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舞踏会

 王宮にいる事2日。

 私は、舞踏会に着るドレスの最終チェックをさせられ、肌の手入れやら、髪の手入れやら、足の手入れ、後なんの手入れだ?

 その他諸々の手入れをさせられた。

 メイドである私が、メイドに手入れをされるのはおかしな話だが、事実なので伝えておこう。

 ありがたい事なのだが、若干もみくちゃって感じもしないでも・・・ない。

 ありがたくはあるのだが・・・。

 まあ、同じ様にカリスタ様も隣でもみくちゃされてました。

 

 そんなこんなで、国王主催の舞踏会の当日になってしまった。

 その間、私はヘンリー様にもエリック様、ヴァネッサ様にも会えなかったのである。

 髪は、ヴァネッサ様の誕生日の時の様に、三つ編みやら編み込みやらで流れを作りそれを後ろにアップにさせ、今回は流れのある銀の髪飾りが付けられていた。

 ドレスは、淡いレモン色の5分袖のドレス。

 夜会用の胸元が開き、肩の関節まで開いている。

 胸元の刺繍は素敵だと思うのだが、夜会用のドレスはスースー涼し過ぎて困る。

 首元から風邪ひきそうである。


 私は、王宮のメイドに連れられ、会場近くのお部屋に案内された。

 そのお部屋は、調度品が色鮮やかだった。

 

 私はソファーに座り待っている。

 だが・・・次第に眠気が襲ってきてソファーに横になる。

 

 「・・・サー・・サーシャ・・・サーシャ。」

 ”ゾクゾクゾク”

 私は、耳元に響く声に体がゾクゾクとし目を覚ます。

 「・・・起きたか。」

 そこには、ヘンリー様がいた。

 その体制、壁ドンならぬ、ソファードン。

 「心臓に悪い起こし方しないでください!!」

 耳もとで囁くように起こすってどういう事?

 耳を溶かすための呪文でしょうか?

 私は、離れるように言うと、反対側のソファーにヘンリー様は腰を掛けてくれた。

 まずは、自分を落ち着かせてなければ・・・。

 無理に近いな、ヘンリー様の正装姿は様になり過ぎてます。

 ヘンリー様は、胸ポケットから時計を取り出し見て、すぐに胸ポケットにしまう。

 「そろそろ時間だ。」

と、ヘンリー様は私に手を差し伸べる。

 困ったな・・。今、ヘンリー様に触れたくないと思ってしまった。

 顔が徐々に熱いと感じ始めたのが原因なんだろうな。

 でも、ヘンリー様と一緒に会場入りをしないとならない。

 私は、意を決してヘンリー様の差し伸べた手に、自分の手を添える。

 ヘンリー様に引き寄せられ・・・手を組む。

 そして、部屋を出て舞踏会の会場へと進む。

 

 会場入りすると・・・女性陣からにらまれる。

 予想はしていたよ。

 ヘンリー様は、イケメンで、かなり地位のある貴族。

 そして、独身。

 それも、ドラゴン頂点である黄金のドラゴンと絆を結んでいる。

 これほどの好物件な結婚相手は、ドラゴニア王国内にはいないだろうからね。

 まったく、ヘンリー様の色気といい、周りの女性の殺気といい。

 気で酔いそうだよ。


 「やあ、楽しんでいるかな?」

と、カティス様がこちらに王太子妃シルヴィアと一緒に来てくれた。

 「心配して頂きありがとうございます。」

 堂々と、殺気と色気で楽しめないと言いたい。

 ”スーーッ”

 「うわっ?!!」

 と、後ろから私の首筋を触る者がいた。

 「この首筋にオレの為にチョーカーなんて付けてくれたらいいのに・・・。」

 アラン様が、私の首筋を触れたのだ。

 私は震えあがる。

 「寒い!!おやめください。」

 この、アラン様も私で弄ぶイケメンなのかよ~

 アラン様なのだが結婚をし子供もいるが、奥様は病気で亡くなっているのだ。

 「アラン殿下、サーシャに触れないでください。サーシャもアラン殿下に注意をしろと言ったはずだぞ。」

と、ヘンリー様は私を引く、すると音楽が流れ出した。

 「丁度いい、マイレディー、私とダンスを踊ってください。」

 ヘンリー様は、私を引き連れで歩きながら、ダンスへ誘う。

 「踊ってくださいではなく、踊るしかありませんでは?」

 私は、右手をヘンリー様の手と繋ぎ、左手はスカートを握る。

 ヘンリー様の左手は私の脇に腕を回していた。

 そして、踊りだす。

 ”ふわりっ ひらりっ”

と、私が握っているスカートがきれいに広がりダンスに華やかさを引き立たせる。

 「やはり、凄いな。」

 ヘンリー様は、踊りながら私の踊りに感心をする。

 

 その理由は、私のスカートさばきだろうな。

 踊っている時に、スカートの流れ方や、広がり方が美しく見せるのが上流階級の嗜みと言われている。

 布や、スカートの形によっても違いがあるのだが、それを美しく見せる事が、必要とされていた。

 スカートの裾に輪があり、それを腕にはめてダンスをする衣装は、上流階級の人たちの間では、邪道と言われていた。

 上流階級の女性は、スカートさばきが美しくないと認められないとまでいわれる程なのだ。

 なので私もそれは、もう・・・血のにじむ思いをしましたとも。

 

 「やはり、サーシャはそれなりの貴族のご令嬢だったのだな。」

 「元ですが・・過去の栄光など虚しいモノです。」

 私は、口をとがらせながら言う。

 「だが、周りの者たちはサーシャに興味を持ち始めた。」

 ヘンリー様は、次から次へダンスを申し込まれれる事だろうと推測してくれた。

 ・・・・嫌なんですが。

 「どうする、2曲続けて踊るか?」

 「もっと、ダメでしょうが!」

 2曲続けて踊る事を許されているのは、結婚した夫婦、婚約者のみ。

 ヘンリー様と私は、主従の関係です。

 「では、この曲が終わったら一端先ほどの部屋へ戻ろう。」

 ヘンリー様の提案で、曲が終わると会場を後にした。

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