お土産
うーん? 『ちよこれ〜と』や『フルーツだいふく』に『しょーとけーき』等と──パリ──比べるとパッとしない──パリパリ──ですわね……? あれ?
「はい、マーシーさん。 お茶ですわ」
「あ、ありがとうございますわ。 シャルロット」
ほう……。
パリパリ……。
はふぅ……。
パリ、パリ……ッ。
あれ?
あれあれ?
と、止まりませんわっ!?
お茶と『せんべい』の組み合わせがここまで癖になり止まらなくなる組み合わせになるなど誰が思っただろうか。
一口食べた時は、お菓子なのに塩っぱい味付けで一瞬だけ戸惑いはしつつも、そこそこ美味しいという感じで先に食べた『ちよこれ〜と』や『フルーツだいふく』に『しょーとけーき』等と比べると一口目の衝撃が段違いであり、物足りないとすら思ってしまう程であった。
いや、この『せんべい』という食べ物なのだが、食べた事のない味と食感でありながらわたくしの知るお菓子の中では上位に入ってくるのだが、このレベルの美味しさならば他にも何種類かある、といったレベルでしかなかった。
しかしいざ食べてみると、止まらないではないかっ。
美味すぎるわけでもなく、かといってそこはかとなく癖になる、丁度いい味の主張と美味しさである為飽きる事がない、というのが大きいのだろう。
まるで私に美味しさを追求する事だけが全てではないと教えてくれているみたいである。
「どうやら、気に入っていただけたみたいですね」
「んん……っ。 失礼」
流石に食べながら返事をするのは失礼であるため、一旦口の中に残っている『せんべい』お茶で流し込む。
「それはもう、全て、今日食べた全てが素晴らしかったですわ。 それこそこれらを作ることができるシェフを王都へと連れて帰りたいほどには」
「そこまで行っていただけると、作ってくれた我が家のシェフも喜ぶでしょう。 しかしながらシェフを王都に連れて行かれてしまうとわたくしの、明日食べる料理がなくなってしまいますからご勘弁いただきますよう何卒よろしくお願い致しますわ」
「そ、そんなっ、こちらから出向いて、こうしておもてなしまでしてくれて、食べたこともないような美味しい料理まで用意してもらったというのに、その家のシェフを連れて帰るなどというみっともない行為をするわけがございませんわっ!」
あ、危なかったですわっ!! あわよくばと思うだけで行動に移さなくて正解ですわっ!!
「その代わりと言ってはなんですが、今日お出しした中で日持ちする煎餅とチョコレートをお土産として持って帰ってくださいな。 煎餅は恐らく湿ってしまっているかと思いますので食べる前に少しだけ炙るといいですわよ」