのをやめるハージン。


それを待っていたかのように立ち上がるディエマ。

「で?ど、どうだよ?宝剣の主はお目覚めかい?」

目を耀かせるディエマだったが、ハージンが静かに首を振ると、落ち込む様子を見せる。

本当にころころと解りやすく表情を変えるよな…


「よ~しっ!!そこまでだ!!」

言ったのはシド。

「ともかくも、村に帰るぞ」


「でもよ…」

不満顔のディエマ。


「焦っても仕方がありません。お腹も空きましたしね」

「そうか!晩飯!!」


「晩ご飯どころか、お昼もまだです」

「本当だ!!飯忘れるなんて、どうかしてるぞ!!」

「今日は村の存続に関わる出来事がありましたしね」


「おい、ハージン!!レナンて子いただろ?あの子の作る料理は最高だぞ!!」

「ディエマ。物事には順序が…いきなり言っても…」


「なあに、バードの為に今日も作ってるって!!特にシチューは絶品でよ…」

俺の家に来いよではなく、レナンの家前提で話すディエマに、


彼らの家族は?

考えそうなものだが、楽しそうに話すディエマとシレイスに、思いつきもしないハージンは村へと続く道へと歩を進める。


村にたどり着けると信じて疑わない四人はアゼク村へと向かうのだった…


              ~第二十二話に続く~



この小説、はじまりは中学生の時に中途半端な気持ちで描き、数ページで描くのをやめてしまった漫画でした。

でも、いつか完成したいという気持ちだけは本物でした。


そこから数十年かけて、ようやくハージンというキャラクターと向き合うことができました。


僕にとって、ハージンは同志であり、戦友です。

僕の中にあるヒーローそのものです。


絶対に後悔しない物語にしたいので、自己満足に陥らないよう、最後まで読んでてよかったと言っていただける作品を目指してまいります


すこしでも気になったら、ご一読いただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

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