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舞踏会の招待状


 「今年もおいしかったわね~。来年はどんなクッキーが食べられるのかしら?」

 「ヴァネッサは、もう来年のクッキー祭の話をするのかい?」

 仲の良い夫婦の会話を耳にしながら、紅茶を飲む。

 緑化計画で作られたウェルカムティーは、どんな味のお茶になるのだろうと考え事をしていた。

 「ヘンリー様、どうかなさいましたか?」

と、久々に会えたモーリスが声をかけてきた。

 俺は素直に緑化計画の事を考えていた事を伝える。

 「ヘンリーは、サーシャが考案した緑化計画の事で頭がいっぱいのようだな。」

 わかる者しかわからないが、どうやら俺はクッキー祭中、ずっと上の空だったことを指摘された。

 俺は顔芸が出来ないから、上の空でも普段通り物事が流れるのだが。

 父上の様に顔芸で出来ている者には、出来ない芸当だろう。

 「でも、それなら残念だわ。24歳の女性がいたのにヘンリーは、気づかなかったのね。」

 母上は結構美人だった事を伝えてきた。

 「母上。来年・・・・もし、3人でなく・・4人でクッキー祭を迎える事になったら喜びますか?」

 両親は一瞬顔を見合わせてから、歓喜の眼差しで俺を見る。

 「サーシャが俺たちの列に連なるのか・・・。」

 父上・・・俺はまだサーシャの名前を挙げてないのですが・・・。

 「どうした、サーシャではないのか?」

 そうなのですが・・・どうしてわかるのですか?

 「ヘンリーの父だからな。」

と、答えるだけだった。

 「まあ、サーシャさんしか考え付かないでしょうね。」

と、言うモーリスの言葉に周りにいた人たちは頷く。

 皆、歓迎をしていたが・・・。

 俺は顔芸が出来ないのに、そんなに、わかりやすかったのか?

 

 父上は自身の机から手紙を出して、私に差し出した。

 「毎年恒例の舞踏会の招待状だ。」

 11月の中頃に行われる国王主催の舞踏会の招待状。

 父上と俺と、もう一通・・・サーシャ宛ての招待状だった。

 「ヘンリーと一緒に会場入りしろという命令付きだ。」

 俺は、俺宛ての招待状を開ける。

 そして、モーリスの親戚筋の女性を頼らずにサーシャを連れてこいという内容の手紙付きだった。

 それも、サーシャのドレスは王妃がドレスを用意している事も書かれていた。

 「サーシャを連れて行かないと、うちの家の者誰も会場に入れない流れだよね。」

 全くだ。

 だが、夜会である舞踏会にサーシャを連れて行けるとは、楽しみだな。

 「ヘンリーの父親としては、サーシャのドレスはヘンリーに用意して欲しかったかな。」

 母上の誕生日の時は、俺がドレスを購入したことは褒められたが、夜会だったらどんなに良かったかと思った事を素直に言われた。

 「チョーカー付きでね。」

と、言う補足付きで・・。

 母上の誕生日のあの時は、まだサーシャに対する恋愛感情に気づいていなかったのだが・・・。


 このドラゴニアの夜会の女性の服装には、他国と違い決まりごとがある。

 未婚か既婚か、婚約者がいるか、明確な服装というかアクセサリーに決まりがあるのだ。

 夜会のドレスは、胸元が見える構造になっている。

 ドラゴンと伴侶の絆を結んでいる女性は、その印が鎖骨と胸の間。ちょうどきれいに見える位置を露出している事になり、既婚者かどうかわかる。

 相手がドラゴンと絆を結んでいなく結婚している者は、その印はないので、その部分がきれいに着飾るようにネックレスを付ける決まりになっている。

 つまり、伴侶の絆がなく、ネックレスを付けていない者は、未婚のの女子という事だ。

 そして、婚約している者は首元にチョーカーを付けてアピールをしているのだ。

 「まだ、サーシャにチョーカーを付けさせる仲ではない。」

 少し、残念そうな両親。

 「夜会の時に告白かしらね。その前でも全然大丈夫だけど・・・。」

 興奮する両親。

 公爵家は国王主催の夜会には、控室が特別に用意されているのだが、今年は2部屋用意して貰おうと両親が話し合っていた。

 「ヘンリー、一応チョーカーを用意しておきなさいというか・・・。」

 「ええ、家の宝物庫からいいのを選びなさい。」

と、言われ宝物庫へと行く運びとなった。

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