お花畑な脳みそ
そしてカイザル殿下は勝手にシャルロット様と婚約破棄をしたということにも驚きである。
帝国のヘンドリク殿下も、王国のカイザル殿下も、家と家との繋がりを何だと思っているのか小一時間問いただしたい気持ちになってくる。
そして、当然の如く国王陛下からこっ酷く叱られた上に王位継承権を弟に実質移った上に、ランゲージ家から多額の違約金に、シャルロット様への接近禁止、またそれに連なる事、例えるのならば手紙などの禁止を言い渡されてしまった。
当初カイザル殿下は何故自分がこんな目に遭うのか本気で分かっていなかったみたいで、私はできるだけわかりやすく説明をしてあげる。
当初は全くもって意味を分かっていなかったのだけれども、私の「では私もカイザル様とかわした約束は、私の判断で勝手に破棄させてもらいますね」という言葉でどうにか相手と国王陛下が怒った理由を分かってくれたみたいなのだが、まだ自分のしでかした事の大きさを理解できていなかったみたいである。
カイザル殿下はどうしてそういう思考回路になったのか『ならばシャルロットとの婚約解消の取り消しをして再度シャルロットとの婚約をすればいい』と言い出し、私が止める言葉も聞く耳持たずといった感じでランゲージ家にカイザル殿下主催のパーティーの招待状をあろう事かシャルロット様宛に差し出したのである。
あまりの頭の悪さに私は頭を抱えたくなったのだが、その頭を抱える理由をカイザル殿下は勘違いをして『大丈夫。 第一夫人はマーシーから変更するつもりはないから。 シャルロットも話せばきっと分かってくれるだろう』と斜め上の慰めかたをされて余計に頭を抱えてしまう。
それでも私の事は全く関心を持ってくれなかったヘンドリク殿下よりかは幾分マシであると思えるあたりが、私の男運の無さを指摘されているような気がした。
いくら何でも運がないにも程があるだろうと、もしこの世界に男運を決める神がいるのならば胸ぐらを掴んで地上へと引き摺り下ろし、どういう理由で私の男運を決めたのかとこんこんと問いただしてやりたいと、割と本気で思ってしまう。
そして、びっくりしたのが、シャルロット様からカイザル殿下主催のパーティーへ出席するという返事が来たのである。
一体何を考えているのか? これは罠ではないのか? と勘繰ってしまうのだが、当のカイザル殿下は「やっぱりシャルロットは俺の事が好きだったんだな。 だからこんなにも起こっていたんだ。 そう思えばシャルロットも可愛い所もあるじゃないか」などと相変わらずお花畑な脳みそである。