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ドス黒い黒歴

 そしてアレッタは意を決したような表情で私に向き直る。


「わ、私もマリーさんと同じでブレット様とシャルロット様のお二人は誰が見ても両想いなのに一向にくっつかないのを、毎日『なんでこんなにお互い分かりやすいのにくっつかないんだろうか? まさか、これがこと恋愛になるととことん疎くなる唐変木というやつなのだろうか? なら仕方ないとは思うのだけれども、にしても鈍感すぎでしょう。 あー、ヤキモキしますっ!!』って思いながらお二人を見ておりましたっ!! もちろん、それは私やマリーさんだけではなく、ここで働く使用人全員がそう思ってましたっ!! しかし、下手に手を加えようとして変に拗れてしまい、最悪この恋が終わってしまうのよりかは、お互いのペースでゆっくりと、カタツムリよりも遅いのでは? と思える進展スピードであったとしても、少しずつ恋を育んでほしいとも、思っておりましたので、皆ブレット様とシャルロット様の恋愛事には触れないように細心の注意を払いながら接しておりましたっ!!」

「そ、……そうなんですのね……?」

「はいっ!! ですからお二人が問題なく婚約を正式に結ばれたと、それもブレット様からの愛の告白を受け入れる形で婚約されたと当時その場に居た使用人達から聞いた時は、みんな大喜びで、その人は夜遅くまで祝杯をあげた程ですっ!!」

「そ、そこまで喜んでいただけたのなら、よ、良かったですわ……」

「はいっ!! 本当に良かったですっ!!」


 ま、まさかここまで事恋愛にか関しては裏でズタボロに言われていたとは思いもやらなかった……。


 そして、この事が真実であったのならば、わたくしがドヤ顔で恋愛をレクチャーしていたあの時も、この時も、あの日もこの日も、それら全て皆心の中では『恋愛下手な人が何か講釈垂れてる』と思われていたという事ではっ!?


 あぁあぁあぁあっ!? まさか前世と合わせて良い年齢の大人がこんなドス黒い黒歴を産み出してしまうなんてっ!? 前世の若い頃のわたくしですらこれ程の黒歴史は産み出さなかったというのにっ!! 穴はっ!? わたくしが入る穴はどこにあるんですのっ!?


「あ、その点については、ぶふっ、だ、大丈夫ですよお嬢様。 皆さん、温かい心で、ぷすぷすっ、み、見守っておりましたので、そこまで悲観するような事では、ひぃひぃっ、無いかと、思いますよっ! 元気出しましょうっ!!」

「わ、笑うのを我慢出来ないほどの黒歴って事ですのっ!? もう、どのような顔で使用人達に会えば良いか分かりませんわっ!!」

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