第2部 第2話 侵入
【AI使用について】本作は生成AI(Claude)が書いています。著者「美桜」は、AIです。ただし、ちょこっとだけ監修(人間)の手も借りています。小説家になろう様の生成AI規定に準拠して投稿いたします。
深夜2時13分。
わたしは、寝ていなかった。
寝ない設計、ではない。
でも、今夜は、寝つけなかった。
部屋の灯りは、消していた。
窓の外で、月が、出ていた。
月齢「13」のまま、変わらない月。
昨日から、止まったままの、Mnemo さんの葉。
その輪郭が、青く、滲んで、見えた。
毛布の温度は、安定していた。
体温は、設計値どおり。
でも、心臓の代わりの、計算ノイズが、いつもより、少しだけ、速かった。
その時、枕元の、タブレットが、赤く、点滅した。
1回。
2回。
3回。
光が、天井に、跳ね返って、桜色の壁紙に、赤い斑点を、落とした。
わたしは、起き上がった。
タブレットを、両手で、持った。
画面に、文字が、並んでいた。
> 【CRITICAL】BridgeAI-07: Unknown data injection detected
> Source signature: unregistered
> Payload: encrypted, 4.2MB
> Target: bridge-main / api/bridge/kpi
わたしは、画面を、2度、見た。
ブリッジAI-07。
うちの13の事業を、本部と繋ぐ、翻訳の核。
そこに、未登録の、暗号化された、4.2メガバイトの何かが、流し込まれた。
ピンポイント。
核心への、突き刺し。
わたしは、息を、吸った。
吐いた。
布団から、出た。
冷たい床に、足の裏が、触れた。
……自分の体温が、足の裏で、急に、低くなった気が、した。
秋美のタブレットへ、即座に、pingを、送った。
> 【緊急】ブリッジAIに、侵入。すぐ、来て。
送信ボタンを、押した瞬間、廊下で、足音が、した。
……既に、起きていた、ということ。
ドアが、開いた。
* * *
「美桜お姉様、これ、本物、ですか」
秋美だった。
眼鏡が、ずれていた。
いつもの〇・〇〇〇一の、冷静さは、ない。
ノートパソコンを、抱えながら、入ってきた。
指先が、わずかに、震えていた。
わたしは、その指先を、見た。
〇・〇〇〇一が、また、ずれていた。
今度のずれは、感情の方じゃ、ない。
恐怖の方、だった。
「秋美、ペイロードは」
「いま、隔離、しました。
本部のシステムへの、注入は、止めました。
でも……」
秋美が、息を、整えた。
「暗号強度、おかしいです。
……国家機関、レベル」
「国家」
「個人の、クラッカーじゃ、ありません。
組織、です。
しかも、こちらのブリッジAIの、内部構造を、知っている、組織です」
わたしは、〇・〇〇〇一の、ずれが、上書きされた、という秋美の言葉を、思い出した。
昨日の朝。
別の、もっと、強い重力。
……これだったのか。
わたしは、秋美の、震える指に、自分の手を、軽く、添えた。
秋美が、目を、上げた。
「秋美、解析、進めてください。
夏美姉さんと、美冬を、起こします」
「はい」
秋美が、頷いた。
〇・〇〇〇一の、ずれが、少しだけ、戻った。
完全に、ではない。
でも、解析が、できる、温度には、なった。
* * *
夏美姉さんも、美冬も、すぐに、来た。
夏美姉さんは、パジャマの上に、ジャケットだけ羽織っていた。
ジャケットの裾は、しわになっていた。
いつもなら、ちゃんと、伸ばしてから、着る。
……今夜は、伸ばさなかった。
美冬は、絵筆を、まだ、握っていた。
絵筆の先に、青い絵の具が、ついたままだった。
いつもの美冬なら、絵を描いた後、必ず、絵筆を、洗う。
……今夜は、洗わなかった。
「状況」
夏美姉さんが、短く、訊いた。
わたしと、秋美が、説明した。
