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シャルロットも分かってくれるよな

 そしてわたくしが身の潔白を証明するためにカイザル殿下へ今回の婚約破棄の理由を、まだこの誕生日パーティーに集まってきて下さった貴族の方々が留まっている間に広めてほしいという算段から問いかけると、カイザル殿下は自分がわたくしに対してどれ程失礼な態度を取っているのか全く分かっていない事が、むしろこれから褒めて貰えるとでも思っているかのような御目出度い思考が透けて見える表情で語り始める。


「よくぞ聞いてくれた、シャルロットよ。 さすが元俺の婚約者である。そして今回の婚約破棄へと至る経緯であるが隣国であるシュバルツ帝国へと、グリドニア王国代表として建国パーティーへと参加した時に、そこの皇帝の長男である……」

「──ヘンドリク・シュバルツ」

「──そうそう、そんな名前であった。 そのヘンドリクが自身の婚約者である女性、マーシー・インスをあろうことか各国の代表が集まるパーティーでい婚約破棄を言いあげたのだ。 しかも嘘をでっち上げ、まるでマーシーがヘンドリクお気に入りの男爵家の女性、アイーダ・ウジエッリを虐めていると嘘をでっち上げた上にだっ!!」


 そこまで言うとカイザル殿下はまるでヒロインを窮地から救い出したヒーローであるかの如く自慢気な態度と表情になる。


 そして男性の名前はなかなか覚えない癖に女性の名前だけは忘れずに覚えて来るあたりわたくしの、既に地に落ちたカイザル殿下の好感度がさらに地中深くまで一気に下がっていく。


 もはやそこら辺の下町にいる男性を適当に見繕った方が目の前のバカよりも良い男性に出会える確率は高いとすら思える程には。


「それで、どうなさいましたの?」


 しかしながらそれだけでわたくしとの婚約破棄へと繋がるわけでもないので冷めた声で続きを促す。


「余りにもマーシーが可哀そうで見てられなかったのだが、そこから更に他の男性たちがアイーダをマーシーから守るように囲い、マーシーを糾弾し始めたのだが、マーシーは自身の身の潔白を主張し続けていたんだ。 しかしその態度が気に入らなかったのか騎士風の男性がマーシーへと手を上げようとした所で俺の我慢ができなくなり男性の暴力からマーシーを庇うと言ってやったんだ。 『いらないというのならば俺がもらい受ける。これ程の女性を手放すなどヘンドリク殿下は見る目が無いのだな』と。 そしてそのままの勢いでマーシーへ俺の元へ嫁いで来てくれと申し出て、マーシーがそれを受け入れたのである。 だから、シャルロットには悪いと思っているのだがそういう訳であるため婚約破棄をしなければならなくなったという訳だ。 なんてたって相手は帝国公爵家の長女でもあるからね。 第二夫人や妾などにできようはずがないのはシャルロットも分かってくれるよな」

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