うまくいかない出来事
モーリスさんは甥っ子さん探しに城を出た。
クッキー祭りには城にいるようにという約束をして・・・。
ヘンリー様と私は、保養地であるピンクアメジの地にいる。
この地を管理しているリアルガー伯爵の別邸をお借りしている。
別邸と言ってもリアルガー伯爵が経営している温泉宿の2部屋を提供してもらっているのだが・・・。
長期滞在の手紙をエリック様がリアルガー伯爵に書いた際、返事に宿代の一か月の概算が一緒に入っていた。
それを見たエリック様が、不敵に笑って・・・町の開発工事の全額をリアルガー伯爵が負担するようにおふれを出した。
困ったリアルガー伯爵は、一部でも払ってくれと談判。
折れたエリック様が、ヘンリー様と私の宿代だけ払う事を了承したのだ。
さて・・・では何故、別邸をお借りしていると述べたのか?
お答えしよう。
やはり、リアルガー伯爵は納得しなかったから。
まあ、当然でしょうね。
でも、それだけでは終わらないのである。
リアルガー伯爵の資産を膨大な資料から調べ上げて、開発工事に出せる金額を割り出したのだ。
最低でもその金額を出すようにと・・・。
・・・怖っ
これだけでも怖いのに、続きがあるんだよね。
リアルガー伯爵は宿の経営をしているから、工事に来た軍や騎士たちにいろいろと金を散財させる魂胆だと見込んだエリック様は・・・。
リアルガー伯爵の所有の絵画や彫刻などの芸術品を人質に取ったのだ。
「もし無駄な出費があったと報告が挙がったら、リアルガー伯爵所有の芸術品を売る事になるからね。ルベライト公爵家からの工事費用は領民からの税金である事を忘れないように。」
と、言う事がありました・・・とさ
そういう事なので別邸をお借りしているのだ・・・今の時点では。
ヘンリー様は、モーリスさんの事を心配してか、少し元気がないようにも見えるが・・・何せ顔に表情がでない。
質問した内容に答えるのに、少しだけ時間がかかるという行動から、私が勝手に思っているのだが・・・。
只今は朝となっています。
私はため息をつく時間となっています。
『ヘンリー様起こし』
本当に、これが朝の億劫事項である。
ヘンリー様はいつものバスローブでなく浴衣を着ている。
イケメンは何を着ても似合っていると言うが、まさにその通りだ。
ただ、なんでだろう・・・バスローブの開け姿より、浴衣の開け姿の方が色気倍増していると感じます。
寝る前は、しっかり浴衣を着てベッドに入ったのに・・・。
全く、寝る前に打ち合わせの部分を仮縫いさせてくれないかしら?
さて・・・布団を剥がさせていただきます。
”ガバッ ばさっ”
「ヘンリー様!!起きてください!!」
・・・・・・・?
「ヘンリー様?」
・・・起きない?
私は、ヘンリー様に背を向けていたが振り向く。
・・・・寝てます。
生きてますか?
私は心配になり、書類の用紙を一枚とり、ヘンリー様の顔に・・・。
書類の用紙はしっかりと動いている。
よかった・・・・ではない!!
ぐはっ
ヘンリー様の生足を見てしまった。
浴衣のスリット部分から、しっかりと太ももから足先まで・・・。
チョットだけよ・・・な、世界ではなく
私は、ヘンリー様の掛け布団をかける。
毒にかかった感じがする。
何か、いい方法は・・・。
辺りをきょろきょろ見渡す。
テーブルの上に、チョコの入ったコルク瓶の容器が見える。
容器の中のチョコは綺麗な紙に一つ一つ包装されている物。
私はそのチョコをテーブルにばらまき、コルク瓶の容器を持って、外に出る。
「コスモ~!!」
私は、庭にいるコスモの所へ行く。
コスモはすぐに目を開けてくれた。
「コスモ、お願いがあるの、この瓶に入る氷を頂戴!!」
”ギュウ”
不思議そうに鳴くコスモに、ヘンリー様を起こす為にどうしても必要と言うと、口から氷を作ってくれた。
瓶にその氷を入れ、水をいれ蓋をする。
そして再びヘンリー様のもとへ・・・。
両手でしっかり瓶を持ちヘンリー様の頬に瓶をくっつける。
「ヘンリー様、起きてください!!」
「うわっ」
ヘンリー様の叫び声で飛び起きる。
私は、ヘンリー様に挨拶をする。
そして、何故こんな事までしないと起きないか明日以降の為に聞いてみると、慣れないベットだから疲れが取れないのだという推測をしてくれた。
「今晩から早めに寝てみませんか?」
と、いう案を出してみ。
「俺、そんな年寄りではないぞ。」
「充分に年寄りです!!」