命短し恋せよ乙女
「成る程、それが食でありタリム名物として売り出してくと言うわけか」
流石ブレット。
先程の説明である程度は理解したみたいである。
「そうですわ。 それに、醤油、味噌、みりん、日本酒、豆腐等の製造は契約魔術により外部へ漏らす事を禁止事項として契約することで『ここでしか食べれない』というブランドを作りますわ。 うどんやそばを真似て作ろうにも醤油などを使ったあの味は再現できないですわ。 流石に作物はすぐに王国中に広まってしまうのでしょうけれども、それでも『発祥の地』『誕生の地』『元祖』『聖地』などというというブランドは付きますもの。 そうなれば例え食べ物を真似されても、作物を持ち出されて栽培されたとしても、タリム領の一人勝ちですわ。 むしろそれらが広まれば広まるほど先程申した肩書きはその魅力を増していき、本物を食べてみたいと多くの人々が観光に訪れることでしょう。 戦争もなく平和である今だからこそできる食の観光地化ですわね」
そしてまだ米ができていないという未完成な状態であるにもかかわらず、既にタリム寮は急成長を遂げ始めているのだ。
「やっぱり凄いなシャルロットは。 因みにこれからの事はどんな事を考えているんだ?」
「ふふふ、もっと褒めてくれても良いんですよ? うーん、そうですわね。 一応ある程度は考えているんですけれども全てがある意味で水物だと思っておりますのでその時との時最高の一手を指せるように『名無しの住人会議』などをして様々な意見を聞いてみてから次の手を考えていきますわ」
「なる程なぁ。 ほんと、シャルロットのスキルは王妃として使えればと思わずにはいられないな。 カイザル殿下もまさか逃した魚がここまで大物であるとは思いも寄らなかっただろうな」
「ふふ。 目にもの見せて差し上げましてよ。 それはそうと話は変わりますがよろしいでしょうか?」
そして私はそう言うと、ブレットを見つめる。
私はここ最近のブレットに思うところがあり、その件について言いたいことがあるのだ。
むしろ今日は、タリム領の件ではなくでこちらをメインで話すつもりである。
しかしながら、その話をするには心の準備やら勇気やらなんやらが必要で、足踏みしてしまった結果、タリム領の話で一度落ち着いてと思い話出したのである。
しかしながら思っていた以上に話が長引いてしまったにだが、お陰で話す覚悟はできた。
女は度胸。 命短し恋せよ乙女。 である。
ここまできて逃げてなるモノですか。