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大人の階段

 そしてブレットは、わたくしが勝手にブレットを盗撮していた事の罰として、ブレットの言う事を一つ聞く事を提示してくるではないか。


 しかしながら誰が悪いかと言われればわたくしであるし、その罰だと言われれば断れる雰囲気でもない。


「わ、わかりましたわ。 何でも一つブレットの言う事を聞いて差し上げますわよ」


 そして、わたくしは承諾するものの、正直言って心臓は張り裂けそうな程、ドキドキと鼓動していた。


 一体、わたくしはブレットにこれから何をされるのだろうか?


 あんな事やこんな事、そんな事までっ!? だ、ダメですわよブレットッ! 罰は一つまでと言う約束だった筈ですわっ!! あっ、そんんあっ!? は、恥ずかしいですわっ!?


「おい、シャルロット? 大丈夫か? 顔が真っ赤だぞ。 体調が悪いのならば今日のデートは一旦中止にして後日に延期しようか?」

「だ、大丈夫ですわっ! す、少しだけ妄想、ではなくて罰について何を言われるのかと想像してしまっただけですわっ。 なので、ブレットが心配するような事ではございませんので安心してくださいまし」


 そしてわたくしがそう言うとブレットは安心したようは表情になる。


 なんだかんだで優しい旦那様だ。


「何だ、罰って言ってしまったから怖かっただけか。 シャルロットは意外とよくよく見れば可愛い所があるよな」

「なっ、か、かかかっ、可愛いだなんて……っ! そ、そんな事もあるかもしれませんけど……」


 い、言えない。


 そんな事を言ってくれるブレットの前で『いやらしい事を、大人の階段を登る妄想をしたので顔が真っ赤になったのです』だなんて、とてもではないが言えませんわっ!


 そして、あたふたとしてしまうわたくしを、ブレットは微笑ましそうな、そして幸せそうな表情で見つめてくるではないか。


 そのブレットの表情を見てしまうと、わたくしまで幸せになってくるので、たまにはブレットの前であたふたしてしまうのも良いものだと思えてくる為困ったものである。


「それで、さっき言った罰なんだが……」

「な、何だが……?」

「俺も今日一日シャルロットを、この『スマホ』というもので『しゃめ』というものを撮って、『しゃしん』というものに変えても良いか? それでシャルロットの盗撮も許そうと思うんだが」

「ぐぬっ……い、良いですわよ……っ」


 本当は恥ずかし過ぎて嫌なのだが、わたくしが先にブレットの事を盗撮してしまった手前、とてもではないが『嫌だ』とは言えず、渋々了承する。

 

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