ハゲはげしい。
海の色がエメラルドクリーンから青色に変わっていくのが海の上空を飛空しているコスモの上から見える。
やはり・・・私の勘が当たってしまうのだろうか。
港町ピンクスピネでの不漁の原因。
その原因が、森林破壊なのではないかという事。
このラーイ界は、自然豊かな世界だと思っていたのだが・・・。
その事を踏まえて、森林破壊の原因があるとすれば・・森林火災。
その後、木を植えるなどのケアをしないと、森の栄養が川を渡り海に流れない。
その事で海に栄養が無く不漁となるのだが・・・。
海の上空を西に向かって飛んでいる私から、陸地を見ると段々状になっていて気が植えられている。
今は収穫時期を終え緑の葉しか残っていないが、きっとミカンなどの柑橘畑なのだろう。
ミカン畑を過ぎると今度は断崖絶壁の崖がそびえ立つ
”ギュオ~ン”
と、コスモが鳴き、断崖絶壁に近づき絶壁の先にあるトンネルを潜る。
結構なスリルがあるわね。
前世で乗ったジェットコースタ―を思い出したわ。
断崖絶壁の崖を越える。
そこは・・・・・・・ハゲていた。
「何なのここは・・・。」
衝撃を受けた。
何せハゲているのだ。
それしか言えない。
緑がないのだ。
「・・・ピンクスピネに来たのですね。」
ヘンリー様が『そうだ』と、言いコスモの進路を北に向ける。
「港町を活気づかせるために拡張したのだ。運送しやすいように街道も舗装した。」
漁の市場も大きい。
街の舗装もしっかりしている。
道幅も大きくきれいに舗装されている。
活気があってもいい雰囲気だが・・・。
それがない。
当然だ。
「私からしたら、この町は死んでいます。」
私は、思ったことを言った。
この町に緑が一切と言っていいほど見えないのだ。
家の庭をよく見ると植木鉢で植物を育てている。
最低だ
直接、大地に植物を育てていない。
「よりによってこんな事が・・・。」
私はショックを受ける。
前世の環境破壊を思わせる造りに近づいている目の前の環境に・・・。
「どういうことだ?」
ヘンリー様が聞いてくる。
「海を豊かにするには、森の恵みが必要なのです。」
領都ルベルタは確かに緑が少ない。だが、領都ルベルタを出ると緑生い茂る森になっている。
領都ルベルタから湧き出る水と温泉の水が、いたるところへ枝のようになって広げられている川となっている為、その川の水で木々が茂り森となっている。
その川で森の恵みが海にまで流れ、海を豊かにするのだ。
エメラルドグリーンの海は、その恵みを受け珊瑚が繁殖した事で、あの美しい色を出しているのだ。
道の舗装等の工事で緑が川を渡り海へと緑の恵みが行かない。
不漁となるのは必然だ。
私は、ピンクスピネから見える山を見る。
やはり、禿山だ。
・・・悲しくなってきた。
「土砂災害の報告もあるのではありませんか?」
何故それが分かると言わんばかりに、驚かれる。
「木は、大地に根を張り巡らせ水を貯えます。大地の中の水を管理していると言っていい程に・・・。」
その機能がない中では、雨が降れば土砂崩れになるのは必然的だ。
「隣町のピンクアメジは保養地になっている。その為にこの港町の漁は大漁でなくてはならない。それ故に舗装等をしたのに・・・。」
ピンクアメジの町は温泉が湧き出る街。
その効能は傷にいいという事。
ピューゼンとの戦いの療養地、保養所ともなってた。
今はその戦いも終焉を迎えた為、保養の地としての観光地へと変貌をさせようとしている最中だと言った。
「このままでは無理です。この地自体が死に向かっています。海も含みますから地域ですね。この地域は死に向かっています。」
私ははっきり言った。
「どうすればいいのだ?」
ヘンリー様の声が震えている。
相当ショックを受けたようだ。
「港町ピンクスピネと保養地であるピンクアメジの細かい地図を作ってください。一軒一軒のわかる程の詳細な地図を・・・。」
どこまで緑を増やせるか、緑を増やす為本当に細かい物が必要だ。
家にしても家を囲う壁も出来れば生垣にしたい。
舗装された道のサイドに木を植えたい。
いろいろ緑を増やさないとならない。
緑と共存しないとならないのだから・・・。
そして、眼下に見える禿山。
保養地の温泉から見える風景から、植える木も考えないとならない。
前世日本人の私は『桜』と、すぐに頭をよぎるが・・・。
観光地の食べ物に山の恵みを含みたい。
次に頭をよぎるは『梅』
本当日本人らしい発想だ事。
でも、梅の産地はクローライト領だ。
紅梅山、白梅山と言う観光地もある。
つまり却下。
何かいい木はないかしら~?
この際、こんなに禿でいる山なのだから、春と秋の2回楽しめるように2種類の木を植える。
春の花に、秋の紅葉・・・つまり夏は緑生い茂る緑、冬は白い雪山。
うん、最低でも2種類の木は植えよう。
そして、実りのある木。
さて、簡単に思いつかないな・・。
図書館へ行こうかな。
ちょうど、公立図書館の事件の事があったから視察も兼ねて行けるわね。
私は、いろいろと頭を巡らせていた。
そうしてピンクアメジの町の上空を通り、ピンクカルサに着く。