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毒を食らわば皿まで


 本当、わたくしの婚約者がブレットだったらどれ程良かったか。


 好いた惚れたという感情は無いのだけれども、きっと毎日が楽しい日々を暮らせた事だろう。


「何だ?その顔は」

「んふふー、なんでもございませんわ」

「嘘だね。その顔は何か企んでいる顔だ」

「あら、失礼ですわね。 ただ、わたくしの婚約者がブレットだったらきっと毎日が楽しいだろうなと思っていただけですわ」

「ゴホッ!?」

「あら、吹き出すなんて失礼ですわね。 確かにわたくし達には色恋の話は異質かもしれませんが、馬が合うのも確かだと思ったものですから」


 そしてわたくしが今思っている事をそのまま口に出してみればブレットは飲もうとしていた紅茶を勢いよく吹き出してしまうではないか。


 確かに、吹き出してしまう気持ちも分からないではないですが、実際に噴き出さなくても良いではないかとわたくしは思いますわ。


「すまんすまん。別に馬鹿にしてたとかそんなのじゃないから許してくれ。それに、このような時間を過ごせる毎日というのも、確かに悪くない。それで、実際のところ何を企んでいるんだ?」

「全く、貴方には敵いませんわね。他言無用でお願い致しますわ」


そしてわたくしは我が領土独立計画を話始めるのであった。





「それで、何故ブレットがここにいるんですの?」


 翌日、早速家族内で第一回タリム領独立計画会議を行うべくランゲージ家の最奥にある会議室に、こうして父、母、兄上、義理姉と集まっているのだが、その中にはブレットの姿も、まるでここにいるのが当然のようにあった。


「毒を食らわば皿までって言葉、お前が良く問題ごとに毎回首を突っ込む時に使う言葉だ」

「ぐぬぬ…………はぁ、良いでしょう。 話してしまった以上貴方も無関係とは言えないのも確かですし」


 いつもはわたくしがブレットに使っていた前世の言葉を今こうして自分に返ってくるとは思いもよらなかった。


「しかしながら、今回ばかりは失敗した場合国家反逆の罪で間違いなく死ぬのよ?」

「そんな事今更だろう。 それにこの場所に姉さんがいる時点で我がモーデル家も他人事ではないしな」

「それで、本心は?」

「こんな面白そうでワクワクするような事、俺を除け者にして良いとでも?」

「全く、ブレットと来たら」


 そして今ここに集まっている全員の顔が、まるで悪役の集まりかのような笑顔を見せる。


 結局のところここにいる全員似たもの同士で同じ穴のムジナなのだろう。


 これでは悪の組織のようではないか、と思うもののわたくし達がやろうとすることが国家反逆の時点であまり変わらないな、と思う。

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