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観光地

「あ、ありがとうございますわ」


 いつもは照れ隠しで突っ込むのだが、今日は素直にブレットの行為を受け取り、差し出された手を取る。


 なんだかんだでブレットは細かいところに気配り出来る所が好感が持てるのだが、それを当たり前とは思わず、わたくしもブレットから貰った分は返して行けるようになりたいのだが、ブレットの方がいつも一枚上手で、わたくしが何かしようと思う前に既にブレットがやってくれていたりするので、これはこれでなかなかに難しい。


 その分、料理とか作ってあげているのだが、今度ママゾンで何かこの世界でも役立ちそうな、かつブレットが喜びそうなものを買ってあげようと計画していたりする。


 好きな人のプレゼントを選ぶのはそれはそれで、その時間は愛おしく、そして楽しいものだ。


 そういう感情を教えて貰ったのはやはりブレットなのだから、余計にわたくしはブレットの事が日を増すごとに好きになってしまっいるのは致し方ないだろう。


 この事に関しては百パーセント、ブレットが悪い。


 そんな事を思いながらわたくしはブレットのエスコートを受けながら馬車から降りる。


 と、いうか何かを考えていないと、男性からエスコートされるなどわたくしの柄ではないし、似合わないというのも分かるので何かを考えていないと恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそうな程、恥ずかしい。


「わぁーーーっ!! 凄い凄い凄いっ!!」


 そして、馬車から降りたわたくしの目に広がってくるのは一面に広がる、色とりどりに咲き誇る花の絨毯であった。


 これぞまさに『幻想的』『神秘的』という言葉がぴったりな光景であった。


「どうかな? タリム領には観光地がないというシャルロットの言葉を聞いてから、そして向こうの世界の観光地の話などを聞いた上で、このタリム領でも何かできないかと思った時にこのお花畑が浮かんだんだ。 まだ一年目だから色合いとか、満開の時期がずれている箇所や種類があったりするんだけど、まずはシャルロットに見て欲しかったんだ」


 そう説明するブレットなのだが、観光地にするならばわざわざ広大な土地を使って、しかもわたくしが喜びそうなもので勝負する必要などないはずである。


 と、いうことはこのお花畑は『わたくしが喜ぶ』というのをコンセプトにしている事が、ブレットの気持ちがダイレクトに伝わってくる。


 そして、この世界ではまだ広大な敷地で、育てたとことで金にもならず腹も満たせない、ただ『綺麗』というだけの花を育て、観光地にするという考え方が無く、まさにタリム領の武器の一つになり得るだろう。


「う、嬉しいですわ。 言葉にするのももったいないと思える程に」


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