最後に言い残したい言葉はおありで?
さすが、わたくしの側仕えである。
その観察眼たるや目を見張るものがあると言えよう。
まさかこの、世紀の大女優と言われてもおかしくないわたくしの感情を読み取るなど尊敬に値いたしますわっ!!
「いやですから、全く隠し通せてなかったですからね? シャルロットお嬢様」
「……へ? いや、まさか?」
「もう栓がぶっ壊れたのでは? と思ってしまう程にはシャルロットお嬢様から『好き好き大好きブレット』というオーラがダダ漏れでしたよ? それはもう学校で学んでいる子供達全員からも一眼見て「シャルロット先生はブレット先生の事が好きなんだねっ!!」と疑問ではなく断定されていたくらいには周知の事実です。 そう読んで字の如く周知の事実ですよ? シャルロットお嬢様。 そして私達は、ようやっとお互いの気持ちを伝える事ができて感無量なのですっ!! もう途中から【さっさと告白しろ。 その為ならばさりげなくラッキースケベの演出も辞さない】組と【初恋のようなので余り茶々を入れないよにそっと見守りましょう。 私にもそんな甘酸っぱい時もあったわ】組とて別れて一戦を交える寸前まで来ていたんですから。 その面でも一戦を交える事なく円満解決したのでホッと胸を撫で下ろしているんですよ?」
そしてマリーは『やれやれ、世話のかかるお嬢様だこと』といった雰囲気で聞いてもいないのに喋り始めるではないか。
その話の内容について色々と聴きたい事が山ほどあるのだが、その中でも特に聞かなければならない事をわたくしはマリーへ聞いてみる。
「因みにマリーはその【さっさと告白しろ。 その為ならばさりげなくラッキースケベの演出も辞さない】組と【初恋のようなので余り茶々を入れないよにそっと見守りましょう。 私にもそんな甘酸っぱい時もあったわ】組のどちらに所属していたんですの?」
「そりゃ私は【さっさと告白しろ。 その為ならばさりげなくラッキースケベの演出も辞さない】組に決まっていますよぉー。 そもそも【初恋のようなので余り茶々を入れないよにそっと見守りましょう。 私にもそんな甘酸っぱい時もあったわ】組みと違って私はまだ年配の方々と違ってうら若き乙女でもありますので…………へ?」
「マリーさん?」
「年配の方々と違って何でしょうか」
「最後に言い残したい言葉はおありで?」
そう語るマリーの背後には【初恋のようなので余り茶々を入れないよにそっと見守りましょう。 私にもそんな甘酸っぱい時もあったわ】組みの方々であろうメイド達の姿があった。