一緒にされては困る
「あ、ありがとうございますわシャルロットっ! 王都に帰ったら早速試してみますわねっ!」
そしてシャルロット様はお土産に『ちよこれ〜と』と『せんべい』をくれるだけでなく、そのお土産の一つである『せんべい』の美味しい食べ方まで教えてくださるではないか。
なんて良い人なのでしょう。
今回わたくしが手土産として持ってきたお茶の葉(紅茶)が霞んですまうほどである。
それと同時になぜカイザル様がシャルロット様との婚約を破棄してしまったのか分からない程、素晴らしい女性だとも思うのだが、そのおかげで今の私があるのだから人生どうなるのか分かったものではない。
そして、次来る時には、最高の手土産を持って来ようと、そう思うのであった。
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「まったく、一時はどうなる事かと思いましたが、この感じだとカイザル殿下も若気の黒歴史という名の過ちに気付き初めて、幾分丸くなってきたと思って良いのでしょうね」
「若い頃が大変だと後が楽とも言いますし、このまま落ち着いて、かつ勉学にも励んでしっかりと王国の次期王として大きく育って欲しいですね」
マーシーとのお茶会も無事?に終えたわたくしは今、側仕えのマリーと共にお茶を嗜みながら一息つく。
「しかし、誰がみても両思いなのに、どうしてその事にとうの本人達は気づかないんですの? 聞いてるこっちが『御託はいいから早くくっ付きなさいよ、あんた達っ!!』と、ヤキモキしてしまいましたわね」
「……え?」
「え……?」
マーシー側の話を聞いても、どう考えてもカイザル殿下はマーシーにベタ惚れであり、なんでその事に目の前の小娘は気づけないんだ? これでは逆にカイザル殿下が不憫すぎると思いつつその事をマリーに言ってみると、まるで『あなたがそれを言いますかっ!?』と言いたげな表情でわたくしの方を見てくるではないか。
解せぬ。
これではまるでわたくしとブレットも、マーシーとカイザルのような関係だったと言いたげではないか。
いくら恋愛経験の浅いわたくしと言えども、マーシーとカイザル殿下レベルになると流石に気づきましてよ。
あんな、明らかに『私達両思いですっ!!』と叫んでいるような二人と一緒にされては困りますわ。
「いえ、マーシー様とカイザル殿下のお二人よりも、シャルロット様とブレット様の方がもっと酷かったです」
「いやいや、流石にそんな事、あるわけにですわよね? ね? あなたもそう思いますわよねっ!? ちょっ、なんで目を逸らしますのっ!?」