デート
しかしながら、カイザル殿下のパーティーから数年、シャルロットのご両親から承諾を得て正式に婚約してから約一年間。
俺はシャルロットに何をしてあげられたのだろうか? と、思うと唐突に不安になった。
いつもいつも『もし断られたらどうしよう?』『俺なんかが誘っても良いのか?』などといつも断られることを考えてしまい一歩踏み出す事を恐れていた。
だが、正式に婚約発表をしてから一年である。
ここ最近では『流石に一度も誘っていないのはどうなのか?』『シャルロットは実はずっと待っていてくれているのではないか?』そんな事を思うようになり、今日勇気を振り絞ってシャルロットをデートに誘ってみた。
するとシャルロットは今までずっと待ってましたと言わんばかりの、満面の笑顔でデートへ行くと答えてくれたではないか。
その満面の笑顔のシャルロットを見て俺は、なぜ今までシャルロットをデートに誘ってやらなかったのかと後悔するのと同時に、これからは、休日は全てシャルロットをデートに誘うと誓うのであった。
◆
翌朝、天気は良好、絶好のデート日和である。
まさか、ブレットからデートに誘われる日が来るとは夢にも思っていなかったため、嬉しさで胸が張り裂けそうだ。
正式に婚約をしてからの毎日は、次の休みこそは、次の休みこそはブレットをデートに誘うと思いながら過ごした一年間出であった。
婚約をしている間柄なのでデートに誘うのは別段おかしな話ではないと自分に言い聞かせてみても、いざブレット本人を前にすると『もし断られたら』『わたくしなんかが誘っても良いのだろうか?』思いが膨れ上がってしまい、いつも言えずに仕事の話題を振ってしまってた。
そもそもこの婚約は半ばブレットを騙すような方法で婚約までこぎつけたのである。
しかも、断ることができない状況でである。
嫌われている事はあれど、好かれている事などあるのだろうかと思うと、どうしてもデートへと誘うのに二の足を踏んでしまっていた。
そんな矢先でのブレットからデートのお誘いである。
舞い上がるなという方が難しい程にわたくしは舞に舞い上がり、思考は常にクリアでなかなか寝付けることができなかった。
はっきりって寝不足だとは思うのだけれどもそれ以上にテンションと期待が高く、眠気なんかどこかへ吹っ飛んでいってしまっているみたいである。
そしてわたくしは、昨日の内に選びに選び抜いた衣服を身に纏い、化粧と髪型もバッチリと決める。
さぁ、どこからでもかかって来いっ!!