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それ程までにバカであった

「父上がそのつもりならばこちらにも考えがある。こんな不当かつ理不尽なことが罷り通って良い筈がない。 きっと叩けばまだまだ埃が──」

「埃が出るのは貴様であろう」

「……うっ!?」


 そして俺は父上に先制布告をしてからこの場を離れようとした所で、途中でその言葉は父上に遮られてしまう。


 何度人の言葉を遮れば気が済むのか。


 王族とは思えぬほどマナーがなっていない。


そして父上はドスの効いた声と怒りに満ちた、見た事もない形相で、むしろ埃が出るのは俺の方だと宣うではないか。


 どこをどう見ればそう思えるのか。


 今回の件で何となく思っていた『父上は人を見る目が無いのではないか』と言う疑問が確信に変わる。


「お主のせいで王家はランゲージ家から多額の違約金を請求されておるのだぞっ! それがなぜわからぬと言うのかっ!!」

「ヒイッ……いや、でも彼女は、当時は本当に邪魔でしかなかったのです。 主人を立てるでもなく、むしろ上から目線で間違いを指摘されるなど、耐えられるわけがないでしょう。 しかも彼女は皇帝学などは読まない。 まだ読んで熟読できていれば良かったが、それでも夫となる男性に女性が口を挟むとは俺の婚約者としての意識があまりにもなさすぎますっ! そんな彼女に対して今一度チャンスを与えようとしているのに、感謝こそすれどなぜ向こう側が王家に違約金を払えなどと言って来ているのですかっ!?父上、まさかその違約金を払うつもりではないでしょうねっ! この俺が婚約者として迎え入れると言っているんですよっ!? 普通であれば嫁ぐ側が結納金としてそれなりのお金を用意するべきでしょうっ!!」

「…………まさかお前がここまでバカだったとは残念でならない。 いやむしろお前に国王を継がせる前にお前の本性が分かって良かったというべきか。 そもそもお前の女性に対する価値観も酷いものであるが、人と人とが正式に書面化して交わした約束事を破ればどうなるかバカでもわかりそうなものなのだが、お前の場合はその無駄に育ったプライドや偏った価値観で物事を全て自分の都合の良い事へ解釈する癖がついているようだな。 そして癖が付いてしまう程今まで他人を見下して来たのであろう。 だからこそ婚約者がいるのにもかかわらず他国の令嬢を『目の前で婚約破棄をされて可哀想だから』という理由で娶ってきて自分の婚約者は婚約破棄をするという矛盾した行動をとってしまうのだ。 当初こそはそれを理解できなかったが、今となってはお前がそれ程までにバカであったのだと理解できよう」

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