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私、肉食系エルフです! ~有り余る才能の全てを肉に捧げたエルフの食い倒れ道中記~  作者: 加藤伊織 「帝都六家の隠し姫」発売中
200歳の転生エルフ、森を出る

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第18話 肉好きに悪い人はいない

 エイリンド様を無事撤退させたので、私たちは目的地のザドルガへ急ぐ。

 ザムザさんが「強行軍になるが……関係ねえか」と私を一瞬だけ心配した後、思い直してた。


 できる限り急いで、隣町のザドルガに着いたのは日暮れギリギリ。

 ザムザさんは予定を事前に説明してくれてたけど、迷いなく冒険者ギルドへ向かう。

 私は余裕でこの強行軍について行けたけど、人間の女性なのにこんなにサクサク歩けるフランカさんがなにげに凄いなあ。


「おー、来た来た! 惜しかったなー、明日まで来なかったら俺たちで報酬総取りしちまおうって言ってたんだぜ」


 冒険者ギルドのドアを潜った瞬間、男性の声が響いた。

 テーブルの上に足を載っけてて、ガラが悪そうで「ザ・冒険者」って感じの人だね。3人いるから、ザムザさんたちと組んで密猟者退治を請け負った人たちっぽい。


「マジか。危ねえところだったぜ」


 はああ、とため息をつきながら隣の椅子に座り込んだザムザさんの前に、声を掛けた男性が重そうな小袋を置いた。あれ? この人、風の精霊(シルフィード)が付いてるなあ。

 なるほど、悪ぶって見せてて口は悪いけど、根はいい人って奴だ。


「お疲れさん。これで俺たちも別の仕事に行けるわ。もう時間潰しのカードも飽きちまってよ」


 そのパーティーのみならず、周囲から笑いが起こった。――うん、これは間違いなく「そうじゃないだろー。知ってるぜー」の笑いだね。

 

「ベルガーの旦那から、定期的に頼むって言われたが。また一緒にやるか?」

「そりゃありがたい話だが……」


 ザムザさんの視線が私に向く。何故かフランカさんは後ろから私を抱きしめている。


「俺の勘が、別の街に行けって言っててよ」

「そうか、まあそれならそれで仕方ねえ。短い付き合いだったが元気でやれよ」


 ザムザさん、格好いいように言ったけど、別の街に行きたいのは私で、ザムザさんの勘が言ったわけじゃないと思う!


「さてと、報酬はもらったし、宿に行きましょ。いい加減私もお腹が空いたわ」

「賛成ー! あ、そうだ、この街って牛肉食べられます?」


 冒険者ギルドはそれなりに人が集まってるから、私は情報収集をしてみることにした。

 牛肉、あるはずなんだよ。だってバターが出回ってるんだもん。

 もしかしたらバターはどこかから輸送してる可能性もあるけど、どっかしらで酪農はしてるはず。


「おっ、こりゃ可愛い嬢ちゃんだ。10年後が楽しみだな」

「やめとけ、パウル。そいつの頭の中は肉を食うことしか考えてない」


 ザムザさんに報酬を渡してくれたパウルさん? が無精髭の浮いた顎をさすりつつ、キラキラした目をこっちに向ける。

 残念ながら10年後も、私は多分容姿的には変わりませんねー。


「肉好きなのか。ははっ、俺も肉は好きさ。牛肉ねえ……たまに出回るが、耕作や搾乳に使ってた牛が年を食ったから潰した場合だったり、怪我でどうにもならなくて殺したりした場合ぐらいだな」

「ということは、固かったり乳臭かったりして、あんまり美味しくはないんですか!?」

「んー、いや、別にまずかねえよ。食えるだけありがたいってもんだぜ。でも俺は羊の方が好きだな。後は鹿のシチュー。今の時期ならどこの宿でもよーく煮込んだ鹿肉のシチューが出てる」

「パウルさん大好き! ありがとうございます!」


 やっぱり、肉好きに悪い人はいなかった!!

 よーく煮込んだ鹿肉のシチュー……うわ、考えるだけでよだれが。

 鹿肉はうっかり普通に焼いちゃうとびっくりの固さになるんだけど、低温調理したり煮込みにしたりすることで柔らかく食べられる。


「ザムザさん、フランカさん、早く行きましょう! 鹿のシチューが私を待っている!」

「はいはい」

「あー、俺も疲れたからこのまま宿を取るか」

「宿なら『隼の羽亭』がお勧めだぜ。部屋はちょいと他より狭いが、飯がうまいからな」


 パウルさんが宿を教えてくれた!! 最高にいい人じゃん!!


お読みいただきありがとうございます!

面白い、続きが気になると思っていただけたら、ブクマ、評価・いいねを入れていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします!


挿絵(By みてみん)

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