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失礼な話

「ああ、本当さ。俺は嘘はつかないよ?さあ、遠慮せず言ってごらん?」


 そしてわたくしが何を企んでいるかまったく知らないレオポルト殿下は、まるでわたくしがこれからレオポルト殿下へ愛の告白をするかの如くカッコつけた表情と格好つけた立ち姿で待っているではないか。


 正直あの顔面目掛けてぶん殴りたい衝動に襲われるのだが、せっかくレオポルト殿下からの言質を取ったのである。


 こんな、殴ったところでわたくしの気分が少しだけ晴れるだけで、それ以外の旨味が無いどころか千載一遇のまたとないチャンスを棒に振るような行為をする事もないだろう。


 感情の赴くまま、子どものようにあほ面下げて生きているレオポルト殿下とは、わたくしは違うのだ。


「あ、ありがとうございますっ! レオポルト殿下っ!! それでは、今まで怖くて言えなかった事を言いますわねっ!! これも全てレオポルト殿下のお陰でございますわっ!! ようやっと、今まで怖くて口にできなかった言葉を言う事ができますわっ!!」


 そう、わたくしが目に涙を浮かべながら告げると、野次馬達は何事かと固唾を飲み、レオポルト殿下は自分の世界にさらに入り込み、ブレットはまるで詐欺師を見るような視線をわたくしに向けてくる。


 こんな儚く可憐な少女を捕まえて、詐欺師を見るような目線を向けてくるブレットとは一度話し合う必要があるみたいであるとわたくしは確信する。


 失礼な話である、まったく。


「わたくし、実は……」

「実は、何だい?」

「実は…………ブレット様の事をお慕い申しておりますのっ!!」

「やっと君の本心を言ってくれたね。 俺は嬉しいよ…………え?ブレット……だと?この俺じゃなく?言い間違いではないのか? そうだ、言い間違いに違いない。 さぁそうだろう?シャルロットっ?」

「いいえ、言い間違いなどあろう筈がございませんわっ。 わたくしは昔からブレット事をお慕い申しておりますのっ!! しかしながらわたくしはレオポルト殿下の婚約者でございましたし、婚約破棄をされ、そしてブレットと婚約できたとはいえど、ブレットの気持ちを直接聞く勇気はわたくしにはございませんでしたの。 もし、万が一ブレットが他に好きな女性がいると言われたら、わたくしはこの婚約を解消してしまいそうで、折角手に入れた幸せを自らの手で手放してしまいそうで……でも、今日レオポルト殿下のお陰でわたくしはブレットに自分の想いを伝え、そしてブレットから好きな異性を聞く勇気をもらいましたわっ!!」

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