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〇番外編〇  学生の悩み 

ハワード・ラリマーが、オベロンと絆を結ぶきっかけになった出来事です。

 私は、ハワード・ラリマー

 ピューゼン王国との終焉の戦いで活躍したナイジェル・ラリマーを父に持ちます。

 次男なので将来家を継ぐことはなく、兄上が継いだので、私は分家となる事は決定事項となっています。

 そうなると将来、何もない所から始めないとならない。

 まさしく真っ白から始まる。

 白いドラゴンと絆は結びたいとは思っているのですが・・・。

 今の私の希望はそれだけなのです。

 これでいいのでしょうか?


 「ハワード、帰っていたのか?」

と、学園に入学してから仲良くなったグレアム・ラリマーが声をかけてきた。

 グレアムは同じ姓ではあるが親戚ではない。

 私の家は、元をたどれば王領の人間で、グレアムは西の白の領土の人間だと言っていた。

 そのグレアムなのですが、心配そうに実家の事を聞いて来た。

 クレシダの大怪我という一報が学園に入って、退学してでも実家に帰りたいと悩みを打ち明けたのがグレアムでしたので・・・。

 グレアムの機転で、一時休学をして実家に戻った事をまずお礼を言わなければならないな。

 私はグレアムにちゃんとお礼を言ってから、実家での出来事を話しだす。

 クレシダが亡くなりはしたが、生まれ変わったクレシダが再び父上と絆を結んだ事を・・・。

 「良かったな~と、言いたいとこなんだが・・・何故そんなに落ち込んでいるんだ?」

 グレアムも気づく程、気になっているようです。

 ・・・私の将来の事。

 これ以上グレアムに心配をかけるわけにはいかずに素直に言った。

 自分の将来の悩んでいることを、それを真剣に聞いてくれていた。

 だから、私が一番思っている事が口に出た。

 「私は何も持っていないと感じてしまったと言った方がいいのかな」

 父上のような功績も、ドラゴンとの固い絆もない。

 兄上のような当主としての責任もない。

 私には、何もないのだ。

 それに気づかされてしまった事を素直に言ってしまった。

 「ハワードには剣術があるだろう。」

 「騎士の家に生まれた者として、他の騎士並みのモノしか持っていません。」

 それすら持っていない者には申し訳ないですが、平均並みの剣術しか持ち合わせていない。

 「俺はハワードに剣術の才能があるとみている。だから、これからいくらでも成長できると信じている。」

 ビックリです。

 いきなりそのような誉め言葉を言うとは・・・うれしいような、恥ずかしいような。でもやはり嬉しい気分になります。

 「ハワードは、大まかな将来をどう何んだと、悩んでいるように見えるんだよな~。」

と、グレアムが言い。

 具体的な将来から一歩ずつ決めていけばいいと突破口を言ってくれた。

 「それで、ハワードはまずどうしたい?」

 「白いドラゴンと絆を結びたい。」

と、言うと、一番重要な事項であることは理解しているかと質問されてしまった。

 「分かっているよ。ドラゴンの年齢だろう。」

 500歳の年齢で左右される。

 国家鑑定士かそうでないかという枠

 「ヘンリーは国家鑑定士になりたいのか・・でなく、なってもいいと思っているのか?」

 ドラゴニア王国の限定の職業

 貴金属の鑑定という仕事と思われるが、その実態は贋金製造の摘発の為に動く業務でもある。

 そして・・・その能力は噂では諜報員としての情報集めという機密機関にも精通しているとかで・・・。

 「絆を結んだドラゴンが500歳以上なら、考えるべきだと思いたい。」

 グレアムは私の『思うべき』という言葉に引っかかるようだ。

 私は将来ダンビュライト公爵領である西の領土で働きたいと思ている事を伝える。

 そして、それには優秀でないとならない。

 西の領土の公務員は全員優秀で有名である。

 優秀だから他の領土の者たちが、西の領土に頼っている節があったりする。

 それでも、対応できているのは素晴らしい。

 「もし、西の領土の公務員として勤めるだけの力があるのなら努めたい。だって、西の領土の能力があるから、他の領土の運営もうまくいっているように見えるだろう。」

 グレアムは頷いてくれた。

 「それだけの価値が西の領土にはある。その一員としての力が欲しいと思うよ。」

 グレアムは何故か嬉しそうな顔をする。

 「それは、これからじゃないのか?まず、500歳以上のドラゴンと絆を結んでみたらどうだ?」

 私はそんに簡単に結べると思うのかと聞く

 「方法はいろいろある。一番手っ取り早いのがドラゴンと絆を結んでいる人に協力して貰い、まだ絆を結んでいないドラゴンと話をしてもらい年齢を聞く。」

 うん、そうなると思うが・・・。

 『方法はいろいろある』とは、他にはどのような事があるのだろうか?

 一応、グレアムに聞いてみた。

 なんでも、王家と公爵家しか閲覧できないドラゴンの戸籍を閲覧できる者が5人いるという事だった。

 「もし、その5人からドラゴンの情報を聞きドラゴンと絆を結べたのなら、ダンビュライト公爵も一目を置くんじゃないのか?」

 確かにそうだな・・・。

 まだ、1年学園生活がある。

 やる価値は充分にある。

 「ありがとうグレアム、5人を探してみるよ。」

 

◇ ◇ ◇


 ―――――――――――――――――――――――

 親愛なるご家族様へ

 ハワード・ラリマー

 やはり彼は、俺のいい部下になりうる素質がある。

 ナイジェル・ラリマーの息子というだけじゃない。

 いい資質を持っている。

 もし、ドラゴンの戸籍閲覧者を見つけ、

 学生期間中に500歳以上のドラゴンと

 絆を結べたのなら、俺の側近としたい。

 そのように計らってもらえると嬉しいです。

 

          グレアム・ダンビュライト

 ―――――――――――――――――――――――


 真っ白くそびえ立つ城『ダンビュライト城』に、このような手紙が伝書鳩によって運ばれてきた。

 城主であるフレディ・ダンビュライトには、グレアムという17歳の孫がいる。

 現在外国に遊学中となっているが、実は姓をラリマーと偽り一般人として聖ドラゴニア学園の学生をしていた。

 ハワード・ラリマーは、1か月後にドラゴンの戸籍閲覧者5人を全て調べ上げ、その中の2人に会うことになる。

 なにせ、その2人が親しい者であったからだ。

 父親と母方の叔父だったのだから・・・。

 そして、497歳のドラゴンのオベロンと絆を結ぶことになる。

 クレシダの兄であること、将来の道を決める猶予を与える為に、オベロンと絆を結ぶことを勧めたとか・・・。

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