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プロローグ

「シャルロット、俺はお前との婚約を破棄させてもらう」


 意味が分からない。


 最初わたくしの頭に浮かんだ言葉はこれである。


隣国へと視察に行ったわたくしシャルロット・ヨハンナ・ランゲージの婚約者である第一王子カイザル・ユリウス・レオポルトは淡々とした口調でわたくしへと婚約破棄を告げる。


 そして次に頭に浮かんだのは『こいつはバカなのか?』という言葉であった。


 それもそのはずで今現在はわたくし十六歳の誕生日パーティーの真っ最中であるからである。


 会場こそ王城であるのだが、そんな事等主役の顔に、皆が婚約破棄だと分かる形で泥を塗りたくった挙句に沼に突き落とした所業に比べれば些末なもの。


 別に婚約破棄自体はどうでもいい。


 理由がしっかしとしており、正当な手続きを経て婚約破棄と至るのならば謹んでお受け致しましょう。


 それは、多少は今までの王家に嫁ぐ為の授業やあれやこれやの努力が水の泡になってしまうのは確かに悔しくはあるものの、それだけである。


 別に第一王子であるカイザル殿下を愛しているわけでもない。


 私から見ればまだまだケツの青い子供という評価であり色恋などという感情は無いに等しいのだが、結婚してから少しずつ恋心を育んでいくのも悪くは無いと思える位には真っ当な性格だったはずである。


 それがどういう事か、まるでどこぞの悪役令嬢物よろしくヒロインをこっぴどく婚約破棄をする頭の弱いキャラクターそのものではないか。


 確かに私から見ればカイザル殿下は頭が良いとは思っていなかった。


 しかしながら中世ヨーロッパレベルで見ればカイザル殿下は普通、あるいはすこし頭がいい方だと自分に言い聞かせて蓋をしていたのも認める。


 しかしながら流石のわたくしもここまでバカであるとは思わなかった。


 学が無いバカならば勉強すればいい。


 しかし、知能的な事となると付ける薬も無いと言われる様に治しようもないお手上げ状態である。


 そなバカ相手に今この状況等を説明していかにヤバい事をしているのかを教えた所で理解してもらえないだろう。


 むしろこの様な輩は感情で動くタイプだから手に負えない。


「申し訳ございません。 いきなりの事で理解が追いつけない為、わたくしと婚約を破棄する明確な理由をお聞かせくださいませ」


 それでもこのままではあまりにもわたくしの評価が悪くなりかねない為周囲へ『わたくしは何も悪くない』という楔を打つためにもカイザル殿下へと、何故わたくしが婚約破棄されなければならないのかと問いかける。

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