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男は皆狼

「…………よっ」

「よ?」

「良かったぁ……っ!」


 そういうと、ブレットは腰が抜けたのかその場にへたり込む。

 

 どうやらブレットはブレットなりに、告白するのがそれなりに怖かったのだろう。


 私からすればブレットをフルなんてとんでもない話なのだが、テレパシーの能力でも持っていない限り互いの気持ちなど聞いてみないと分からないのだから、これに関しては、ブレットも結局わたくしの事を好きだったにも関わらず『もし告白してブレットにフラれてしまったら』等と考えてしまっていたのだからお互い様であろう。


 そして数分間へたり込んでいたブレットは、すくっと立ち上がると私の手を取り「腰が抜けてしまうなんて、締まらないなぁ」と言いながらわたくしの薬指に指輪をつけてくれる。


「わたくしからすれば、とてもカッコ良かったですわよ? 自信を持ちなさいな。 わたくしはブレットと違って、フラれるかもしれないと思うと結局今の今まで告白はできなかったんですもの。 他の誰がカッコ悪いと申そうとも、わたくしだけはカッコ良かったと言い続けますわ。 胸を張りなさい」


 少しだけバツの悪そうな表情をするブレットを見てわたくしは「ブレットは誰が何と言おうとカッコイイ」と言ってあげる。


「あ、ちょっとっ!?」

「本当、シャルロットは可愛いなぁっ」


 そして、そんなカッコ良いブレットがつけてくれた薬指を愛おしそうに撫でた後、空に手をかざしながら、太陽の光を反射させて光自分の薬指の指輪を眺めていると、わたくしはそのままブレットに抱えられて、色とりどりのお花畑の中でくるくると回るのであった。





「あら? 子供でも作る気になりましたか? シャルロットお嬢様」

「そんなわけ無いでしょう。 いや、将来的には作りますがそれは今ではございませんわ」


 とても記憶に残る大切な記念日となる程の、感動的な一日を終え屋敷に戻るや否や側仕えメイドにそんな事を言われる。


 恐らく、わたくしとブレットとの反応を見て何かを感じ取ったのであろう。

 

 その勘の鋭さには驚かされるものがあるのだが、いささか飛躍しすぎではなかろうか。


 流石に告白した今日に、子作りをするなんて、流石のブレットもそこまで飢えているわけでは無いでしょうし……無いですわよね?


 男は皆狼だともいうのだけれども、ブレットはそんじょそこらの男性達とは違うのだと信じたい。


 それに、今わたくしが身籠ってしまって動けなくなるのは、タリム領が大切な時期である分、避けなければならない問題でもある事は重々承知しているつもりだ。


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