夢で食べた物
入院中に、食事制限で空腹が辛く、朝起きると布団を噛み締めていたという話。
かと思えば、我慢できずに、病院の食堂でカツ丼を食べて、看護師さんに怒られたという話もある。
両方とも内科的な問題で、実話の別人(身近な人)である。
かく言う私は、外科的な入院だったので、逆に食欲もなく人生初で体重が減った。
ダイエットなんかしなくとも、食欲がなくて食べられなければ自然に痩せるんだと実感した。
まず臭覚が敏感になり、差し入れの苺の香りが強く鼻につく。
平時なら大好物だが、その時は苦しいくらいで、例えるなら、きつすぎる香水のようだった。
早々に家族に持ち帰って貰った。
どちらかと言えば、食い意地の張っている自分には考えられないことだった。
今まで太るからと、敬遠していたハー◯ンダッ◯のアイスを食事代わりに食べることがあったが、10kgくらい減った体重は戻らなかった。
ズボンもダブダブである。
そんな時の夢に出てきた食べ物は、やはり自分が今食べたい物だった。
アイスクリーム屋のいろんな種類のアイス。
食べた味もあれば、初めて見るアイスもある。
所詮夢である。
その中でも、基本的にチーズ系やクリーム系の物が多く登場する。
たくさん食べてもお腹も壊さず、満足そうな自分。
そこでアイスをコーンに乗せてくれるのは、当時好きだったアニメのキャラである。
福◯潤さんの声の、お◯松さんキャラである一◯だ。
彼は本来、接客どころか会話さえ、知らない人とはしないキャラだ。
きっと、福◯さんよりの性格で、出てきてくれたんだろう。
「何にしますか?」と、明るいテンションである。
本来の一◯とは違うけれど、アニメキャラのおまけも貰える特設のアイススタンドは、現実でも行ったことがありミニ座布団を貰った記憶がある。
家族と行ったのだが、何故かピンクを多く貰った。
そんな彼(一◯)のお勧めで、ワサビのアイスとトマトのアイスを食べた。どうしても直のワサビとトマトの味しかしない。
「まずい~」
と渋い顔で訴える。すると、
「実際のは美味しいんだけどねえ」
と、明るく返してくれた。
その時は知らなかったのだけど、有名パティシエが野菜やワサビ等の辛味のある食材で6個や10個入りの、綺麗な模様の宝石のようなチョコを作っているのを知った。
アイスも道の駅などで、玉ねぎやら魚系(刺身のすりつぶした物が混ざった)やらの奇抜な物がテレビで出てきた頃だった。
チョコは昔からあったのかもしれないが、メディアに出たのはきっとその辺だと思う。確か鎧塚シェフが作っていたと思う。
その情報は、退院して暫く後だったので、先取りでこっそり教えてくれたのだろうか?
基本的に夢は見ないし、時々見ても追いかけられる、仕事して焦っているくらいで、良い夢はあまりない。
弱っている時に、励ますのに見せてくれたんだと思っている。(←誰が?)
今はもう、楽しい夢も夢自体も見ていない(と思う)。
テレビの医師は、夢は忘れているんだと言っていたが。
手術のことも10年以上前のことになり、体型もきっちりと手術前以上に戻っている(泣)。健康のことを気にすることも増えてきた。
「食べ物は、食べたことがないと脳は想像がつかない」
そう思える実例だった。
野菜のチョコレートもあの後に食べてみたが、全く甘くないチョコもあるのだと感心した。パッケージを見ながらだと、ほんのり野菜感はあった。でも急にご馳走になれば、よくわからないまま終了したことだろう。
なので夢に出る好物(食べ物)は、視覚も味覚も嗅覚も、しっかり魂に記憶されている物だと思うのだった。