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ここは恥ずかしいけれども我慢

「罰なんだが、俺もシャルロットの事を、今日一日撮っても良いか? そしてそれを『写真』とやらにして残したいんだが」

「そ、それを言われましたら、私も撮っていた手前ダメとは言えないではないですの……。 わかりましたわ。 今日一日はいくらでも撮っても、そして何枚でも写真にしても構いませんわ」


 さすがブレットというか何というか。


 私が断り難い事をピンポイントで突いてくる。


 むしろわたくしの妄想の方があまりにも酷くて恥ずかしくなってくる程だ。


「良かった。 これでシャルロットから言質を取れた訳だし、今日はシャルロットとのデートとはまた別の楽しみが出来たよ」

「きょ、今日だけですわよっ!!」

「分かってる、分かってる」


 そしてブレットは早速私からスマホを借りて写メの撮り方を学び、周囲を撮り始めるではないか。


 何だろう。


 いざスマホを渡して、今日一日ブレットに撮られると思うと、わたくしが思っている以上に緊張してきましたわ。


 他人に日常風景を撮られるという気分はこんな感じなのだろうかと、密着取材をされている芸能人の気持ちがほんの少しだけ分かった気がする。


「それで、本日はどこへ向かうんですの?」

「今日はタリム領の西側にあるラヴィーニ伯爵の領地、カルメリアに行く予定だが、他に行きたい場所があればそっちへ変更しても良いぞ?」

「まぁっ! 風と水の都ですわねっ! なんだかんだでわたくしカルメリアには観光目的で今まで訪れた事がなかったのでとても楽しみですわっ! 他の場所へ変更などとんでもございませんっ!」


 カシャ


「写メを撮るときは事前に撮って良いか確認するつもりだったのだが、あまりにもシャルロットの笑顔が可愛すぎてつい。 申し訳ない」

「べ、べべべべ、別に良いですわよっ!? きょ、今日はそういう罰も込みですものっ!!」


 あまりにも不用心すぎたと言わざるを得ない。


 何も考えず思うがまま笑った表情を撮られた事は、確かに恥ずかしいし、できる事ならば削除してほしいのだが、もし逆の立場だと考えた場合『自然な感じでとても嬉しそうに笑うブレットを写した写真』というのは間違いなくわたくしの宝物の一つとして後生大切に持っていそうな程の物になるのは間違いないため、それを考えた場合『削除してほしい』とはとてもではないが言えない。


 そもそも、わたくしはブレットと違って卑怯にも盗撮していた訳ですし、これくらいの事ならばわたくしには文句をいう資格すらない。


 ここは恥ずかしいけれども我慢である。

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