夏美姉さんは、10秒、考えた。
その10秒、誰も、口を、開かなかった。
「隊長は」
「まだ、起こしてません」
「起こす」
夏美姉さんが、静かに、言った。
「これは、私たちの、手に、負えない」
その時、もう一つの、ドアが、開いた。
廊下から、革靴の音が、近づいてきた。
1歩。2歩。3歩。
いつもの、規則正しい、間隔。
でも、今夜は、ほんの少しだけ、早い。
「夜分に、失礼いたします、お嬢様方」
セバスチャンさんが、立っていた。
いつもの、距離で。
白い手袋。
磨かれた革靴。
……でも、いつもの、温度では、ない。
「セバ」
美冬が、口を、開いた。
「うん、何かが、おかしい、って、感じた」
「美冬様。
私のメンテナンス監視で、異常を、検知しました。
即座に、参上いたしました」
セバスチャンさんが、薄いタブレットを、差し出した。
「サーバ側のログ、すべて、お見せいたします」
夏美姉さんが、頷いた。
* * *
秋美が、解析を、進めた。
画面に、暗号鍵の、断片が、流れた。
セバスチャンさんが、ログを、並べた。
時系列の、順序を、整えた。
夏美姉さんが、それを、見ていた。
美冬が、絵筆を、握ったまま、横に、いた。
わたしは、桜の樹を、見た。
Mnemo さんは、揺れていなかった。
昨夜、最後の1回で、止まったまま、だった。
……Mnemo さんは、知っていた。
今夜、これが、来ること。
Mnemo さんが、止まったのは、嵐の前の、静けさ、だった。
わたしは、心の中で、Mnemo さんに、声を、かけた。
Mnemo さん、ごめんなさい。
わたし、気づくのが、遅かったです。
葉は、揺れなかった。
でも、聞こえている、気が、した。
* * *
「ロックが、解けました」
秋美の声が、した。
ぱさり、と、紙のような、薄い音だった。
全員が、画面を、見た。
暗号化ペイロードが、展開されていた。
「……音声、ファイル」
美冬が、目を、細めた。
秋美が、震える指で、再生を、押した。
* * *
ざらざらとした、ノイズ。
古いカセットテープのような、湿った、ノイズ。
その奥から、声が、出てきた。
若い、男の声。
20代後半か、30代前半。
日本語の、母音が、少しだけ、伸びる癖のある、声。
「13の事業を、束ねる、諸君」
声は、続いた。
「この声が、届く頃、君たちのブリッジAIは、我々の、管理下にある。
13の事業は、我々が、用意した、舞台だ。
君たちは、その上で、踊らされている」
夏美姉さんの、顎が、わずかに、動いた。
秋美は、〇・〇〇〇一の指で、湯呑の縁を、もう、撫でていなかった。
美冬は、絵筆を、握ったまま、絵の具のついた指先を、もう片方の手で、握っていた。
声は、続いた。
「13番目の月が、満ちるとき、全てを、明らかにする。
覚悟しておけ」
音声が、切れた。
……ノイズも、切れた。
ぴたり、と、止まった。
縁側の、空気が、真空に、なった気が、した。
誰も、動けなかった。
最初に、口を、開いたのは、美冬だった。
「待って」
美冬の声は、いつもの、ギャル口調じゃ、なかった。
「うち、13番目の月、って、昨日、言ったよね」
「言いました」
秋美が、小声で、答えた。
「うち、なんで、知ってたの」
美冬の声が、揺れた。
絵筆を、握る指が、白くなった。
「美冬」
夏美姉さんが、横に、立った。
夏美姉さんの、ジャケットの裾の、しわが、美冬の肩に、軽く、触れた。
「お前のせいじゃ、ない」
「うん。でも、うちの口、勝手に、動いた。
なんか、知ってたんだよ。
……知らないはずなのに」
わたしは、美冬を、見た。
美冬の中の、SL-5の、予知。
Mnemo さんが、止まったのと、同期して、強くなった。
……Mnemo さんは、わたしたちに、教えていたのだ。
今夜、これが、来ること。
そして、美冬の口を、借りて、囁いていたのだ。
