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ただの化け物か

「それで、噂通り酷い婚約破棄をされたというのは本当なのかっ!?」

「ええ、残念ながら本当の事で──」


 そしてお父様が婚約破棄をされたのは本当かと聞いてきたので本当であると伝えたところ、お父様はわたくしの話を全て聞き終える事無く部屋から出ていくと、次の瞬間には戦に行くかの如く甲冑と大剣を手にして家を出ていこうとしているお父様と、それを必死で止める使用人達の姿が窓の外から見える。


「ええいっ! 邪魔をするでないっ! 形式に沿った婚約破棄をしたのであれば俺も何も言うまいっ!! しかしながら公衆の面前、それも殿下から王宮で開催すると申した娘の誕生日パーティーの席で、まるで要らなくなった玩具のごとく捨てられたのだぞっ!! 親として許せるはずがなかろうっ!!」

「旦那様のお気持ちは痛いほど分かりますっ!! しかしながらだからと言って国に喧嘩を売りに行くのだけやめてくださいっ!!」

「先に喧嘩を売ってきたのは国であろうがっ!! そこをどかぬかっ!!」

「ご乱心っ!! ご乱心っ!! 旦那様がご乱心っですので近くの使用人は手を貸してくださいっ!!」

「お父様、少しは落ち着きなさいっ!」

「あがっ!?」


 無駄に大きな体と未だ衰えぬ盛り上がった筋肉を持つ巌の様なお父様を止めるべく使用人たちが流れるような動作でスクラムを組みお父様を止めに入る。


 これもお父様の脳味噌筋肉故の思いついたら即行動という行為を常に止めてくれている故の技術であろう。


 恐らく、今この世界で領土対抗ラグビー試合が開催されれば間違いなくわたくしたちの領が圧倒的大差にて勝利を手にするであろう事が容易に想像できるくらいには美しいスクラムであった。


 いつもご苦労様である。


 そんな使用人達がお父様を止めてくれている間にわたくしはストレージから木刀を取り出すとお父様の頭を殴り飛ばし、気絶させる。


 木刀で殴った瞬間ものすごく鈍い音がお父様の頭から出た気がしたのだが、一発で倒せない方がかえって何回も殴らなければならなくなり危険なため無心でフルスイングして一撃で沈める娘ゆえの優しさでもある。


 それに回復魔法をかけておいたので大丈夫だろう。


 多分。


「まったく、もう少し優しくできないのか? 我が娘よ」


 そして数分と経たずに復活するお父様。


 なんだ、ただの化け物か。


「そう思うのでしたら行動する前に一度立ち止まって考える事を癖付けなさいな」

「ははは。これは痛い言葉だな」


 そんな会話をしながらわたくし達は母が待つ部屋へと、使用人たちは持ち場へと戻っていく。


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