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蛆虫達






 パーティーは予定通り開催され、久しぶりに会った顔馴染み達に挨拶もそこそこに、我が領土の繁栄を耳にした蛆虫達に集られ、その蛆虫達の相手でパーティーは始まったばかりだというのにかなり体力を消費してしまう。


 ある蛆虫は──


「どうだね、今度ソナタの家と我々の家で大々的に僕の考えた事業を共同でやらないかい?大丈夫、この事業はこの僕が考えた事業だからね。そして、この僕が考えた事業が成功した暁には君と結婚をしても良いとさえ思っている。 ああ、勿論君には我が家を裏で支えて欲しい。君みたいな美しい妻に支えられれば更に僕の家は発展するだろうっ!」


 別の蛆虫は──


「あぁ、どうして今まで君の美しさの俺は気づかなかったのだろうか。 このドレスも、まさに今日のパーティーのヒロインかと思う程に美しく、そして前衛的で君が着るのに相応しいドレスではないか。そして俺の衣装もまた、今日の主役に相応しいとは思わないかい? 即ち、コレはもう俺と君は結ばれる運命だったのだろう」


 更に別の蛆虫に至っては──


「オイ、貴様は俺の嫁になれ。ほら、なにボケっとしているんだ? 俺の言う事が聞こえなかったのか?聞こえたのならばさっさと俺について来いっ! 何度も言わせるなっ! って、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!? 誰だお前はっ!? 側仕えの分際で貴族である俺に手を上げたらどうなるか思い知らせてやる……? 昨年の剣術大会で優勝したブレット? ……全く、男がいるなら初めから言えこのブスッ!!」


 などなど、様々な蛆虫に集られたのだが、その全てが私の後ろに見えるお金と権力しか見ていない事など直ぐに分かる者ばかりであり、それら全てを私の代わりにブレットが追い払ってくれた。


「ありがとう、ブレット。 本当、私一人だったらと今思うとゾッとするわね。恐らく間違いなく私はどこか別室に半ば強引に連れ去られてしまっていた事ですわね。勿論、タダで連れ去られるなどあり得ませんので出来る抵抗は全て致しますけれども、男性と女性とではどうしても力の面で不利ですし。 今日ブレットを連れて来る判断をしたあの時のわたくしは英断でしたと褒めてあげたいくらいですわ」

「あぁ、俺もそう思うよ。 もう、誰かの物にされる前に俺の物にしてやりたいと思うくらいには。 同性として恥ずかしいよ」


 そして蛆虫達の対応もひと段落したところでシャンパンをお互いに手に取り、グラスを合わせた音と共に愚痴を吐き出す。


 あの蛆虫達はやはりブレットから見てもあり得ない様な男性達だったのだろう。


 同じ男性として少しだけ罪悪感を感じているようだ。

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