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娘の可愛い悪戯



「成る程。 それで、ブレット君。 君は私の娘の婚約者になりたいと、そう言うのだな?」

「は、はいっ!」

「成る程。 しかしこの娘で本当に良いのかね?」

「はいっ! シャルロットさんが良いですっ!!」

「本当に本当かい? こう見えてこの娘はぱっと見は可憐で大人しそうな令嬢に見えるが、実際にはとんだじゃじゃ馬娘だと君はここ数年一緒にタリム領発展に関わってきて分かっているとは思うのだけれども、本当に良いのかい?」

「はいっ! そこもシャルロットさんの良さでもあると思いますっ!!」

「君は、確かお隣さんの次男で、家は兄が継ぐらしいのだけれども、それでもお見合い話には事欠かないはずだ。 そのお見合い相手ではなくて娘で本当の本当に良いのかい?」

「シャルロットさん以上に魅力的な女性はいませんからっ!!」

「本当に本当の本当かね?」

「はいっ! 本当に本当の本当ですっ!!」


 あれ?


 私の聞き間違いか幻聴か何かかしら?


 先程からお父様が『本当に私と婚約して後悔しないの? 大丈夫?』と何度も何度もしつこいくらいブレットに確認している気がするのだけれども、気のせいであろうか?


 普通は愛娘を奪われたくなくて渋る場面なのではなかろうか?


 これ、わたくし、お父様を殴っても大丈夫ですわよね? ……おっと、こういう所は隠さないといけませんわね。 おほほほほほ。


 さて、どうやって懲らしめてやりましょうか。


「うむ。 確かにブレット君の気持ちは本気のようだ。 それと同時に、騙していたみたいで悪いのだけれども、言った言わないとなる事は避けたかったので今回の私とブレット君との会話はこの音声保存の魔道具で『言質』として録音させてもらったからね」


 そしてお父様は『もう逃げれないからね? というか、逃さないけれどね』といった表情で『先程の会話を魔道具で保存し、言質は頂いたので後になって嫌だといってももう遅いからね』とブレットへと実にいい笑顔で話す。


 解せぬ。


 わたくしが何をしたと言うのか。


 わたくしがやった事と言えば婚約破棄された後に開口一番国に喧嘩を売ると良い、タリム領を独立させると息巻き、ここ数年で一気にタリム領を発展させ、その裏では紙幣と銀行を作り、裏側でも表側でも王国を支配しようとしているだけではないか。


 こんなものなど『娘の可愛い仕返し』の範疇ではないかっ! お父様よっ!!


 ブレットもブレットでわたくしの事が好きなら…………ん?


 そしてわたくしは気付いてしまう。


 ブレットから好きだの愛してる等といった『わたくしの事を異性として好意を抱いている』という言葉を言われていない事に。

 

 

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