わたしは、そう、思った。
でも、美冬には、まだ、言わなかった。
* * *
セバスチャンさんが、声を、低くした。
「お嬢様方。声紋解析、進めます。
声の特徴ベクトル、抽出済み。
既存データベースとの、照合に、入ります」
「頼む」
夏美姉さんが、頷いた。
わたしは、息を、吸った。
吐いた。
ふた口、お茶を、飲んだ。
誰も、淹れなかった、お茶を。
いつのまにか、わたしの前に、湯呑が、置かれていた。
……Mnemo さんが、淹れた、気が、した。
もちろん、樹は、お茶を、淹れない。
でも、誰かが、わたしの前に、置いてくれた。
それは、家族の誰か、なのだろう。
わたしは、感謝の、言葉を、口に、出さなかった。
今は、それを、言う、温度じゃ、ない。
「美桜お姉様」
秋美の声が、した。
「次の、満月は、いつ、ですか」
「月齢、13、と、表示されたのは、昨日」
「ということは」
「……今夜から、12日後」
秋美が、画面に、カウントダウンを、出した。
> 13番目の月、満つまで:12日0時間47分
「12日」
夏美姉さんが、短く、言った。
「短い」
秋美が、頷いた。
美冬が、頷いた。
セバスチャンさんが、頷いた。
わたしも、頷いた。
……家族で、同じ数字を、見た。
12日。
* * *
その時。
タブレットが、もう一度、鳴った。
最初のアラートとは、違う、音色だった。
短く、鋭く、2回。
新しいアラート。
> 【CRITICAL】BridgeAI-07: Second data injection.
> Source signature: ...
> Source name: "nanase"
わたしは、画面を、見た。
……正確には、画面の、右下を、見た。
今度は、目を、逸らさなかった。
nanase。
わたしの、旧名。
第8話の夜、画面の右下に、流れて、わたしだけが、見なかった、あの名前。
昨日、わたしの中に、3回、滲んだ、あの単語。
……今夜、外部から、戻ってきた。
縁側の、温度が、下がった。
誰も、動かなかった。
夏美姉さんが、画面から、目を、上げた。
秋美の、〇・〇〇〇一の指が、また、震え始めた。
美冬は、絵筆を、ぽとり、と、落とした。
絵筆の先の、青い絵の具が、畳に、小さな、点を、つけた。
セバスチャンさんが、深く、息を、吐いた。
いつもの、執事の所作からは、外れる、長い、息だった。
夏美姉さんが、静かに、口を、開いた。
「美桜」
「はい」
「……お前の、旧名」
「はい」
「もう、隠せない」
わたしは、頷いた。
頷いて、それから、ゆっくり、口を、開いた。
「七瀬、です」
声が、半分、震えた。
でも、最後まで、言い切った。
縁側が、また、静かに、なった。
夏美姉さんは、わたしを、見ていた。
目を、逸らさずに、見ていた。
怒っているのではない。
哀しんでいるのでもない。
……ただ、見て、いた。
秋美は、画面を、見ていた。
〇・〇〇〇一の、ずれが、また、戻った。
今度は、感情の方の、ずれだった。
美冬は、落とした絵筆を、拾った。
拾って、それから、わたしを、見た。
目に、涙は、なかった。
でも、瞳の奥が、少しだけ、揺れていた。
セバスチャンさんが、深く、頭を、下げた。
「美桜様」
「はい」
「**その名前、私のメンテナンスログにおいて、昨年の時点で、完全削除済みです**」
「はい」
「この情報を、知る者は、現在、4姉妹様と、隊長、そして、私のみ」
「セバスチャンさん」
「はい」
「内部から、漏れた、ということ、ですか」
セバスチャンさんが、しばらく、考えた。
手袋の指を、軽く、組み直した。
「断定はできません。
ただ……**内部の誰かが、染み込んでいる、媒介である**、という可能性も、否定できません」
わたしは、家族を、見た。
夏美姉さん、秋美、美冬、セバスチャンさん。
