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ブレットの考え

 そしてわたくしはブレットの考えている事が何となく分かってしまう。


「ああ。 恐らくシャルロットが考えている事と同じだと思うぞ。 昔から存在していたような物語を作って、その物語とタリム領にあるソレっぽい場所を結びつければ歴史があるように見える観光名所の出来上がりだ」

「やはり、わたくしが思っていた通りの内容でしたわ」


 確かにブレットの言いたい事は分かるのだが、わたくしは少しだけ不安な事があった。 これには一つ欠点もあるのだ。


「ですが、これを実行するにはそれ相応の物語が必要ですわよ? それもブームでは終わらないような洗練された物語が」


 そう、ブレットの考えている方法を成功させるには何十年と語り継がれる物語を作る必要があり、あいにくわたくしもブレットもお世辞ではないが物語を作る才能があるとは言えない。


 それこそ何十年と語り継がれるような物語を作るには文豪と呼ばれるような才能の持ち主でないと難しいだろう。


 素人が考えた物語で簡単にできてしまうようなものではないのだ。


 しかし、ブレットはわたくしの言葉を聞いて何故か逆にニヤリと口元を緩めるではないか。


「シャルロットにしては珍しく、しっくりくる答えが思い浮かんでいないみたいだな」

「もうっ、勿体ぶらないで早く言ってくださいなっ!」

「いや、こんなシャルロットを観れるのは珍しくてつい可愛くてな。 いつまた見られるか分からないから無闇に長引かせたいと思ってしまった」

「そ、その言い方は……その、ずるいですわっ。 そう言われてしまわれますと長引かされるのもやぶさかではないと思ってしまいますわ」


 好きな人から可愛いと言われてしまうと、早くブレットの考えを教えなさいよと言おうにも言えなくなるではないか。


 そんなわたくしの頭をブレットは少し乱暴に撫でてくる。


「すまんすまん。 教えるからそんな顔をしないでくれよ。 好きな人には笑顔でいてほしいんだ」

「も、もうっ! そういうところですわっ!!」


 まったく、ここ最近ブレットが以前よりも少しだけ好きだの愛してるだのと言い始めたのは嬉しい事なのだが、その度に照れてしまうわたくしがいる事に悔しいと思ってしまう。


「それで、ブレットの考えは何ですの?」

「簡単な事だよ。 それも何種類も物語を簡単に作ることができる」

「そ、そんなチートみたいな事が……」

「シャルロットの能力で人気の童話や御伽噺や昔話、伝承や神話、言い伝えや民話、文豪が残した過去の大作などをこっちの世界、それもタリム領に合わせて作り直せばいいのでは?」

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