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尻尾を巻いて逃げて来たのかしら?

「それで、あなたはあの様な屈辱的な婚約破棄をされて、尻尾を巻いて逃げて来たのかしら?」


 そして戻って来たわたくしへお母様がそう問うてくるのだが、その顔は言葉とは裏腹に『それで、どのような復讐を考えているのか教えなさい』という表情をしていた。


「勿論、そんなはずがありませんわ。 わたくしを、ひいてはこのランゲージ家をコケにしたことを骨の髄まで分からせてあげるために戻って来ただけですわ。 あの場で感情に任せて行動したところで喉元すぎれば何とやら、一年もしないうちに何事もなかったかのように元婚約者であるカイザル・ユリウス・レオポルトに日常が訪れる事くらい想像できますもの。 そんな事このわたくしが許すはずがございませんわ。人一人の人生をめちゃくちゃにされたんですもの。 であれば、自分の人生もめちゃくちゃにされても文句は言えませんよね。いくら謝った所でわたくしの失われた十六年間は戻ってきませんもの」

「それで、どの様な復讐をするのかしら?」

「ここドミナリアが所有している領土を新国家として独立させます」


 わたくしが領土を新国家として新たに独立させると宣言した瞬間、先ほどまで怒りで赤かったお父様の顔が一気に真っ青に変化していくのだが、お母様は『あら、それは面白そうね』と言い、どこか楽しげな表情をしていた。


「か、考え直すんだシャルロットよっ! いくら相手に非があろうともさすがに国興しはやり過ぎだっ! カイザル殿下の奴は腹が立つからそれ相応の償いと謝罪をさせたいとはお父さんも思うのだが広さだけが取り柄で他に何もない我が領土だけで国を興そうとした所で直ぐに王国軍の圧倒的な武力で潰されて終わりであろうし、我々は国家反逆罪として言葉通り首を跳ねられるのだぞっ!!」


 そしてお父様は更に脂汗を流しながら必死に考え直すようにわたくしを説得し始めて来た。


 父上の心配も最もなのだが、だからと言って娘の言葉を頭ごなしに否定してこないお父様だからこそわたくしはお父様の事が大好きなのだと再確認すると共に、そのお父様の顔に間接的ではあるものの泥を塗ったカイザル殿下の事がやっぱり許せそうにない。


「まあまあお父さん、私達の娘を信じてやりなさいな」

「し、しかしだな母さんっ!」

「そもそも娘はいままで出来ない事を口にしたかしら? 娘が口にするという事はできる保証があるからだとわたくしは思っております。 そうよね?シャルロット」

「ええ、最悪国興しができなくとも王家と匹敵、いやそれ以上の権力を握る事は可能でございます。 お母さま」

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