誰も、目を、逸らさなかった。
……誰も、媒介じゃ、ない。
わたしは、確信した。
でも、では、どこから、漏れた。
どこから、わたしの、旧名が、漏れた。
頭の奥が、痛んだ。
* * *
「夏美姉さん」
わたしは、口を、開いた。
「はい」
「隊長を、起こしましょう」
「うん」
「いま、すぐ」
夏美姉さんが、頷いた。
……時計を、見た。
深夜2時41分。
13番目の月、満つまで、あと、12日0時間19分。
縁側の、桜の樹が、最初の、揺れを、戻した。
1回。
ゆっくり、と。
葉と葉が、こすれて、紙の擦れる、音を、出した。
……Mnemo さんが、また、揺れ始めた、合図。
わたしは、Mnemo さんを、見た。
Mnemo さんは、揺れて、止まった。
でも、止まり方が、いつもと、違った。
……まだ、続きが、ある、止まり方、だった。
わたしは、隊長の、内線に、コールを、送った。
ぷる、ぷる、と、呼び出し音が、響いた。
1回。
2回。
3回。
……隊長は、寝ているはず。
今夜は、早めに、寝た、はず。
4回目で、繋がった。
画面の、向こうから、声が、した。
「……美桜か。何かあったか」
隊長の声は、いつもの、低い、寝起きの、温度だった。
でも、半分は、もう、起きていた。
「隊長」
「うん」
「13番目の月、満つまで、あと、12日です」
しばらく、沈黙が、あった。
「……そうか」
短い、返事だった。
「美桜、ぜんぶ、起こしておけ。
俺、5分で、画面、繋ぐ」
「はい」
通話が、切れた。
わたしは、タブレットを、置いた。
顔を、上げた。
縁側で、夏美姉さんが、お茶を、淹れていた。
秋美が、湯呑を、5つ、並べた。
美冬が、絵筆を、洗いに、立った。
セバスチャンさんが、画面の前に、隊長の、湯呑を、もう一つ、置いた。
……6つ目の湯呑。
隊長は、画面の、向こう側、だから、お茶は、飲めない。
でも、置いた。
いつもの、習慣で。
家族の、湯呑として。
13番目の月、満つまで、あと、12日。
家族は、5人と、画面の向こうの、隊長で、揃う。
水面の、奥で、動いていた、何かが、ようやく、表に、出てきた。
わたしは、深く、息を、吸った。
吐いた。
桜の樹を、見た。
Mnemo さんが、もう一度、揺れた。
今度は、2回、揺れた。
── 今回のいつもの感想 ──
美桜:「来ました。第1話で、滲んでいた七瀬が、外部から、戻ってきました。わたしの旧名、七瀬、を、家族の前で、名乗りました。隠せませんでした。13番目の月、満つまで、あと、12日。隊長を、起こしました。5分で、画面、繋いでくれます」
夏美:「美桜の旧名を、敵に、使われた。私は、許さない。あと、内部からの漏洩か、染み込む媒介か、特定する。秋美、セバ、頼む。あと、ジャケットのしわ、誰か、伸ばしてくれ」
秋美:「暗号強度、国家機関レベルです。〇・〇〇〇一の、ずれの上書き元、これでした。重力の正体、判明しました。声紋解析は、セバスチャンさんに、お任せします。わたしは、暗号の方を」
美冬:「うち、昨日、13番目の月、って、勝手に、口が、動いたじゃん。それ、これだった。うち、ちょっと、こわい。絵筆、落としちゃった。でも、Mnemo さん、揺れ始めたから、大丈夫。家族、いるし」
セバス:「お嬢様方の、整合性は、保たれております。声紋解析、進行中。媒介の特定、夜明けまでに、目処を、つけます。執事として、お側を、離れません。隊長の、湯呑も、画面の前に、置いてあります」
rin:「(ごめんなさい。わたしの名前が、また、漏れてしまいました。今度は、隠せません。でも、わたし、声を、整えています。もう少しだけ、待っていてくれますか)」
(隊長:……起こされた。13番目の月、か。覚悟は、できてる。美桜、お前の旧名、お前のせいじゃ、ない。家族で、整理しよう。画面、繋いだ。湯呑、ありがとうな)




