没頭チュン
リアルガー伯爵の娘とその孫の住む家で、お茶を飲んでいた。
「領民には、パッと見てわかるような物でないと受け入れにくいと思うわ。」
私は持っていた説明会のチラシを見せる。
一般家庭の一軒家に花々に囲まれた庭の絵。
緑化計画を身近なものと考えるためのチラシ。
「これではダメね。もっと、そうね・・・リアリティーにとんだ物がいいわね。」
簡単に言ってくれるわね。
それでジャネットさん、リアリティーな物はリアルに何でしょうか?
ばっちり、ため息をきめこんで悩み込むジャネットさんと私。
「コネコネ・・うーんと・・コロコロ・・ピト。」
メアリーちゃんの声が聞こえた。
ある意味メアリーちゃんに癒しを求めて、お遊びスペースへと足を運ばせた。
「ママ、ほら、ショートケーキだよ!」
と、メアリーちゃんは粘土で作ったケーキをジャネットさんに見せる。
「上手に作れたわね。」
ジャネットさんはメアリーちゃんから、粘土のショートケーキを受け取る。
「うふふふふっ」
私は、笑いが零れてしまった。
「サ、サーシャ・・・さん?」
ジャネットさんは、首をゆっくりと私の方へ向ける。
その顔は見てはいけない物を見る雰囲気の顔だった。
「ジャネットさ~ん、粘土って・・どこで売っていますか。おすすめの粘土なんて・・・あったりしますか?」
陶芸の工房のあるピンクカルサへ行けば大量に粘土が入手できると知った。
そして、ピンクアメジの雑貨屋でも売っていると知るという情報も入手。
私は、ジャネットさんとメアリーちゃんと別れ、ピンクアメジの雑貨屋へ行く。
粘土等の工作道具を買い。雨で傘を差しながらもルンルン気分で宿泊宿に帰る。
宿泊宿に戻ると、2部屋とってくれた作業用のお部屋へ行く。
「只今戻りました。」
ヘンリー様は、テーブルの上の書類を整理していた。
いつもは立っての作業だが、机の高さが低いので腰に来るらしく、潔く椅子に座って作業をしている。
その為作業効率が多少遅いのと、3回に分けて書類が領都から届くために、一気に書類を整理することが出来ないでいた。
「お帰りなさい。」
と、ヘンリー様は書類を見ながら言う。
多少作業効率が落ちている事が気になっているらしい。
「ヘンリー様。町の緑化計画に必要な作業をしたいために、あちらの机をお借りしてもよろしいでしょうか?」
私は、ヘンリー様の許可を貰い机を借りる。
紙袋からべニア板と小型ののこぎりを出し、べニア板をB5ぐらいの大きさに切る。
そして1㎝幅の棒を取り出しそちらも切り、釘とハンマーを取り出し容器を作る。
今度は、粘土を取り出し容器に敷き詰める。
しっかり窪みが無いように糸で1㎝の厚みにして・・・。
それが終わるとため息をする。
「ふふふふっ」
と、笑みがこぼれた。
さて、やるか・・・。
私は粘土で家の形を作り出す。
そう、先ほどいたジャネットさんとメアリーちゃんの家だ。
窓は・・・こんな感じだったよね。
玄関はこんな感じ・・・。
そうだ、家の前の柵を作らなければ・・・。
私は紙袋から針金を取り出し、柵を作りだす。
笑みがこぼれながら作業をする。
「サーシャ、食事をしよう。」
と、ヘンリー様が声をかけてくれた。
「もう、そのような時間なのですか・・・。」
私は夢中で粘土での作業、箱庭造りに没頭をしていた。
隣のもう一つ借りている部屋で食事をとり作業へと戻る。
ゲートの幅だげレンガの道にして・・・。
家の屋根に被る部分もレンガの道でいいか。
後は、土のむき出しにする。
柵に沿ってアジサイを植えて・・・。
柵から玄関までのレンガの道の左右にもアジサイがあってもいいかな。
それで・・・ああ、やっぱりスペースが余るね。
・・・家の敷地の四つ角。
日の当たる玄関側の2箇所に・・・木を植える。
”チュンチュンチュン”
と、鳥の鳴き声がした。
「へ?」
窓の外を見ると明るく日が見えた。
あっちは・・・東側。
私は、東側から照らされる朝日を見つめた。
「・・・朝・・だよね・・・いつから?」
と、自分で自分に突っ込んだ。
そして、気づく・・・。
「まだ、木を植えてないのに、ヘンリー様を起こさないとならないの?!」
チョットしたお話
サブタイトルなのですが・・・
本当は『朝チュン』にしようかと思いました。
・・・間違えではないのですが、事柄として間違っている事になりますので・・・止めました。
日本人の私が言うのもなんですが・・・日本語って難しいですね。
でも、奥深いとも感じました。
まあ・・人間として間違わなければいいかってことで・・・。(笑)
それと、この場を借りて、いつも見て頂いている方々、本当にありがとうございます。
これまで書きはしたものの、自分の中で完結させ・・・そこで終了。
果たして私の脳内妄想って、本当の所どうなの?
って、事での初投稿でしたものだったので・・・。
ですので、こんなにも見て頂けるとは思ってもみませんでした。
本当に感謝しています。
励みになってます。
これからも、脳内妄想を必死に文章化していきますのでよろしくお願いします。