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特待生試験

 一日目の試験が終わった。一週間後に結果を発表し、ここで不合格になった者は二次試験に移される。リアルアル学園の教師は、生徒の答案と魔法試験の資料を持って集まっていた。

 その中で特に存在感を放っているのが、国王であり校長も努めているガルエル・リアルアルだ。髭を生やしたダンディな顔は、歳をとったことを感じさせない。


「ではこれより会議を始めるぞ。まずは特別特待生、特待生になる資格があると思う受験生の名前をあげてくれ」


 普通の特待生になれれば、学費などの全ての金額が半額になる。だが、それよりも更に上があり、特別特待生は全ての金額がタダとなる。

 教師は各自で担当した魔法試験で、基準を満たしている者の名前を答えていき、遂にアイクの番になった。


「ではアイク、君が選ぶ候補者はいるか」


「はい。私が担当した試験で選んだ受験者は特別特待生が三名です。まず一人目ですが、ガリエル様の娘であるクロエ様です」


「ふむ、私の娘だからといって贔屓(ひいき)することはないぞ?」


 ガリエルは基本的に放任主義で、子供の訓練などはあまり見ることがない。その為、自分の娘が贔屓目に見られていないか気にしているのだ。


「とんでもありません。クロエ様は充分基準に達しております」


「そうか……鍛錬は怠っていないようだな」


 強いて言うなら、国王の仕事が忙しくて見る暇があまりないといった方が正しい。とはいえ、隠れ親バカでもあるガリエルは、内心ではクロエが選ばれたことにホッとしている。


「それで……二人目と三人目は、正直言って今回の受験生の中では桁違いです」


「ほう……」


「名前はカズキとカエデ。この二人は恐らく全力の一割も出していませんが、魔法訓練場の的を破壊しています」


「なんだと!? それは本当か?」


 ガリエルは驚きを隠せなかった。ただでさえ自分の娘よりも勝ると言われて下がりつつあった気分が、的を破壊したとなって、更に心は腑抜けていっている。


「あれは凄いですよ。八英傑……いや、既にそれ以上かもしれません」


「アイクがそれ程言うのであれば、特別特待生でもいいかとしれんな。ただ、君が言うからには、試験として君が戦わなくてはならんぞ?」


「ええ、僕も是非手合わせしてみたかったので。この三人とは合格発表の日に試合をします」


「うむ。その時には私も見に行くとしよう。一応聞いておくが、アイクと同じ訓練場にいた教師はこの意見に反論はあるか?」


 同じ場所にいた五人の教師は首を横に振った。


「では、魔法試験で合格基準に達しなかった者の答案を見て、点数が二次試験に移れるかどうかの人数を集計しておいてくれ。私はこれから仕事があるので、失礼する」


 教師たちは「お疲れ様でした」と言い、各自で仕事に移る。


「ああ、楽しみだな。今年はレベルの高い生徒も多いし、特にあの二人と戦えるなんてワクワクしてきたぞ!」


 アイクは普段の立ち振る舞いはクールで爽やか系なのだが、その実態は熱血的教師的で、戦闘狂だった。アイクはカズキとカエデと戦えるのを、楽しみにしながら作業に取り組んでいった。

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