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恥ずかしさに天井は無い

 そして、私の絶叫が屋敷の中をこだまする。


「だ、大丈夫かっ!? シャルロットっ!!」


 そしてそれが意味する事は、当然今現在同じ屋敷に住んでいるブレットに聞こえてしまうということでもあり、ここまで走って来たのであろう、息も絶え絶えになり血相を変えてブレットが入ってきた。


「よ、良かった。 無事みたいだな。 しかし、あんな大きな声を出してどうしたんだ? シャルロットらしくもない。 何かあったのか?」


 私を心配してすぐさま駆けつけて来てくれた事は正直嬉しいのだが、内容が内容なため、流石に教える事などできようはずがないではないか。


 しかしながら、心配そうにわたくしの事を見てくるブレットの表情を見てしまうと、流石にわたくしが叫んでしまった理由を言わなくては心が痛む。


「えっと、そのー……あのー……そのー……あーだこーだあったと言いますか、なんだかんだあったと言いますか……」

「どうしたんだ? 本当に大丈夫か? ここまでしどろもどろになるなんて今までなかったではないかっ。 体調がすぐれないのか?」


 そして言いたいけど言いたくない、言いたくないけど言いたいという心の葛藤に揺れ、なかなか言い出せないでいるわたくしを見て、更に心配そうに話しかけてくるブレット。


 わたくしの事を思っているのならば、何も聞かずにそのまま回れ右をしてこの部屋から出て行って欲しい。


「実はですね……」

「あっ、ちょっ、こらっ! 待ちなさいマリーッ! 何そうするのが当たり前であるかの如くブレットに今あった事を告げ口しようとしているんですのっ!? や、やめなさいなっ!」


 そしてわたくしが言おうかどうか迷っているとマリーがスッと出て来たかと思うと、なんの迷いもなくブレットの下まで行き、耳打ちをしようとしているではないか。

 

「ゴニョゴニョ、かくかくしかじかで、それでシャルロット様は声を荒げてしまったのです」

「……し、知ってたのかっ!? 使用人全員がっ!? そ、そんなバカな……」


 そして、わたくしの静止も虚しくブレットに先程あった事を話し始めるマリーなのだが、マリーが話すにつれブレットの顔がみるみる真っ赤に染まっていくではないか。


 そしてついにブレットは立っていられなくなったのか両手で真っ赤になった顔を隠しながらしゃがみ込んでしまうのと同時に、わたくしもまた『実は昔からブレットの事が好きだ』という事がバレてしまい、顔から湯気が出て来てしまいそうなほど顔が熱くなる。


 そしてこの日、わたくしは恥ずかしさに天井はないのだと知るのであった。

 

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