表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/98

カイザル殿下だけは違いました


 だが、それから数年経った今、こうしてシャルロットという友達ができたので結果婚約破棄をされて『ヘンドリク殿下の婚約者であり次期妃候補』という肩書が無くなって良かったのだろうと、今ならばもう。


 むしろ最高のタイミングで婚約破棄が出来たとすら思ってしまう。


 もし違うタイミングで婚約破棄、または正式に婚約破棄をされた場合、私はシャルロットとお友達になれていなかったのかもしれないのだから。


「それは良いのですけれども、それで話って何でしょうか? マーシー様」

「そんな、マーシー様だなんてっ! 私とシャルロットの仲じゃないっ! 『様』など付けずにマーシーとお呼び下さいましっ!」

「わ、わかりましたわ。 マーシー」

「はいっ、シャルロット。 それで、シャルロットへのお願い事でしたわね……」


 そして、今日私がタリム領へわざわざ訪れたのは他でもない、今悩んでいる事をシャルロットから直接助言を頂きたくて訪れたというのに、いざその事を口にしようとすると恥ずかしくてなかなか言い出せなくなってしまう。


 つい先ほどまでイメージしていた感じでは、サラッと言ってのけ、そしてシャルロットから助言を受け、後は楽しいお茶会をっという想像そしていたのだが、それがいざ悩みを無知にしようとすると私の口はなかなか開こうとしてくれないのだからおかしなものだ。


 しかしながらこういった、想像だけでは知り得なかった感情を教えてくれる友達が私にはいるのだと思うとむず痒く、そして嬉しいものである。


「じ、実は……シャルロットに殿方の落とし方を教えて頂きたいのです」

「と、殿方ですの? ま、まさかカイザル殿下ではない別の殿方ではないですよねっ!?」

「ち、違いましてよっ! た、確かにカイザル殿下と婚約して、そして例のパーティーが終わってからの数年間のゴタゴタした期間は、なんて男運が無いのだろうと悩んでいた時期も確かにございましたが、しかしながらそのゴタゴタが落ち着いて、一度考えてみたんですの」

「そ、そうなんですのね……?」


 まだ良く理解していないシャルロットへ、私は説明を続けていく。


「そうなんですのっ! 今まで私に近づいてきた殿方と言えば私ではなく、ヘンドリク殿下の婚約者という肩書しか見ておりませんでしたし、そのヘンドリク殿下といえば私ではなく男爵令嬢であるアイーダばかりに夢中で私の事なんて、たとえ婚約者という肩書すら見ようともしてくれなかったんですの。 でも、カイザル殿下だけは違いました」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