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それは良かった



「何をしているんだ?」

「う、うるさいですわっ! 少しは乙女心というものを考えてくださいましっ!!」


 ブレットには悪いと思うのだが、照れ隠しで思わずそんな事を言ってしまう。


 と、いうのも本日私はブレットと一緒にデートをすることになっていた。


 そして、今日のブレットはというと、当然いつもよりお洒落に決まっており、馬車の中、わたくしの対面で足を組んで座るブレットの姿を未来永劫半永久定期に残したいと強く思ってしまうのは致し方ない事であると私は思う。


 そして、その欲求に当然打ち勝つことなど出来ず、わたくしはスマホを取り出して動画と写真を、このスマホの機能などブレットが分からないだろう事を良いことに盗撮、ではなくて、撮りまくっていたのである。


 そもそも普段よく乗っている小さめの馬車の場合は私に足が当たってしまうため足を組むことがないので、この少し大きめの馬車に乗っている時にしか見れない貴重な光景である。


 その、普段では見れない光景というのもまた、動画や写真で残しておきたいという欲求はもう抗うことなど出来ないどうしようもないことなのだ。


 ちなみに普段乗っている小さめの馬車であるのだが、婚約してからブレットは私の隣にわざわざ座るようになったので、ある意味では対面で座る光景もまた珍しいものになってしまったのだが、ブレットが対面に座るのと真横に座るのとどちらか選べと言われれば、わたくしは迷うことなく真横を選ぶ。


 当たり前だ。


 そんなのは身体と身体が触れそうな距離よりも、身体と身体が触れ合う面積が多い方がいいに決まっている。


 そんなこんなでカシャカシャと写真をいろんな角度で撮っていると、冒頭の言葉をブレットから言われたのである。


「まぁ、なんだ。 上手く撮れているか?」

「え。ええ。 それは……まぁ、素材が良いので……?」

「そ、それは良かった」

「そ、そうですわね」


 え?


 ちょっと待って。


 え?


 どいう事? ですの?


「さ、先程『上手く撮れているか?』と、仰いました?」

「ああ、言ったな。 それ『スマホ』っていう凄いアイテムなんだろ? お前がよく、その白い板みたいなのを使って何かしているのを見るから向こうの住人にその板が何か聞いたんだよ。 そしてら今見ている風景を切り取って絵として残すことができる『しゃしん』という機能とか、今見えるものを静止画ではなく動く絵として切り取ることができる『どうが』という物に残したりできる機能があるみたいだと言うではないか。 それで魔道具ではないというのだから本当に向こうの世界は凄いんだな」

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